第四十九話 委ねる手、預ける手
「制御を他人に預けるのって、どんな感覚なんです?」
「?」
「?」
不意に問われた内容に俺とスミレは揃って首を傾ける。制御……とは何の話だろう、俺達は普通に食事していただけなんだが。スミレにも分からないのなら俺が分かる筈もない。
「すみません、何の話ですか」
「特性の話です」
「特性の……」
「(もしゃもしゃ)」
根黒さんの言葉に興味を無くしたのか食事を再開するスミレ。制御……ああ、俺がアランさんの許可なしでは特性を起動出来ないことを指しているのか。正直どうとも思っていなかったので思いがけない質問に少しだけ動きが止まる。
「感覚……と言われても、ピンとは来ないんですが」
「いや、不本意な起動とか、そういうのはあるのかなっていう疑問ですけど」
「ありはしましたけど、大抵必要だと認識する事例は一致しているので」
「信頼が凄い」
「(ぺちぺち)」
スミレがコップを示したので口元に寄せる。ぴちゃぴちゃと小さい音と共に波紋が生まれるのを見つつ、言葉の真意を考えた。
そもそも俺自身が特性を使うという感覚がないのを前提として。アランさんが俺の特性を起動させる場合は大抵事前に起動させるかもしれない、という話をされている。完全に不意打ちで起動されたのなんてそれこそ夏音との戦闘時くらいなんじゃないだろうか。
「……そもそもの問題として、特性を使っているときの方が余程体の自由は利きませんね」
「ああそういう……それもそれですね?」
「はい。なので今更自分ではどうにもならない自分自身の事が増えるくらいは、別に」
「(ぷはー)」
どうやら満足したようなのでコップを戻す。俺からしてみれば、起動条件が俺になくても使えるだけ進歩なのだ、使わないで済むならそれに越したことはないが。珍しくスミレがパスタに興味を示したので一本だけ短く切って皿に分ける。食えるのかそれ。
「普通は気にするんですかね」
「どうでしょう……少なくとも”管理人”はあまり良くは思われていないじゃないですか」
「そうですね。あれは……外付けだから?」
「かもしれませんし、あれも外部に制御を預けているからかなって思ってたんですよ」
それも一理あるかもしれないな。そもそも本人が望まずに付与された権能ということも加味すると、本来ならば起動すらしたくはないだろうし。
「管理人と比べたら怒られるかもしれませんけど……俺の特性も、敵味方問わず他者を傷付けます。だから基本的には使用するという選択肢がないし、使わないに越したことはないとすら思ってます。……でも、アランさんは俺よりも強い、俺の事を止められるから」
「ああ……」
「だから俺も、管理人を止められるくらい強くなりたいとは思っています」
俺の発言に、スミレも同調するように頭を揺らした。
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