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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第十五章 扉は閉ざされた
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第十七話 潜り込む・参

 コンパスは規則正しく揺れている。万が一を考えて入口が見える位置に陣取れば、アルマさんは逆に入口に近い場所に立った。藍沢先生はそんな俺達に何かを言う訳でもなく、生徒に話を切り出す。

「それで。さっきの荷物はなんだ?お前の私物か?」

「いえ。私は頼まれただけなので……」

「頼まれた?……誰にだ」

「安雲先生です」

安雲……知らない名前だな。藍沢先生も少しだけ眉を潜めたが記憶に引っ掛かることがなかったのかそのままそうか、とだけ返す。嘘を言っている可能性もあるが、一先ずは本人に事情を聞かないと分からないだろう。

「……アルマ、行けるか?」

「別に良いがあんたの名前は出すぞ」

「構わん」

 藍沢先生と端的に言葉を交わし、そのまま退出するアルマさん。俺は安雲先生なる人がどんな人かを知らないんだけど……アルマさんは知ってるっていう事かな、ちらりと生徒の方を見る。

 最初はおどおどした子だなと思っていたけど、今は落ち着いている。おっとりとした……というのも違うな、どちらかといえば謎の自信に満ち溢れている、ような。見たところ実働希望ではなさそうなんだけれど、至近距離で爆発を見たにしては落ち着きすぎている。

「あの……」

「どうした?」

「どうしてあの荷物が危険なものだと分かったんですか?私にはただの段ボールに見えたのに」

「ええと……第六感で」

「……」

流石に無茶がある、と言わんばかりに藍沢先生から呆れたような視線が送られる。別に特性だと言ってもいいんだけれど、咄嗟の判断で誤魔化してしまったので許してほしい。決して他意はない。

「第六感……やっぱりそれって職員としては必須の技能なんですか?」

「必須……ではあるかもしれないけど、個人差があるから一概には……」

「ということは私はとっても凄いものを見れたってことですね!」

……なんだか調子が狂うな。こんなにぐいぐい来られることも早々ないし、何よりこんなに興奮される意味が分からない。藍沢先生もちょっとだけ眉を上げた後ちらりと俺の方に視線を……違うな、俺の近くにあるコンパスに目を向けていた。

「私幸運について調べてるんですよ!ほら、よく悪運が強くて生き残るっていうじゃないですか、だから意図的に運を操作したり、運を可視化することが出来たなら勝率も上がるんじゃないかと思ってまして」

「暴論だろ」

「そうですか?」

きょとんとした表情で首を傾げる生徒。藍沢先生は心なしか苦々しい表情を浮かべていて、あまり触れたくないんだろうな……という気配があった。



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