第二十三話 一方その頃
「だから言ったでしょう、私はその日不在でした、福地幸に荷物など預けてはいません!」
「そうですか」
心外だと言わんばかりに関与を否定する安雲教師。まぁ流石に自分の名前を使って爆発物を運ばせたら間違いなく容疑者の筆頭になるから有り得ないだろうとは思いつつ、それならば誰が安雲教師の名前を利用したのかを見抜くために人目がある前で会話を継続する。好奇の視線の中に時折混じる愉悦、…………思ったよりも数が多いな、コイツ恨まれすぎだろ。一通り視線を確認しつつ安雲教師を追って個室に移る。
「大体、何故私が藍沢医療職員に用事があると思うのです。疑うのなら医療部門でしょう」
「いやあすみませんね、その辺りは何せ不勉強なもので。誰がどの部門を担当しているのかを正確には把握しきれていないんですよ」
「っこれだから職員は……!」
職員と関わるのはこれが初めてではなさそうだな。なんならそれなりに恨みつらみがありそうな気配がある。共倒れでも期待したか?その割には詰めが甘い……不在であることを証明出来てしまう辺りに疑問が残るが。
「ではお聞きしたいのですが、小型の爆発物を生成出来る教師に覚えはありませんか?」
「爆発物?」
「ええ。もしかするとどこかで購入したものなのかもしれませんが、流石に危険物の持ち込みはアカデミー側でも把握していなければ問題になるでしょう?」
「それはそうですが……詳細を知らないので断言は出来ませんが、時間や振動で爆発するとしてそんなものを正確に送り届けるのなんて本人以外無理ですよ」
「ならば福地幸が爆弾を作った、と?」
「それこそ不可能ですね。まず材料を調達しようと思ったら協力者が必要になる。それも薬品を持ち出しても違和感がない教師の」
「成程。ではその『薬品を持ち出しても違和感を持たれない教師』について教えていただけませんか?」
にっこりと笑って頼み込めば安雲教師は少しだけ視線を逸らす。情報を売っているようで居心地が悪いんだろうな、駄目押しのように自身の身の潔白を証明するためだと言えば渋々と言った風に数名の教師の名を上げた。
「ありがとうございます。では今名前が挙がった方々に少しお話を聞いてみますね」
「あー……出来れば、私が言ったとは言わないでくれると助かるのですが」
「ええ。情報提供者のプライバシーは守りますとも」
俺はプライバシーを守るが他の教師がプライバシーを守るかは別。あの様子だと信憑性の欠片もない噂や憶測が飛び交うような気がするな。巻き込まれるのは御免なんだが、流石に無理か。
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