第二十七話 強い意志で、扉を開く
「じーじ?」
「セイチョウソクドッ……!!」
「しゅ!」
あばあば言ってた赤ちゃん、翌日にはしっかり座って言語喋るタイプの幼児に進化したよ。ハイハイすっ飛ばして立てちゃうのかぁ……子供の成長って早いね。
「昨日は赤ちゃんだったのにねぇ」
「オレナンテサンネンクライアカチャンダッタノニッ……!!」
「まぁね?こことノーウェアじゃ時間の流れも違うし、境遇も違うからさぁ」
「というかワカバくん会って良いの?一応ミツバくんってワカバくんのクローンだよね?」
「キョカハデタ」
「誰の?」
「ユッキー」
ゆっきーがワカバ君とミツバ君の面会を許したってんなら俺とソウに文句はない。同一人物だと自己崩壊するっていうの、存在強度によっては関係なかったりするからね。……いやその場合ワカバ君はあんまり存在強度高くなかった気はするけど。まぁいっか。
「じじー?ないない?」
「ダレダジジ」
「じーじー?」
「しゅー!?」
誰探してるんだろうなぁミツバ君。ユディ君とジュリアス君は疲れてるのかまだ寝てるし、ミツバ君もちゃんと分かってるみたいで二人のことにーに、って言ってたし。とてとて歩き回るミツバ君が心配なのかすももくんが慌てて追いかけてる。
「お兄さんのことをにーに、っていうからさぁ、多分じーじって別の人だよね?」
「そうですね。でもミツバくんが会ったことのある人って……」
「……例の博士とか、かなぁ?」
いや確かに研究部門に一人人道的(推定)な博士がいるのは分かってるけど。普通に考えてそんな考えしてる博士がこんな機密事項の塊みたいな子と交流持ててるとは思わないじゃん。俺達があーでもないこーでもないと考えている間にミツバ君はせっせと部屋からの脱走を試みる。
「あーミツバ君ちょっとステイ、ステーイ」
「やー!」
「おっとこの子割と頑固だぞぅ!?」
「ヤー!」
「ワカバくん真似してないで助けてくれなぁい!?」
全力で嫌がるじゃんこの子。ドアから引き剥がそうとしたらがっしりドアノブ掴まれてちょっと困惑。これどうしようね……無理に引き離すと泣かれない?
「ソウ~ちょっとミツバくん連れてお散歩してくるー」
「はぁい」
もう無理に引き剥がすことは諦めてこのままお散歩することにする。だっこしたまま廊下に出れば途端に上機嫌になって謎の歌をうたいだした。多分関係ないんだろうけどついて来たワカバくんの機嫌も良さそう。
「じじー?」
「ミツバくんのいうじじ、流石にここにはいないんじゃないかなぁ?」
「じじじじじじじじ」
「アラブッテルゾ」
「不満の主張方法がももくん過ぎる」
ひたすら同じ音で主張するの、流行ってたりする?少しお散歩したことで満足するかなって思ったけど全然駄目そう、目についた扉片っ端から開けようとしてるからねこの子。
「じじー!」
「あっちょっとそこはっ……!」
べし、と勢いよくドアノブを捻られて部屋の中が露わになる。入り口近くにいたのは例の研究部門から押しかけて来た博士だった、驚いたように目を見開いたのは室内にいた皇君達で、ミツバ君は歓声上げながら例の博士に突撃。
「じぃじー!!!」
「あっはっは子供の成長早すぎないか???」
「え、もしかして……」
例の人道的(推定)な博士、この人なの?
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