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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第十五章 扉は閉ざされた
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第十九話 潜り込む・伍

 ()で振れないのなら、()()を探る必要がある。気配を限りなく消した状態で俺とアルマさんはアカデミーを歩き回っていた。時折警備員が持っているのであろうライトを遠目から見るが、事を荒立てたいわけではないので出来るだけ近付かないようにしている。

「……上というより、地下だな」

「そうですね……」

 アカデミーに地下はない。仮に存在するとすればそれは地図に記載されていない、隠された空間ということになる。基本的に怪異は地面から生まれてくると信じられているので地下室というのは忌避されがちなのだが、よくやるな。

「入口を探しましょうか」

「ああ。手分けするぞ」

「分かりました」

 俺は世界視、アルマさんは恐らく魔術を使って手分けして入口を探す。違和感があれば確実に見つけられるとはいえ、手がかりがない状態では流石に探索が間に合わず、成果がないまま朝を迎えてしまった。

「どうにかなりそうか?」

「まだ何とも……」

「範囲が広すぎる。しらみつぶしにも限度があるだろ」

「それもそうだ。じゃあアルマ、お前は昨日名前が挙がった……安雲先生に話を聞きに行け。入江、昨日の生徒に探りを入れられるか?」

「探り……ですか?」

「ああ。どうもあいつは、お前に対して好意的なようだったからな」

「分かりました、やってみます」

確かにあの生徒は好意的ではあった。あんまり口が上手い方ではないけれど、四の五の言っていられる状況でもないだろう。帽子を深く被り直して部屋を出る。

「とはいっても……どこにいるのかも分からないんだよな」

 ヒュリスティックも広いが、アカデミーも広すぎないだろうか。中央のエリアの半分くらいはアカデミー……という与太話を聞いたことがあるけれど、案外あれは本当なのかもしれない。

「……ん?」

 あてもなく歩いていたら、少し先の方から誰かが大量の書類を持って歩いているのが見えた。……大丈夫だろうかアレ、ふらついている様子はないけれど前は見えていなさそう。

「あの……大丈夫ですか?」

「え。……大丈夫ではないです」

「よければ手伝いましょうか……?」

「助かりますけど……大丈夫です?」

「?」

……もしかして生徒だと勘違いされているんだろうか。一応大丈夫だと言ってから半分ほど書類を受け取れば、声の主の顔が初めて露わになる。

「ああありがとう……ございます?」

「いえ、どちらに持って行くんですか?」

「この先の研究室に」

生徒……にしては大きいから教師か助手なのかな。俺を見て少しだけ首を傾げたけど、書類を置きに行く方が先だと判断したのかそのまま先導するように歩き始めた。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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