9話
サトリ「国に雇われた冒険者か。それで交渉というのは?」
「俺らは急遽作られたこの建物について調査するため、派遣されたんだ。もし魔物であれば現在の状態の把握。交渉の
余地があれば交渉してくるようにって!」
サトリ「そうか…この短い間で考えた嘘にしては理には適っているが…目が泳いでいては意味をなさないな」
「嘘じゃねぇって!」
サトリ「それでは交渉するための準備が足りなかったな。書状が一枚もない時点でな」
「書状!?なんの話だ!?」
サトリ「国から交渉を任された者には交渉材料が書かれた書状が渡されるものなんだ。それがないということは…」
「…まさか…」
サトリ「お前らが嘘をついているのが一つ、そしてお前らも国から嘘をつかれている。残念だったな」
「助けてくれ…」
サトリ「合計4人か…この領域も甘く見られたものだな」
「助けてくれ…」
サトリ「お前らはどこの国からのものだ?」
「マギル王国…」
サトリ「マギル王国といえば最弱国か…甘く見たのか雇う金すらなかったのか…」
「助けてくれよぉ!」
サトリ「サン、四天王にこいつらの処遇を任せる。一人ずつ好きにするがいい」
サン「サトリ様ありがとうございますー!」
「ヒィ…」
サトリ「クルード」
クルード「ここに。マギル王国まで飛びますか?」
サトリ「愚か者どもへの復讐だ」
―
「あの阿呆どもまんまと捕まりおったか…まさか魔の領域が再復興しているとは思わなかったな。昔の救世主も魔神を
倒したなんてもしかしたら虚言であったのやもしれんな」
『どんどん醜い豚になっているな』
「誰だお前は!?どこにいる!?」
『愚か者どもへの復讐だ』
直後、空を覆う闇。
荒れ狂う住民たち。殺し合う兵士ら、ついには国王までも手に掛ける。
『神呪』
唱え終わった時には国が赤黒く染まっていた。