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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第二章 この名を呼ぶのなら、貴方の剣となりましょう
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第一話 不安と祈りをその胸に

「…………」

「みゅ……」

「何か不満そうなんだけど」

 態度から分かる不満。ちょっとだけ目が細められてるし、無意味にこっちをガン見してるし。一緒に抱えられてるみうが困惑してるからもうちょっと隠せ。

「まぁ初めてだから諦めましょう。今後も長い付き合いです」

「だってさ」

「……」

スミレの短い腕が伸ばされる。不思議に思って傍に寄ってみれば、抗議の意思を込めて数回叩かれた。痛くはないが最終的に服を握る辺り、……本当に嫌がってるのかもしれない。抱えていた青藍さんと隣にいたアランさんも同じ判断を下したのか、揃って顔を見合わせる。

「……まぁ、外に出るのは正直一人でもいいとは思ってますけど」

「重戦闘区域だけで活動するんだったらそれはもうリアムの部下じゃん」

「みゅん」

「それもそうか……」

 三人が相談している間に俺はスミレをじっと観察する。不満……というよりは、不安、だろうか、これは。宥めるように頭に手を置けば、上目遣いで俺をそろりと映して小さく口が動く。


『大丈夫なのか』


 ……今のは読み取れたな。結構流暢に口が動いてくれて助かった。スミレの懸念がどこに由来するものなのか……もっと言うと、何に対する心配なのかは、良く分からないけれど。

「外の仕事って何するんですか?」

「基本的には見回りと、何か騒動があればその解決などですかね」

「騒動。……なるほど」

特段心配するようなことはなさそうな仕事内容。スミレの方をちらりと見ても不安そうな表情は変わらない。……だけど、俺と視線が交わって少しだけ眉が下がった。

「スミレ」

「……」

 手は離されたが、代わりにイデアをごそごそとまさぐり始めた。イデアはカバンじゃないと思うんだが……何でもかんでも収納してるなコイツ、やっぱり生物じゃないんだろうか。

「……(ぐいっ)」

「……なんだこれ?」

「ガラス玉……の、様に見えますが」

「……勾玉じゃない?ゆっきーの」

「あぁ……本当だ、魔力が籠められてますね」

綺麗な色のガラス玉……もとい、勾玉。光に翳せばきらきらと透き通るような紫色が眩しい。持てと言わんばかりに手に押し込まれたから、素直に紐を通して首から下げた。一応隠す様に服の中へとしまい込む。

「スミレ、ありがとな」

「……」

お守り代わりなんだろうか。スミレの納得が得られたことでアランさんは俺を促して仕事へと向かう。青藍さんはみうとスミレを抱えたまま姿を消して傍にいるらしい。戦闘任務中は流石にしないが、こういう別の場所に行くときとか、長期任務だと青藍さんがついてくることはほぼ確実とかなんとか。青藍さんの特性(アビリティ)かと思ったが、そういう訳ではないと言われてしまった。


 重戦闘区域に所属する職員は三人。うち一人は重戦闘区域の悪魔と呼ばれ、外に出ることはない。……一般職員が把握してる重戦闘区域への情報は大体そんなものらしい。よく外に出るアランさんはなんでも「現場最高権力」という認識はされているらしいが……その割に慕われてはいない。血の気と野心が多いやつしかいないんだよって青藍さんがこっそり教えてくれた。

「――――。はい、では一度確認させてもらいます」

 中戦闘区域でなにやら会話していたな、と思ったら地下の方に足を向けた。ここの担当職員がついてきたりはしない、そっちの方が楽だから良いけれど、本当はよくないんだろう。

「ここですね」

「何かあるんですか?」

「はい。少し……厄介な相手がいるようで」

地下のとある一室に入る。殺風景な小部屋には椅子がひとつ。そこに縛り付けられてる相手は……どこからどうみても、職員だった。


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