第五十四話 裏、被害者は・中編
「……妙だな」
「何が?」
「お前、この部屋来てから一度も気配が来てねぇぞ」
「マジ?」
朝起きたらしかめっ面のレンリにそんなことを言われた。どうせ戦力外だから、と寝ていたので俺は詳しくないがレンリが言うなら多分そう。つまりアカデミーに行った三人が呪具を見つけて破壊した……とは考えてなさそうだなレンリは。眉を潜めて何かを調べてるのは分かる。
「何気になってんの」
「呪具、見つかってねぇよ」
「は?」
「いや見つかってないっつーか……想定通りの見つかり方はしてないだろうな。コンパスが振れてねぇ」
「お前その辺同期させてんの?」
別位相と同期させるとか相当労力掛かるだろそれ。変なところで凝り性というか、絶対そこで発揮するモンではないと思うんだよな……。レンリは俺に近付いたかと思うと視線を逸らさずに俺を覗き込む。
「……お前の方に異変なし、となると怪しいのは呪具だと思ってなかった場合か?取り敢えずアラン職員に連絡取るから大人しくしてろ」
「あーい!」
「おうれお丁度良いな根黒捕まえとけ」
「おれ!?」
挨拶しに来ただけなのに仕事割り振られたらいくられおでも困惑するだろ。困惑しつつも仕事はこなすのかよ、動くなと言わんばかりに膝上にれおが乗り上げて来たので大人しく待つ。
「朝からスマン、こちらレンリ。早速で悪いんだがコンパスが振れてないのに根黒に来る気配がなくなった。詳細分かるか」
「えんい、おーいあ?」
「俺に来てた気配が昨日の夜から来てないんだと」
「あんえ!?」
「何でだろうな?」
俺の言葉にびっくりしたのかれおは俺によじ登って来たかと思うと確認するように背中に回り込む。落ちないように支えていたら背中の方でもう一度叫んでたので多分れおも気配がないことに気付いたっぽい。わざわざ頭の上から聞かれたぞ。
「あんえ!?」
「だから分かんないんだって」
「おあ……」
「アラン職員の方もまだ報告は来てないってよ。状況が不明瞭なので本日根黒はここで待機、だと」
「なんで?」
「万が一があるからな」
「ブラフってことか?」
「そういうこと」
油断したタイミングが一番危険だというのは分かる。とはいえわざわざ人員を割くのも申し訳ないんだが……そう思ってたらレンリに軽く笑われた。
「ま、気付いてると思うが今日の担当は俺だ。なので適当に誤魔化して逃げるとかは出来ないからな?頑張ってれおと遊んどいてくれ」
「よーしれお全力で邪魔するか!」
「あい!」
「何でだよ!」
だってレンリならあんまり遠慮とか必要ないし!アランさんとレンリ、どっちが提案したのかは知らないけどとっても助かった!
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