第二十八話 捜索・肆
かたん、と軽い音を立てて通路は現れた。軽く頭を抑えつつ、通路を覗きこめばどこまでも続く暗闇が出迎えて来る。
「……暗いな」
「明かりとかは……みたところなさそうですけど」
ただひたすら先の見えない通路。どうやら階段もあるようだし、流石に光源もなしに進めるような長さではなさそうだな……アナタシアさんも同じ判断を下したのか少し廊下に出たかと思うと、謎の光を連れて来た。
「光の……球体?」
「ちょっと外から取って来た。そこまで保たないが大丈夫だろ」
球体を持ったまま俺を抱え上げるアナタシアさん。あまりにも自然な流れで抱えられて反応が遅れた。俺が我に返る前にアナタシアさんはさっさと通路に入る。球体はアナタシアさんの前方をぼんやりと照らしている。大きさの割には見える範囲が広そうだ。何だろうコレ。
「手早く進む。光量もそう多くないから大人しくしていろ」
「う……はい」
確かにこの光量と廊下の狭さでは抱えられていた方が安全か……。なんとなく気を遣われているような気はするものの、正直さっきまでの無茶で少しふらついていたから助かった。
カツカツと小さな靴音を鳴らしながら奥へと進む。空気が淀んでいたり、視界に違和感を覚えたりはしない。ぐねぐねと螺旋状に下っていく階段は、よく使われるのかちゃんと掃除されていた。
「長いな……」
「こんなに長い階段も地下も、よく作れましたね……」
「建築自体は結界術の応用で簡単に作れるらしいぞ。本当かどうかは知らないが」
「札木博士が言ってたんですか?」
「いや、エリック博士の方」
エリック博士って確か自身の特性と魔術を融合させて固有の領域を作ってた博士だよな?そんな人の言う簡単は当てにならないと思う。札木博士が何も言っていないのならそれこそ本当に個人差、じゃないのかな。
「……何か聞こえないか?」
「え?」
不意にアナタシアさんが足を止めてそんなことを言ったので耳を澄ます。下の方からうっすらと、水音のようなやや籠った音が響いていた。
「水音……?」
「いや、そっちじゃなく――――」
急にアナタシアさんが踵を返したかと思うとすごい勢いで階段を駆け上がり始める。あまりの勢いに俺は咄嗟に反応出来なかった。一気に数メートル駆け上がったところで、辛うじて声を出す。
「あ、アナタシアさんっ……!?」
「今ここで俺達が出会うのは不味いっ……!」
「な、にがですか!?」
「地下にいるの、ヒュリスティックの職員だ」
「!?」
アカデミーの地下に、ヒュリスティックの職員がいる?
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