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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第二章 この名を呼ぶのなら、貴方の剣となりましょう
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第十三話 消えた新人、増えた新人

ちょっと忙しいので予約投稿。

 結局出雲は医務室に来なかった。ある程度予想していたらしい藍沢先生はそこまで不機嫌にならなかったけど、放置しても大丈夫なんだろうか。

「良いんですか?」

「何がだ?」

「出雲のことです。……アランさん達が探してた相手でもあるんでしょ?」

「確定じゃないがな。まぁ全員がそう判断したんだから間違いないとは思ってるが……そこまで優秀だと逆に疑問が出たんだろ」

「?」

「なぁん?」

俺となつ、揃って首を傾げた。出雲が自らを優秀じゃないって言ったこと?それとも仕事が立て混んでること?どれも今一つしっくりこない。

「わざわざ中戦闘区域に顔を出した理由」

「…………確かに」

「すなぁ……」

 医務室に来るのを渋るくらい箱入りなら、中戦闘区域に足を運ぶことなんてまずない、と……思う。魔術部門が中戦闘区域に足を運ぶこと自体は不自然じゃないんだけど、精々が冷やかし、あとは────。

「すみません藍沢先生。少しお聞きしたいことが」

「おすな!」

「どうしたアラン。……一人で来たのか?」

藍沢先生が目を丸くしてる。確か、アランさんも遣霊をつれていた。急いで来たんだろうとは思うけど、部下も遣霊も連れずに来るのは予想外だ。そして更に意外なことに、アランさんは藍沢先生の言葉に答えることなくばさりと何枚かの書類を見せる。

「今年度の部門別新人リストです。……藍沢先生、この方に見覚えは?」

「…………東雲泰誠」

 藍沢先生がゆっくりと、噛み締めるようにその名を呼ぶ。記憶を探るように視線を動かし、一度だけ机を指で叩く。

「────いたな。何の問題もなく検診を受けた、……確か中戦闘区域に配属予定の新人が」

「はい。そして恐らく、東雲さんは出雲沙織さんでしょう。無断で修正されていましたが、入れ替わるように名前が記入されていました」

「何のために……」

「引き抜きだな?」

「そこに関しては推測でしかありませんが」

「なぁすん!!」

そもそもが逆ならば整合性はとれるだろう。そして、藍沢先生を見たときに見せた不可解な反応も腑に落ちる。そりゃ以前別名で会ってたんなら多少挙動不審にもなるってもんだ。

「よくあることですか?」

「……いえ。引き抜き自体は時折ありますが、ここまで情報が秘匿されている事例は……」

「まずないな。第一に、引き抜き自体は双方の所轄が合意してりゃ問題にはならねぇ」

「引き抜きで騒動になったことはありませんね。当人の意思は反映されてないので万事円満移動、という訳ではありませんでしたが」

 俺の問い掛けには揃って否定が入る。わざわざ名前を変えたことと、無断で名簿を書き換えたことは無関係じゃないんだろう。

「すぅん?」

「そうまでして引き抜きを秘匿する理由ってなんです?」

「……順当にいけば、()()から隠すため、でしょうね」

誰かから。名簿のことも考えると多分ヒュリスティック内にいる誰かから。無断な辺り立場が高い相手の可能性もある。……例えば、目の前で会話してる二人とか。

 リリリ、と着信音が主張する。それをちらりと確認した瞬間飛び出したアランさんに、制止するタイミングはなかった。

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