第四話 カラの肉体・中編
自主練をしていたらしい根黒さんを引き留めてリアムさんは話を切り出す。てててーっと走って来たれおくんを綺麗にUターンさせながら根黒さんは首を傾げた。
「え、禅譲が?」
「ああ。どうやらお前達兄弟のことを探しているらしいな。心当たりはあるか?」
「えぇー……?雅也は警備隊時代に何かしらがあったとして、俺……は、ない訳じゃないですけど。それにしたって何で禅譲……?」
一応心当たりはあるんだ。困惑しながらも根黒さんは長話になるから、と近くにあった椅子を勧める。俺とリアムさんが座ったのを確認してから、根黒さんは向かいに座り口を開いた。
「実は俺、アカデミー時代にちょっと研究機関に絡まれてたことがありましてね」
「研究機関に?」
「はい。ほら……特性がかなり特異なので、普通に実験体にされてたことがあったんですよ」
「よく同期が暴れ出さなかったな」
「個人的な事でしたし巻き込みたくはなかったんで……。学科が違うからバレないと思ってたんですけど、どこから情報が漏れたのか結局バレて暴れられました、主にサボさんに」
ちゃんと暴れられてた。主に、ということは多分レンリさんも暴れたんだろうな……という納得があったので思わず遠い目になる。リアムさんは真顔のまま先を促した。
「その結果サボさんのストッパーとして俺が認識されたってのと、多分レンリとロウシが何らかの根回しをしたお陰で以降研究機関から呼ばれることはなくなったんですけど……」
「……その時の情報がどこからか漏れた可能性がある、か」
「はい」
「今までは音沙汰無かったんですか?」
「少なくとも俺は知りませんね」
アカデミー時代の情報……とはいえ、研究機関ということはアカデミーと直接の関係はないんだろうか。研究機関を黙らせられるレンリさんとロウシさん、すごいな……。
「あの情報どこ行ったんだろうな……殆どは燃やしたとか言ってた気がしますけど」
「レンリの方に聞いた方が確実か?」
「いやー……まぁそうですね、もしくはロウシ」
「分かった。支部に打診するとなるとアランに話を通す必要があるが……」
「あと先にサボさんに話を通しておかないと勝手に暴れるかも」
「ストッパーじゃなかったのか」
「俺手綱は限界まで放置する主義なんで」
真顔でそんなことをいう根黒さんにリアムさんはそうか、と一言だけ呟く。ストッパーとは言われてるけど本人はそんな認識がないんだろうな……根黒さんが変なちょっかいを受けないためのポーズ、という認識をしていそうだ。
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