第三十九話 許せないこと、どうしても嫌だったこと
「出来れば繭の中身を保護したいんですが」
「保護?あー……多分無理じゃないか?」
「無理……」
「完全に無理とは言わないが、……いやまぁ、戦力も縁も何もかもが足りてないというか」
足りていない……戦力はともかく縁ってどういうことだろう、あんまり縁が足りてないというワードは聞かないような気がするんだけど、札木博士は説明する気がないのかうんうん唸っている。
「せめて……そうだな、せめて同世代か関係者がいればまだマシなんだが。如何せん世代が古すぎる」
「古すぎる……」
「……一体どこまで把握してるんだお前は」
「まぁ……開示出来る部分で言ったらそうだな、下手に救出しようとするとこの辺一帯が更地になるくらいの戦力がやってくる」
「どこから……?」
「上。とはいえ直接の介入は不可能に近いから適合者を利用して、だな」
適合者に、上。……上位存在という認識で良いんだろうかこれは。流石に上位存在の関係者となると厳しいものがあるよな……。と思ったが、よく考えれば華蓮は天使だから当てはまるのか。流石にここに呼ぶことは厳しいけれど。
「いるのか関係者……?」
「重戦闘区域にならいるだろ三人くらい確実に。何なら三人どころじゃないのでは?」
「そんなにいないと思ってますが……少なくとも一人はいますね。今呼ぶことは不可能ですけど」
「いるのか……」
アナタシアさんが納得なのか呆れなのか分からない声を漏らし、札木博士はそうだろうと言わんばかりに頷く。もしかしたら俺が知らないだけで本当に三人くらいいるのかもしれないけれど……その場合可能性があるとしたらシンさんや青藍さんになるのかな。どちらにせよ今この場で呼び出せる人はいない。
「確実に一人くらい関係者がいないと厳しいですかね」
「ああ。正直一人いてギリギリ、というところだ。同世代でも場合によっては優位に出れないからな……」
想像以上に状況としては厳しいのか。なにやらアルマさんと花菱先生は切り離せさえ出来れば行ける、と考えているようだけど……もしかしたら俺が知らないだけで何らかの有効打があるのかもしれない。
「……必要なのはアラン職員か?」
「そっちでも良いが恐らく皇でもいい。極論本人達に自覚がなくとも加護ないし証明が為されればあちらで勝手に自滅してくれる」
「でも……アランさんは流石にヒュリスティックから離れられないし、皇も多分スミレくんが……」
「スミレが?」
「はい。今回アカデミーに来る、という話で皇が来る案もあったんですけど、スミレくんがギャン泣きして熱を出しまして」
「そんなことが、…………何故?」
何でだろうな。余程アカデミーに行ってほしくなかったことだけは分かるんだけど。皇が何も分からないことを俺達が分かる訳がない。
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