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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第六章 静寂の水底へ
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閑話その8 小さな体で大きな祝福を・前編

「!」

「あー!!!」

 喜色を浮かべて走り出すミツバさんと、気付いた瞬間にはもう走り出していた冬音さん。流石に勢いが良すぎると思ったのか入江さんはミツバさんが転ばないようにとそっと支えるように手を伸ばす。しかしそこはもう指導済み、直前で冬音さんは勢いを殺してとてて、と走ってきたミツバさんを受け止めた。

「とー!」

「ン。とォ、ン」

「とーお、ん!」

冬音さんは一方的な認知だと言っていたけれど、ミツバさんもちゃんと冬音さんのことを把握していたらしい。微笑ましいやりとりを真似するようにゆきさんとうぱーさんが抱き合っていた。

「レーン!」

「!なぁん!」

「あ、春音くん!」

 すっかりレンさんと仲良くなった春音さんは入江さんのところへと駆け寄り、そんな兄弟のことを夏音さんは慈しむような視線で眺めている。隣にいる秋音くんも二人を見ているのが印象的だった。

「お二人とも、嬉しそうですね」

「はい。……憂いが晴れて良かった」

 ミツバさんの嬉しそうな表情を見たジュリアスさん達もほっとしたように表情を緩める。どちらの兄弟も弟達の願いを叶えたいと思っていたんだろう、紹介するようにぶんぶんと手を振って主張する二人にそれぞれゆっくりとした足取りで駆け寄っていった。

「きゅー!」

「みテ、こぇ」

「にに!にー!とー、ん!」

「ぴょー!」

「うぱーさん落ち着いて。ゆきさんが目を回してます」

「ぴ?」

 くるくると踊るように回るうぱーさん。抱き合っていたゆきさんも共に回されてあっという間に目を回している。同じくらいの大きさなのにゆきさんを抱えて回れるの、うぱーさんは思ったより筋力あるな……遣霊だから軽いのかもしれないけれど。

「初めまして。ぼくは夏音、この子は冬音と秋音、あっちにいるのが春音だよ」

「……初めまして。俺はジュリアス。こっちがミツバで、こちらがユディ」

「はじめまして……!」

「初めまして」

言葉少なに挨拶するジュリアスさんと、比較的穏やかに対応する夏音さん。ユディさんは少し緊張しながら、秋音さんはほわほわと優しい雰囲気を纏いながら会釈した。春音さんもレンさんを抱えてぺこりとご挨拶。

「ん?冬音くんとミツバくんは知り合いだけど、他のみんなは知り合いじゃないの?」

「ン」

「冬音はよく脱走してたから……かな」

「脱走って……」

「あそコ、せぁい」

「狭かったんですか」

「ン」

動きたい盛りの冬音さんからしてみれば自由に行動出来ないのは何よりもストレスだったのかもしれない。あまり体調がよくなかったのも相まって、衝動のように飛び出したことが何度もあったんだろう。実際、重戦闘区域に来てからの冬音さんは驚くほど動き回っている。最近は鍛錬で疲労困憊になるので多少大人しくはなったけれど。

「みツ、バ」

「あい!」

「イショ。すぅ!」

「う!」

「一緒に鍛錬……ですか?」

「すぅ!」

とにかく一緒にいたいんだろう、冬音さんの主張に良く分からないながらも元気いっぱい同意するミツバさん。ゆきさんやうぱーさんもいるからそこまでハードな鍛錬はしていないけれど……流石にミツバさんは幼過ぎやしないだろうか。

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