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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第十五章 扉は閉ざされた
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第七話 薄氷を踏む・前編

「よいしょ……っと」

「またいました?」

「はい」

「すみません負担をかけてしまって……」

「いえいえ」

 根黒さんは心底心苦しそうにしているけれど、俺としては世界視の訓練にもなるしそこまで負担ではなかったりする。寧ろ四六時中警戒しないといけない根黒さんの方が余程大変なんじゃないだろうか。

「幸いというかなんというか、雅也の方には影響が出てないから良いんですけど……」

「そうですね。それだけは良かったと本当に思ってます」

何度か雅也くんの方を確認したけれど、周囲に謎の気配が現れたことはなかった。この違いが位置情報を知られているか否かなのか……それとも別の意図があるのかはさっぱり分からない。

「大雅の方も大変みたいだし……」

「禅譲家相手ですもんね……無理しないと良いんですけど」

「はい」

あくまでも手紙のやりとり、とはいえ意図を悟られぬように、目的を把握するように動かないといけない、というのは大変らしい。返信に頭を悩ませる姿を何度か見た。リアムさんと遅くまで話し合っている姿も見たし、想定よりも難航しているらしい。

「そういえば、研究機関に絡まれてたって言ってましたけど、アカデミーとは別の組織……だったんですか?」

「そうですね。関係はあったのかもしれませんけど、基本的には別でした。なんでも……その研究機関に所属する研究員が教師も兼業してたらしくて」

「そんなことあるのか……」

「割とありますよ。当時のアカデミーはとにかく有能な人材を入れることが優先で、人格経歴は二の次でしたし。まぁ今も割とそうですけど」

 それはそれでどうなんだアカデミー……。一応ヒュリスティックは楽園教の信者は採用しないと聞いている。実働部門以外はちゃんとした身分証明が出来ないとそもそも所属出来ないはずだし。人格はともかく経歴だけはちゃんと精査されている。

「ぶっちゃけヒュリスティックも初期の頃は人手不足を補うためにちょっと怪しい人材も入れられてたみたいですけどねぇ。まぁ実働はほぼアランさんによって弾かれたんでクリーンなもんですよ。医療部門も藍沢先生がいるから比較的マシっちゃマシ」

「というか、大体の問題を抱えてるのって魔術部門と研究部門なんじゃ……」

「まぁそうですね!どうしてもそこ二つは閉鎖的な環境になりがち……とはいえ、同じく閉鎖的環境下に陥りがちな歴史部門があの面白……じゃなくてフラット具合なんで、多分魔術と研究の適性がある職員がおかしくなりがちなだけなんですけど」

「歴史部門って面白いんですか」

「面白いですね。あの人達歴史の研究のためなら魔術だろうと研究だろうと専門外だろうと手を出すんで」

そんなアグレッシブなのか歴史部門。もしかして今大人しいのって割と奇跡的な状況なのでは?

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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