第三十二話 乱入と合流と
「……誰か来るぞ」
「嘘でしょまだこっちは半分も解析終わってないのに……!どうにかして!」
「無茶言うな。隠れるぞ」
香月を抱えて気配を殺す。ほんの少し周囲を壊して視界に映らないように調整、気付かれたら流石に実力行使に訴える予定なのですぐに動けるような姿勢にはしておいて、近付いて来た気配が何者かをじっと確認した。
暗闇から聞こえる足音。一人だけ……ではないな、複数人いる。まず一人分の足音が遠ざかり、また一人分の足音が消えた。……気付かれたか?
「おかしいな、通路が開いている……?」
「侵入者か?監視カメラを確認してくる」
「……バレるかな」
「道中の監視は切ってる。問題ないだろ」
「それ逆に怪しくない?」
怪しいかもしれないがやるしかなかったんだから仕方ない。正直多少の時間稼ぎが出来ればそれでいいからな。現れた人間達は何やら白い……白衣とも違う服装を纏っていて、どうも教師でも研究者でもないようだった。
少しの間様子を見ていたが、先に香月の方が何やら地上を見上げて首を傾げ始める。この反応を見る感じ……地上で何か不都合でも発生したか?案の定俺を地上へと促したので、細心の注意を払いつつ足早にその場を後にした。
「お前、今から戦えって言われたら戦える?」
「そりゃ、戦えるが」
「じゃあちょっとお願いするかも。多分誰かが戦ってる」
「誰かが……入江か?」
「その入江って子の詳細は知らないけど、タイミングがタイミングだしそうじゃないかなぁ」
流石に俺達の他に侵入者がいるとは思えない。もしいたらいたでややこしいことになる。……香月を入江と会わせるのは不味いか?本人達が邂逅する分には構わないが俺とコイツの関係を聞かれるのは都合が悪いか。ちらりと是非を問うように視線を向ければへらりと笑みを返された。……それはどういう反応だよ。
「このままだと都合が悪いか?」
「別に……適当に誤魔化せるから大丈夫。寧ろ、俺も連れて行った方が良いよ?」
「そうか。なら突っ切るぞ」
香月が言うなら問題ないだろ。地上に上がれば中庭……ではなく廊下を覆うように空間が歪んでいるのが見える。空間を壊すのではなく穴を開けるように出来るだけ手加減して接触、薄膜を通り抜けるような不快感を一瞬だけ経て、そのまま世界が切り替わった。
「っアルマさん!?」
「っ何で花菱先生が……」
「おう。無事か?」
入江の他に人間は二人、どうやらどちらかは味方なのか入江以外が戦闘しているな。香月に反応した方はアカデミーの関係者らしい……が、もう一人はこちらを見ても驚きは見せなかった。さて……どちらが味方だ?
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




