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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第六章 静寂の水底へ
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第五話 水面に触れる

 幸いにもオーシャンから迅速に協力要請が飛んで、そのまま研究部門へと打診される。多少もたつきはしたものの帰ってきたアランさんがそのままオーシャンへと足を運び────そして、少し経ってから何故か俺と東雲も指名された。

「俺達がオーシャンに……?」

「ああ。あちら側からの指名でな。事前情報じゃ”怪異じゃない”と聞いてる」

「……ええと、それはつまり……」

「アランさんに、なにかあったんですか……?」

「……ま、そう考えるのが妥当だろうな」

 俺はともかく、東雲が部下だという情報をオーシャンは何処から仕入れたんだろう。しかもわざわざ二人を名指しする理由も分からない。オーシャンはアランさん以外お断りじゃなかったのか。

「オーシャンに関しては正直刺激したくもないし、アランに何かあるとして重戦闘区域に戻すってのも現状だと最善じゃない。……いけるか?」

「はい」

「いけます」

「み……!」

こくりと頷いた俺達に続くようにみうが声を上げる。……アランさんはオーシャンに行くときにみうを連れていかなかった。それどころか重戦闘区域に戻ってくることなくオーシャンヘ赴いてしまったので、誰とも顔を合わせていない。

「みう」

「みゅーぃ、み……!」

「ちゃー……」

「……」

 誰もが困ったような表情を浮かべる中、スミレがすい、と視線を俺に向ける。……確かに、選択するとしたら俺なんだろう、責任を負うとしたら、戦いを迫られるとしたら、間違いなく俺だ。

「……みうも行きたいのか?」

「みゅ」

強い決意を秘めた瞳。……まだ熱は下がってないけど強いな、アランさんの意思の強さを垣間見ている気分だ。元を辿れば俺の部屋に潜り込んでくるくらいには意思が強い相手、ならもう迷う必要もない。

「そうか。藍沢先生、みうも連れていきます」

「本気か?」

「はい」

 俺の言葉に藍沢先生は少しだけ眉を潜めて、それでも反論せずにみうの額にぺたりと冷却シートを貼り付ける。

「無理だけはするなよ」

「みみみ」

「オーシャンに青藍は行けない。あちらにも遣霊持ちはいたはずだから不当な扱いはされないだろうが……確約は出来ないし、何かあっても現場で判断するしかないぞ」

「大丈夫です。俺も、東雲も」

「はい」

「……そうか」

 俺達の意思を確認した藍沢先生が、手早くオーシャンへと連絡を飛ばす。スミレがみうにイデアを巻き付けて、少し悩む様に首を傾けてから俺に抱っこをせがむ。何かあったら東雲にみうとスミレを預けることになるが……基本的には俺が抱えておくべきか。すかさずみうに巻き付いているイデアが俺の腰に巻き付いて落ちないようにしっかりと固定される。

「じゃあ行ってこい。……アランのこと、頼んだぞ」

「「はい!」」

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