第二十五話 捜索・壱
俺から提案せずとも二手に分かれることが決まっていた。特に説明もなくさっさとアルマさんは移動してしまったので俺は当初の予定通りアナタシアさんと合流する。
「本当に最初から二手に分かれて行動するのか……」
「みたいですね」
「こちらとしては都合が良いが。……まぁその辺りは重戦闘区域の職員だし大丈夫か、行くぞ」
「はい」
どうやらアナタシアさんは何か言いたいことがあったようだが結局口にしなかったのでそのまま流される。正直俺も少しくらい情報共有はしておいた方が良いと思ったけれど、本当に重要な情報なら話を遮ってでも共有するだろうし……ということで何も言わなかった。
「札木曰く、最近散見される呪具というのは呪いを拡散させるスピーカーのようなものらしい」
「スピーカー?」
「ああ。それ自体に呪いは宿らず、手段にはなれど元凶にはならない。壊したところで意味はなく、突き止めたところで先がない」
「そんな厄介な……」
「基本的な呪具ならテストの採点の片手間で対処するような札木が無理、と言い放った代物だ。気合いを入れた方が良い」
「何か……普通に教師してるんですね札木博士」
「人間には友好的だからなアイツ。人間以外には好意的なだけで」
それは全部ひっくるめてお人好し、というのでは……?つくづく重戦闘区域向けの精神性というか、よくそれで研究部門の博士としてやっていけるなという謎の感心さえ覚えてしまうほど博士としては特異だな札木博士。……ミツバくん達の事も人間じゃないから好意的だったんだろうか、詳しいことは分からないけれど、それはちょっとだけ寂しいな、とも思う。
「……あれ、突き止めたところで先がないっていうのは……?」
「どうやら呪具から大元を追うことが困難になるように細工されているらしい。細工というか…………まぁその、なんだ。身も蓋もない言い方をすれば確率操作をされている」
「確率操作?」
「見つかる確率をゼロにする、辿り着く確率をゼロにする。本来全ての演算を実行すれば辿り着くはずの結果が、何故か必ず見落としを発生させて計算を狂わせる」
「……」
ここまで分かっていても対処出来ない……というのは相当厄介だな。ずっと同じ場所を見落としていれば流石に気付きそうなものだけれど、それすら叶わないということは……相当綿密に対策されているとみてよさそう。
「あの、一応聞きたいんですけど……ある程度見当はついているんですか?」
「ああ。どうやったのかは知らないが、この部屋だろうというところまでは分かっているらしい」
「え、すご」
「原理は知らないし聞いてもはぐらかされたが」
どうやったんだろうな札木博士、妨害に対して強く出れる特性だったりするんだろうか。
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