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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第七章 生きたくて、息をする
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第二話 想定外の嘘真

「”遣霊持ちの”職員、らしい」

 兄さんの声が聞こえて思わず歩調が早くなる。何で堂々と混ざってるんだ兄さん、あと三日は安静にしろと言われていただろう────そんな言葉は続く会話で霧散する。

「それマジのやつか?」

「正直……信憑性は低いかと」

「嘘でもガチでも面倒すぎる……」

 シンさんの呼び出しにも関わらず青藍さんがいることで事の重大性を察知する。雪代さんとアランの表情は困惑が混じっていた。

「どうしたんだ」

「ああリアム。……実は、医療部門から通達があった」

「医療部門から……」

「『遣霊持ちの職員』をこちらに配備する、と」

「は?」

思っても見なかった言葉に上げた声が上擦った。医療部門での遣霊の発生────それこそ、宇月のような存在が、今年度に入って二人も?

「分かる。有り得ないって言いたいところなんだけど……宇月くんっていう前例があるからさ、真偽確かめる目的でも一旦受け入れないと不味いんだよね」

「ホントこの施設はさぁ……」

 遣霊をつれた、恐らく新人の医療部門職員。これで遣霊を入所前から連れていたというなら何故今更と問いたださねばならないし、万が一にでも最近発生したというのなら……それこそ本当に、何があったのか問いただす必要が生まれる。

「最近の襲撃記録を漁るべきか……?」

「直近はそれこそ研究部門のアレだよ。支部ではちょくちょく発生してるけど、今回の職員はセントラル所属って聞いてる」

青藍さんがいうならばそうなのだろう。これで怪異が原因という一番穏便な可能性が潰えた訳だが。

「時期も半端、理由も曖昧……探りって可能性は否定できねぇな」

「そうなんだよね。あっちも遣霊持ちなんて想定してないから動揺したのかもしんないけど……もうちょっと情報は欲しいよ」

「職員記録は調べておくか……」

「藍沢先生はさっき医療部門に戻ったが」

「入れ違いじゃん」

「とんぼ返りになりそうだが大丈夫か?」

「いやぁどうだろ……場合によっちゃ医療部門の方で動いてそう」

「こっち来てもどうにもなんないしね」

 いくら藍沢先生が医療部門の中でも特殊な地位にいるとはいえ、流石に自分の部下以外の配属に干渉する権限はない。アランは重戦闘区域の職員に対する指示権限があるが、流石に理由もなしに突っぱねることは出来ない状況だ。

「受け入れ自体は行うが……最短で一週間、長ければ一か月ほど滞在するとみていいかと」

「このタイミングなのどう考えたって不都合しかねぇぞ」

「夏音くん達にノエルくんと大雅に外羽くん……大雅とノエルくんはちゃんと正式に滞在許可が下りてる訳だけど、他がね……」

「どっちにしろアランはまだ療養期間だろ?二手に分かれて対応が丸いんじゃね?」

「あのちびすけが暴れないことを祈るしかないのか……」

「ちびすけって誰ですか」

「冬音くんじゃない?」

 確かに、あれだけアグレッシブに動いている冬音が大人しくしている保証はない。特に大雅に手ほどきを受けている以上、うぱーと共に乱入してくる可能性も……ありそうだから困る。

「……俺達の方で表向き対応をするから、アランには事務的な処理をお願いしたい」

「構わないが……リアムがそこまで意欲的になるなんて、珍しいな」

「そうだな……宇月がうぱーと似ているから、少しだけ気になるのかもしれない」

「え、うぱーくんに……??」

「流石にあの小動物と似てるはギリアウトじゃない?」

シンさんと青藍さんが困惑全開の声を出す。そんなにピンと来ないんだろうか、兄さんはすぐに理解して同意してくれたから、俺の思い違いという訳ではないようなんだが。

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