第四十九話 閉ざされた世界で分かること・後編
「初めまして龍の姿をした誰か。少し、お話よろしいですか?」
「……」
「言語分かるのかよ」
「龍に関しましては、ええ。嗜む程度ですが」
「龍の言語って嗜むものじゃなくない……?」
花菱先生の突っ込みを澄まし顔でスルーしたアランさん。龍は少しだけ尾を揺らし、アランさんに顔を寄せた。
「……成程、約束ですか。何か手伝えることはありますか?」
「――――」
「そうですね。どうやら私は自分で思っているよりもそちらに対しての抑止になるようなので」
「――、――――?」
「ありません。ですが、使えるものは全て使いますよ」
「……何の話をしてるんですか?」
「龍の言語は流石に分からん」
そもそも言語どころか声も聞こえてないんだけど。皇は不思議そうな表情をするでもなく、ただ隣に控えて龍を見ている。アランさんもこの場で説明をする気はないようで、こちらに視線を向けることはない。
「……分かりました。では、これからどうするおつもりで?」
「――……」
「アランさん」
「はい」
急に皇がアランさんに話しかける。ずっと龍を見つめていた皇の目が、漸くアランさんに向けられた。
「出来るなら、重戦闘区域に」
「理由を聞いても?」
「目的が、きっと一緒だからです」
「だ、そうですが」
「…………」
目的が、一緒。……具体的なことは何一つ分からないけれど、やけに確信を持って告げられた言葉だった。……皇が職員になった理由に関係があるんだろうか、以前皇は強くなるため、としか言っていなかったような気がするけれど。
「――――」
「俺は、俺だ。それ以上でもないしそれ以下でもない。多分アランさんのようにお前の力になることはないだろうし、俺がお前の何かに影響を及ぼすこともないと思う。……だから、断ってくれても、いい」
「――……」
相変わらず揺らがないな。目眩がしそうなくらい真っ直ぐとした態度に、龍は少しだけ目を細めてからぐい、と頬を寄せた。
「うおっ」
「了承してくださったようで何よりです。……では私達は戻りますが……アルマさん」
「ああ。俺達はもう一度位相をずらしてアカデミーに戻る」
「分かりました、お気を付けて。……あ、それと」
思い出したかのようにアランさんが花菱先生とアナタシアさんの方に視線を向ける。話が振られると思わなかったのであろう二人は目を丸くした。
「偽装は、必要ですか?」
「…………いや、どうしようもなくなったら口裏を合わせてくれ」
「俺の方はー……うん、まぁちょっとヤバそうだったら医療部門にでも所属しようかな」
「分かりました。それではまた」
思いの外あっさりとアランさんが引いたので、そのままアルマさんは虚空を叩いて俺達をアカデミーに戻す。少し移動したからか中庭ではなく医務室に立っていた。
「……大分バレてるよねこれ?というかまた、ってことは――――」
「ま、このまま穏便にってのは無理だろ」
「だよねぇ?」
……もしかしてアランさん、未来予知の能力があったりするのか?
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