第四十話 ここで会ったが
「あ、職員さん!」
「貴方は──福地、さん?」
「はい!福地幸です!」
札木博士の部屋から帰る途中で呼び止められた。嬉しそうに駆け寄ってきた生徒は俺が何故名前を知っているのかはあまり気にしていないのか、そのままにこにこと笑みを浮かべながら口を開く。
「お仕事ですか?お時間ありますか?」
「ええと……」
出来れば関わらない方がいい、と言われているが探る必要があるのも事実。最優先事項ではないが藍沢先生の反応も考えるとここで話を聞いた方が良いかもしれない。そう判断して視線を反らしたときだった。
「あれ?何をしてるの福地さん」
「花菱先生?」
「花菱先生……」
どこからか現れた花菱先生が会話に入ってくる。あまりにも自然な流れで口を出す暇がなかった。俺が札木博士の部屋に向かったときはまだアルマさんと何やら相談していたはずなので帰り道……なんだろうか。
「君、実働希望じゃないよね?」
「はい。でも職員さんに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
「はい!」
ポンポンと流れるように会話している二人を横目に、少しだけ頭を振る。花菱先生が退室しているのなら早く返って情報共有した方が良さそうだな。依然として爆弾の犯人は分からないけれど、今は放置で良い。
「すみません福地さん、急いで帰らないといけなくて……」
「そうですか……それは残念です」
「あ、福地さんはこの後暇?暇ならちょっとお話があります」
「え、私に……ですか?」
「ええ。立ち話も何ですし部屋に行きましょうね」
……多分、意図的に福地さんを引き離したような気がするな。福地さんもあっさりと退いてくれて助かった、もう話し掛けられないように出来るだけ早足であてがわれた部屋へ戻る。
「お、戻ってきたか」
「どうした入江。やけに急いでたな?」
「いえ……さっき福地さんに話し掛けられまして」
「福地?」
「ああ、爆弾持ってきた生徒か」
藍沢先生は名前を聞いてもピンと来なかったようだけど、アルマさんは分かったらしい。爆弾と生徒というワードで藍沢先生も記憶が繋がり、しみじみとした表情で労りの言葉を投げ掛けられる。
「大変だったな……」
「ええまぁ……」
「それで、どうだった?」
「本気であの繭の中身を逃がすなら……繭の中身の同世代か、関係者が必要だそうです」
「同世代……なら、どうにかなるか?」
「なるんですか?」
札木博士によればかなり世代としては古いらしいんだけど、大丈夫だろうか。
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