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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第五章 巡る四季に想いを馳せて
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閑話その6 水面は揺れる・中編

「水上を歩行する際、基本的には魔力で水面を凝固させる。この場合は同伴者も足場に乗れる、ということだな」

 リアムさんが水面へと踏み出し、そのまま夏音の手を引いて三歩ほど進む。手を引かれた夏音は思わずと言った風に水面へと足を踏み入れ、水上に立つというイレギュラーを興味深そうに享受していた。

「魔力……」

「ああ。それ以外にも特性や、自分の足に魔力を纏わせることで水上を歩くものというのも存在する。それぞれにメリット・デメリットはあるが……重戦闘区域の職員として推奨しているのは、幽撃の応用だな」

「幽撃の応用……?」

一度夏音を地上へと返し、リアムさんがトン、と水面を靴底で揺らす。踏みしめるのとは少し違う、どちらかといえば周囲の些細な流れを塞き止めたような。

「……あ、そういう」

動きに納得を得て一歩踏み出す。実質的な空間の固定、幽撃の性質を利用して本来は流れる水の動きを固定する。幽撃は物質に対しては弾かれることも多いので一瞬なら固定のことを気にせず動けるかもしれない。

「え、見ただけで……?」

「これ、もしかして空中でも利用出来ます?」

「察しが良いな。少し難易度は上がるが使えるぞ」

 まぁそうか。水面は明確に境界として扱うことが出来る故にこちらも認識しやすいが、空気は自分で定義しないといけないため少し思考と実行にラグが出来る。スミレがぺしぺしと空気を叩いているが…………いやお前は出来るのか。何で当然のように出来てるんだ。

「凄い……」

「えぇ……?バトルセンス高すぎ……」

入江と夏音が感心したようにこっちを見ているが……俺よりスミレの方が余程凄いと思う。その内空中を歩いてそうだなスミレ、いやもう既に出来るような気もするけど。

「ぴぴょーーーう!!!!」

「あーうぱーくんプールからプールにジャンプするのは危ないぜーーー!!!」

「元気ですね」

「まぁうぱーだからな」

それでいいのかリアムさん。多分この場にいる誰よりも泳ぐのが早いぞうぱー……。ジャンプ力も高いな……通路飛び越えて着水するの多分俺達でも難しい。

「ゆっくりでいい、まず縁に腰かけて……」

 リアムさんは夏音と入江に教える方に回ってしまったので俺は慣らしも兼ねててくてくと水面を歩く。スミレも水中に入るのは無関心だったのだが水上を歩くのは楽しそうだと思ったのか水上に降りると当然の様に散歩し始めた。


「み……」

「あ、みう」

「みゅー」

 少し離れたところまで移動していたらみうがプールサイドで一人突っ立っているのが見えた。アランさんは研究部門の方に用事があるから不在、うぱーも興奮しすぎてルコンさんが追いかけているレベルともなれば一人になっていてもおかしくはない。

「おいで」

「み……」

「(とてとて)」

「あ、おいスミレ、みうは――」

「み」

「え。……いやでもそうか、アランさんと一緒にいるなら歩けてもおかしくはないか……」

 自発的に手を引いたスミレに関しても意外だなとは思ったが、落ち込みながらも当然のように踏み込んだみうは……慣れてそうだなこういうの。うぱーも割と強引なところあるし。

 スミレがみうの手を引いて散歩でもするように波紋を作っている。楽しそうだなスミレ、みうも大人しくついて行っているが、やっぱりどこか表情が暗い。

「心配か?」

「み……」

アランさんだけが研究部門に行くことが心配なのか、それとも他にも確執があるのか。少なくとも管理人は研究部門と関係があるようなので、みうとしてはあまりアランさんを研究部門に向かわせたくないのだろうけれど。

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