第五十一話 龍の正体・前編
「おかえりなさいアルマさん」
「ああ、ただいま」
素直だなコイツ。適当な返事して挨拶とかしないと思ってた。ある程度の所作が俺達の同類と言うにはちょっと丁寧だよね、ちゃんと社会で生きて来た感じの挙動してる。
アランと一緒に俺がやってきたことについて、リアムとアルマは何も言わなかった。アルマは若干眉を上げたけどそれだけだったので、そのまま向かいの椅子に座る。
「どうでしたか」
「まぁ基本的には前回言った通り。犯人はヒュリスティックの研究部門、派閥は不明……取り敢えず札木博士ではない。奪ってきた資料はこれ」
「成程」
「……流石に対策されているな」
報告書には名前が一切書いてない。何度か出て来る記号があるから暗号化されてる……と見て良いのかな、リアムとアランも読み解けない、と判断したのか情報だけ確認してる。
「……繭、ですか」
「ああ。あの龍が入っていたな」
「怪異は……確かに、強い存在であれば消滅ではなく休眠に入ると聞いたことがあるが」
「確かに休眠には入るけど……消滅時じゃないよ、諦めるために眠るんだから」
具体例は出さないけど大体の場合番がいなくなったときになる。場合にもよるけどほぼ目立つことにメリットがないからね。寧ろ大人しくしてる方が褒められやすいから再会するまで寝てた方が楽まである。
「でも――――あの龍は、番がまだいます」
「え、いるの?」
「恐らくは。志葉さんも同じ反応を見せていたので確実ではないか、と思われますが」
「お前らのその判別はどういう……?」
アルマは困惑したようにアランを見つめてるけど、普段から割と良く分かんない判別をする奴なんだからしょうがないじゃん。リアムはいつでもアランならやる、くらいにしか思ってないから何の参考にもならないし。
「まぁ……実際、今回の騒動でも分かるようにアイツの中にいる存在は天界由来の生き物なんだよな。しかも世代としては神代後期の」
「あの落ち着きようも加味するとあの龍の番は中にいる存在か?」
「その可能性は高いでしょうね。本人が頑なに黙秘を続けているので確信はありませんが」
「意外。アラン相手にも黙秘してるんだ」
「聞かないでほしい、と最初に言われてしまったので」
……なんかありそうだな。聞かないでほしいってことはあの状態は龍にとっても不本意な可能性がちょっとある。そもそも番と一緒にいるのに繭になってる時点で訳は分からないんだけれども。
「神代後期、ねぇ……?あの時期ってかなり悲恋というか悲劇惨劇が多かったから情報があるかどうかも定かじゃないよね」
「実際どこもかしこも荒れてたからな。記録者も不在の時期だから間違いなく正確性が取れん」
「まぁそう」
……コイツ、神代後期の当事者っぽいな。しかもある程度情勢を知ってるタイプの。本当に俺達の同類?
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