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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第五章 巡る四季に想いを馳せて
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第五話 言葉の裏、騒動の裏

「……管理人」

「確か、そう呼ばれていたのを聞い……聞きました」

「……そうか、だからあの時アランに見つかる可能性を考慮してなかったのか」

「どういうことですか?」

 一旦詳しい話を聞いた方が良いという東雲のアドバイスに従い、俺と夏音だけ別室に移動してから……助っ人として青藍さんを呼んだ。東雲はとあと一緒に他の子供達を落ち着かせることにしたらしい。確かにあの状況ではそれが一番だったと思う。イデアは一緒に置いてきたがスミレは俺についてきた。

「魔術部門で警報鳴った後、”()()”とか言ってアラン連れて来たでしょ」

「はい」

「アレ、管理人の権能を使った”不適格者の炙り出し”だよ。一応本来の役割の一つでもあるね」

「管理人同士は認知しない?」

「してない……っていうのも違うな、そもそも同類だから」

「同一人物判定?」

「まぁそんな感じ」

 あのとき、入江がアランさんの管理人を止めていなければ偽装していた俺や東雲は敵対されていてもおかしくはなかった。アランさんは研究部門に行くとなった時点で管理人としての権能が利用される可能性を危惧して、入江に足止めを依頼した形となる。

「あぁークッソ……やるなら後天的なモンだと思って警戒してたのにとうとう自力で適合者作るとか……いやアランベースだから適合もクソもないけど……」

「そうなんですか」

「そうだよ。そもそも、今の”管理人”のカタチは本来予定されていた権能とか以外にも混ざってる……要するに、『アラン・アンシエント』という存在から派生したオーダーメイド品だからね」

苦々しい表情を隠そうともせずに机に頬を預けた青藍さん。話を黙って聞いていたスミレがむいむいと指で頬をつつく。……そうか、青藍さん達は研究部門が本来の管理人を作り出そうとすることを危惧していたが、実際はアランさんをベースにクローンを作り、既存の管理人とほぼ同じ存在を作り出した。それだけに飽き足らず青藍さんをベースにしたクローン達を兄弟として生み出したのは。……一種の足枷だろうか。

「兄弟って聞いてるけど、クローンにおける兄弟の定義とは?」

「華蓮さんが言うには、製造方法が全員一緒だって」

「ちょっと雑じゃない?その場合更に兄弟増える可能性あるじゃん」

「作れない、んだって。少なくとも僕達と同じ方法で作られてた子で、人の姿をとれたのは僕達だけだった」

「……厄ネタぁ……」

「何か……特殊な要因がありそう?」

「?」

何もなしで、ただの偶然で四人が出来た……と見る訳にはいかないだろう。他の作られようとしていた子達が誰をベースにしているのかでも厄ネタの度合いは変わりそうだが、兄弟である四人がほぼ全員知り合いだと仮定した場合、研究部門に目をつけられる可能性が跳ね上がる。

「……それで、お前は管理人の権能を……殺したいんだっけ?」

「はい。自分で管理できない権能なんて……ただ徒に兄弟を傷つけるだけ、ですから」

 夏音の発言を聞いた青藍さんが少し目を細めた後俺の方に視線を移動させる。俺の言葉を促すような視線に困惑していれば、何故かスミレからも催促するようにべちべちと叩かれた。……何故?

「……取り敢えず、手合わせで良いなら。やってみる、か?」

「及第点」

「(じー)」

なんなんだ一体。

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