第四十六話 思念と亡霊
「苦戦したようだな」
「まぁそうだね」
「なぁん」
外に出た頃にはもう研究部門は帰っていた。帰って医務室に夏音を連れて行って、ワカバも念のため診てもらって。冬音からは凄く不満げな視線をもらったけど、ゆきは割と元気だったから大丈夫だと思う。一段落ついたから報告も兼ねてジャックのところに顔を出した。
「色々聞きたいことはあるけど……どこまで話せる?」
「求めていることは何一つ。とはいえ、得た情報に殆ど間違いはないぞ」
全部情報開示出来ないとか、あれそんな厄介な事情だったんだ。得た情報って言うと……夏音が狙われたのはアランと気配が近いから、あそこにいたのは幽霊ではない悪いもの、あと何だっけ。
「……やっぱりあそこの怪異、元職員なの?」
「そうさな」
「全員?」
「いや、逃れた者もいる」
その言い方だとほぼ全員食べられたと見て良さそうだな。怪異同士の共食いとか心底どうでも良いけど、それで進化したり強化されるんなら話は別だ。
「早い内に手を打つ必要がありそうだがな、下手にアランを派遣すると騒動になる」
「あー……そもそもアランって今幽霊もどきの事見えないって聞いてるけど」
「見えなくとも悪意や敵意があれば捉えられるだろう」
「それもそっか」
アランと皇辺りは気配察知が異次元だから視界的なデメリットなんて踏み倒せると言ったらそう。特に現場がヘブンって聞いたら何がなんでも行きそうじゃんアラン、皇も止めることなく同伴しそうだから当てにならない。
放棄エリアだったとはいえ俺の権能を奪えるだけの実力があったとか、結構切実に対処を迫られてる。一応今回の騒動で俺が核を破壊したとはいえ、即時無力化とならなかった辺りまだ再生しそうなんだよね。どうも怪異以外もいたみたいだし。
「そもそもの話なんだけどさ、幽霊もどきって何なの」
「全ての負から生まれるもの、無にならず個にもなれず、虚ろを求めて彷徨い続ける亡霊。名前がないのは貌を与えぬためだな」
「へぇ……」
名前があれば貌を得て一個体になりかねないレベルっぽいな。全ての負、とか言ってたし総合的な存在強度は高めなのかもしれない。ワカバ達の話によると精神汚染してくるっぽいから、俺としては絶対成立してほしくないんだけど。
「……うん?ヘブンの職員はほぼ怪異かその餌になったんだよね?なのに思念だけ残ってるの?」
「思念だからな。魂が変質しようが消失しようが関係無いだろう」
「はー厄介……」
どうかと思うよそういうの。中央に襲撃かけて来ないだけマシって言われたらそうだけど。
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