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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第五章 巡る四季に想いを馳せて
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第三話 面影を見る、重ねずに見る・後編

「うぴぴ」

「……秋音のことが気になる、の?」

「ぷ!」

 ぶんぶんと頭を振って肯定するうぱーくん。頷きすぎて体全体で頷いちゃってるな、勢いが良すぎて相変わらず夏音くんは気圧されてるけど。

「取り敢えずうぱーは座れ、あまり驚かせるんじゃない」

「ぴ!」

リアムさんにそう言われたことで少し落ち着く気になったのか、うぴうぴと小声でしきりに喋りながら座ったうぱーくん。春音くんはレンに対して少し気を許したのか、自発的にレンと触れ合って頬を緩ませていた。可愛い。

「いやー……本当にこの子ちっちゃくない?綾華はどうしてか知ってる?」

「ううん。最初からこのサイズだったし……あ、でも最近でっかくなったって聞いてる」

「あ、綾華は見てないカンジか」

「うん。大雅は見たんだっけ?」

「私も見てませんね。リアムさんは……」

「ああ、うぱーと同じくらいの大きさになったぞ」

「俺も見たー」

「へぇ」

 小さくてもこんなに可愛いのに、大きくなったらどうなっちゃうんだろうな、レン。レン本人は大きさについてどう思ってるんだろう、やっぱりその大きくなった姿を見逃したことが悔やまれる。

「なんな?」

「……お兄さんは、華蓮さんの知り合い?」

「え?うん。華蓮とは昔一緒に住んでたよ」

「カぉう」

「なん!」

「そうだね、家族だよ」

華蓮が微笑んで俺の頭を撫でる。甘やかされてるなぁ、とは思うけど華蓮の口から家族という単語を聞けるのは何よりも嬉しい。……たとえそれが建前だとしても、だ。

「なーヨし」

「仲良しだったのに……一緒にいなかった?」

春音くんの控えめな問いに華蓮は優しい笑みを浮かべてから俺の肩を引き寄せた。思ってもなかった行動に態勢が崩れて華蓮に身体を預ける形になっても、本人は気にせず微笑んでいる。

「ちょっと華蓮?」

「確かに色々あって離れてたけど……だからといって家族であることをやめた訳じゃないし、大切な存在であることに変わりはないから」

「わー甘々だぁ」

「圧倒的信頼ってやつですね」

「当人には今一つその信頼伝わっていなかった気がするが」

「えぇ!?」

「華蓮さん……」

シンさん、大雅には生温い視線を向けられ、リアムさんからはシレっと厳しめの発言が飛び、春音くんからは呆れた視線を向けられている。いやでも良く考えてほしい、あんな幼い子供がそんな大人びた思想を持つわけないだろ、と。華蓮はいつだってちょっと俺を過剰評価している気がする。

「いくら相手が聡いからって伝えることを疎かにするのは言語道断だよ?経験者からのアドバイスだからね!」

「肝に銘じておきます……」

「なぁん!」

シンさんからのアドバイス。……経験者というからには雪代さんにとても怒られるようなことをしたんだろうか、このひとは。割と何でもそつなくこなしそうだからちょっと意外だった。

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