女神の目覚め
チッチュン。チッチュン。
小鳥のさえずりに爽やかな風。
美しい緑の樹々の間からこぼれ落ちる暖かな陽の光。
背中の感触から推測するに、私はどうやら柔らかな草の上に寝転んでいるようだ。
あーら、天国ってなんて気持ちがいいのかしらね。
こんなに心地がいいのだから、間違いなく地獄じゃなくて天国に来れたってことね。
まあ、友人を救ったし、万引きもした事ないし、地獄に落ちる要素はないので心配はしてなかったけどね。
「そこに倒れているのは、何者だ!ハッ!腹に傷があるじゃないか!生きているのか!!?」
いーえ、こちとら死んでおりますよ〜!
と、返事をしてみたものの、声の主の足音がこちらにどんどんと近づいてくる。
足音の主が気になるけど、なぜ起き上がらないのか。
天国なので腹部の痛みは感じないのだが、先ほどの学校襲撃事件で、こちらは疲れておりますので、ちょっと気力が回復するまでほっておいてほしいんですわ。
天国なんですし、ゆるりといきましょうや。
「生きているのか!若い女だな!誰に撃たれたのだ、魔物がでたのか!!?」
おうおう、天国なのにやたらテンションが高くて、やる気満々の人がいるんだなぁと、声がする方にゴロリと向いてみることにした。
すると、濃いグリーンの髪の毛に、髪の色と同じ瞳の、とんでもないイケメンが向かってくるではないか。短い襟足に少し長めな前髪、切れ長の目がとってもセクシーな彼だが、コッテコテな貴族風の衣装を身にまとっている。
「大丈夫か!?ハッ………!何という事だ。女神様……なんと美しい。今助けます!!!!」
え、今なんとおっしゃいました?