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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第四章 あの日、伸ばせなかった手を
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第二十二話 ずっと、貴方を探していた・裏編

 首根っこ掴んで後ろに引き倒す。向けられてる視線が明らかに咎めるようなものだったけど……丁寧に扱ってほしいんならもうちょっと平穏に行くべき。

「お前が、入江の探し人?」

 何だろう、童顔だなコイツ。やけに童顔……というか、造形が同世代というか。アランの発言、戯言じゃなかったんだ……どこで気付いたんだろうな、アラン自身はコイツと会ったことないだろうに。

「貴方は、重戦闘区域の……」

「……青藍だよ」

 何で俺のこと知ってんだコイツ。言っておくけど重戦闘区域で職員以外に知られてる面子、シンとコンちゃんくらいだと思ってるんだけど。

 興味があるけど警戒もあるのか、小動物たちは俺の足元でちょこちょこと頭を覗かせてはぱたぱたと隠れることを繰り返す。普段よりちょっと騒がしいな。いや別に声を出してるわけでもないし、足音だって煩いわけじゃないんだけど、気持ち的に。

「外羽華蓮です。こんにちは……?」

「ん、こんにちは」

「とーちちあー……?」

「み、みゅ」

 お、好奇心に負けて出てきた。スミレだけは興味なさそうに俺の足を背もたれにして寝ようと……いや流石にそれは無理があるでしょ。転がる前に回収してるとその間にみうととあが外羽になにやら近付いていた。多分外羽に言葉は通じてないけど。

「入江が探してるから保護しに来たんだけど」

「保護……っそうだ、ノエルさんが!」

「知ってる。というか、アイツに頼まれてお前を先に引っ張ったんだよね」

 ノエルの特性(アビリティ)はとてもシンプルで、「死角に移動する」というものだ。……事実それだけの特性ではあるのだが、本人が敢えて開示していない情報がある。具体的には、死角というのは物理的なものでなくてもいい、という部分だ。

「監視カメラでも未来予知でも……思考の外で動くものに関してはどうしようもないからね。対策取られる前にさっさと動いた方が良かっただけ」

「思考の……ああ、そういう……?」

「み?」

「確かに、基本的に特性は指向性を持たせるものですかね……」

明言はしなかったけど察しがついたらしい。……正直あんな発言だけで把握出来るんだとしたら相当頭のキレが良いぞコイツ。あんまりというか、絶対敵に回したくないな。

「……保護の申し出は有難いんですが、まだ……やることが残っているので、出来れば遠慮したいんですが」

「……やること?」

「とたいとー?」

「はい。実は――――」


 ひとつ、馴染みのある気配があった。俺に同化するような、かつてを想起させるような、最近知ったような、もうずっと、一緒にいたような。

「……スミレ」

「(コクッ)」

 ぴょい、と俺の腕から抜け出したスミレが離れることを確認する。殊更にゆっくりと振り返ったのはちょっとした抵抗、最終宣告と言い換えても良い。

「……何も言うな。もしこれ以上”同じ”ものを見つけたら、俺はお前の事情すらも無視して全部潰す」

「…………」

 見た目が似ていなかったのは……訂正、瓜二つじゃなかったのは幸いかもしれない。だからといって手加減出来るほど、平静を保てるほど遠いわけじゃないけど。

「青藍さん……!」

「話は後で聞く。……こういうの、一番嫌いなんだよね」

きっと、アランに向けた嫌味だろうとは知ってるけどさ。……別に、アラン以外が怒らないとは、言ってないもんね?

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