第三十話 幸運な遭遇
「……んだこれ」
「これは……予想以上に……」
おい呪具ってどんなにデカくても人の背は越えないと思ってたんだが……?俺が知ってる呪具とはどうやらなにもかもが違うようだな、マジで何だよこれ。
ひたすらに長い階段を下りた先、薄暗い空間に”それ”はあった。見上げるほど大きな繭……のような物と対峙して俺達は唸る。
「香月」
「いや俺に聞かれてもちょっと良く分かんない……こんな大きい呪具、何に使うの……?」
「お前が分からないならもう誰も分かんねぇだろ」
「別に俺呪具のエキスパートではないからね?」
「お前が分からない呪いとかもうそれ呪いじゃねえだろ」
「それはまぁそうなんだけど……」
呪いと病は別物だがコイツに限ってはそこを判別する必要性はあまりない。どちらも生物にとっての悪性であり、健康を司るコイツの権能内だからだ。勿論条件はあるらしいが、流石に対峙したらただの呪いが勝てる訳がない。
「んん……?ちょっと調べるから警戒お願い」
「おう」
しゃがみ込んで何やら確認し始めた香月から目を離し、気配を探る。近くにそんな人の気配はない……そういえば入江の方はどうなったんだろう、香月との関係性を聞かれるのは好ましくなかったからさっさと分かれてしまったが、流石に強引過ぎた気がしないでもない。
「……脈打ってるよねぇこれ……?」
「は?」
「ああ待って……?俺達はこれ全部が呪具だと思ってたけど、もしかして違う?」
「意味が分からん」
「えっとね……どれかな……あ、あれっぽい、あの先端」
会話にならない言葉をいくつか零しつつ香月が示したのは繭の頂上、何やらリングのようなものが鎮座している。香月も直接触れていることを確認してから軽く飛び乗りリングに触れれば、細い針を刺して繭に固定していることが分かった。
「ちっせぇ……」
「呪具の大きさと強さは比例しないからね。それこっちに持ってこれる?」
「ちょっと待て針が細くて折れ……あ」
「ちょっとぉ?」
「しょうがねぇだろ細すぎるんだよこの針」
ちょっと力入れただけで折れるのは弱すぎるだろ。なんでこんな無駄に繊細なんだよこの針、もっと頑丈であれよ。しょうがないのでぐっと繭を押して埋まりそうな針を慎重に引きずり出す。……形状を見るに注射針に近いのか?猶更折れるなよ。
「ほら」
「はいありがと。……ああこれ、抽出と注入……抽出?」
「抽出?」
まさかとは思うが繭の中身を抽出してたのか?いや注入とも言ってたな、つまり……どういうことだ?
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