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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第四章 あの日、伸ばせなかった手を
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第三十一話 目覚めたら

「宇月さん、入江さん、失礼します」

「皇現着しました」

「宇月悪い、遅れた」

 一気に人が増えてなつが興奮した声を上げる。落ち着けと言いたいところだけど一周回って静かだから突っ込みは諦めた。

「宇月状況は」

「ええと……一応ただ眠っているだけです。ただ疲れているだけで、衰弱してたりはしていないかと」

「そうか。取り敢えず入江、一旦全員と情報共有しろ」

「はい」

藍沢先生の言葉に各々も椅子を持ってきて固まる。そして入江の口から語られたのは青藍さんから結晶の材質を調査するために協力を頼まれて、その結晶内にいた外羽を発見し、保護したということだった。

「材質だけが違う部分を破壊した先で眠る、外羽さん……ですか。確かあの結晶、接触不可のはずでしたよね」

「はい。触れた時点で高密度の情報が脳を破壊する……と、青藍さんは言っていました」

「……そうなると、実質的に指名されていた、と見るべきか」

「そうでしょうね」

 材質を見ただけで判別することの出来る入江だけしか気付くことの出来ないギミック。無闇に破壊出来ないからこそ中に人がいるなんて思いもよらなかっただろう。

「あの、外羽……さん、は自らの意思で残ったと聞いてたんですけど」

「ええ。青藍曰く……まだやることがある、と。事実保護された四名のような存在がまだ残っていることは示唆されていましたし……」

「研究部門からの差し金でも、本人の仕込みでもなく……第三者の、介入?」

「……その可能性は否定出来ません」

本質的には有り得ないと一笑に付すような仮説だが、現実問題そうとしか思えないのだから困る。そもそも実働部門、しかも重戦闘区域に利となりかねない騒動を起こすような相手、誰がいるというのか。

「あ、イデア!?」

「(ぶんぶんぶんぶんぶん)」

「急に飛び出し……あ」

「志葉さん?」

「そうだ、前に……あやめさんみたいなひとから、入江に伝言預かってた」

「(こくこく)」

「俺に……あやめさんみたいなひとから?」

なんだみたいな人って。全員なんとなく疑問符を浮かべながらも入江の動向を注視し……入江もまた、良く分からないままイデアをもちもちと揉みしだく。

「伝言……」

「イデアが録音してる、と思う」

「録音機能あるのかそいつ……」

藍沢先生のぼやきは全員の感想だった。ぼす、と顔面にイデアを張り付けた入江が数秒沈黙した後、勢いよく引き剥がす。

「っ待って!?この声……!」

「?」

「??」

スミレと皇、揃って首を傾げる姿に緊張感はない。アランさんが入江に詳細を問えば、入江は困惑したまま口を開いた。

「夢の中で……『志葉によろしく』と、そう言ったアメジストのひとの声……だと、思います」

「夢の中で?」

「多分夢だったと……でも、あと二人の姿はどこかで……?」

「俺によろしく?」

急に名指しされた形となった皇が更に首を傾げている。……一体、何が起こっているんだろう。

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