第十四話 消えた遣霊
「リアム、状況が変わった」
静かにそう告げたアランさんは続けて皇と東雲も呼び出す。何故鳥飼さんが意識を落としたのかも分からないまま、事態が進もうとしていた。
「アランさん、一体……どうなってるんですか?」
「詳細に関しては対峙しないと分かりませんが……少なくとも、鳥飼さんではなく遣霊が、どこぞの回し者であったとみるべきでしょうね」
「……!!?!?」
遣霊が、回し者。その言葉を正しく理解する前に皇と東雲が合流してアランさんはもう一度同じ言葉を告げる。少し言葉を吟味するように首を傾げた皇は、情報を整理するようにアランさんへと問い掛けた。
「鳥飼は利用されていた、ということですか」
「任意であったとしても、そういう側面があったことは事実でしょう」
「遣霊は偽物?」
「其処に関してはなんとも。リアム達が見抜けなかったということは、何らかの偽装はされているとみるべきでしょうし」
淡々と会話を交わしながらアランさんは他の人にも連絡を飛ばす。一旦情報を整理するということで全員で医務室へと向かえば、既にリアムさんと大雅がいた。
「アラン」
「リアム」
「遣霊が回し者という話は聞いたが……何があった?」
「少し目を離した隙にいなくなったらしいな。捜索を手伝うということで外見情報を聞いたら思考制限で落ちた」
「思考制限……遣霊にまつわる情報か?」
「どこまでかは流石に……」
「先日遣霊が出現した切っ掛けについて聞きましたけど、普通に反応してましたよ」
「リアム、かの遣霊の特徴は?」
「……そういえば、はっきりと確認していないな。二人はどうだ」
「覚えて……は、いませんね」
「確かに……」
「では遣霊の具体的な情報がないとみるべきか」
”いた”という記憶はあるのにどんな姿、どんな言葉を喋っていたのか記憶にない。鳥飼さんにばかり注目して遣霊の方には意識がそれほど向けられていなかったというのも大きいかもしれない。レンとなつくんの方に問い掛けても揃って首を振る。
「青藍さんに連絡は」
「してある。だが認識阻害ありきで動かれているとなると……少々厄介だぞ」
「そもそもの問題なんだが。遣霊ではないとして存在的には夏音達と同類と見て良いのか?」
「そこなんだよな……リアム、お前からみて”遣霊”だったんだろう?」
「ああ」
「遣霊だと判断出来る存在が人工的に作られるとは考えにくい。シンも確認していて遣霊としての違和感がなかったのなら、何かしらの裏があるとみて良いだろ」
遣霊か否か。存在として違うと言われても詳しいことは何も分からない。ただ二人が確信を持っているということは何らかの違いがあるんだろう。
「相手の狙いが分からない以上、出来るだけ一人で動くことは避けましょうか。入江さんと大雅さん、志葉さんと東雲さんは二人一組で……リアム、お前はここで待機」
「アラン」
「相手の狙いが分からないといっただろ。……鳥飼がここに居る以上、ここが襲撃される可能性はゼロじゃない」
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。