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「俺は多分結婚に向いてないから」と自覚的に周囲に吹聴して回る限りにおいて、恐らく其の通りに孤独を玩び余生を締め括るのだろうと思う。
内面の瑕疵を挙げればキリは無いのだ。無精の性質は言わずもがな、色惚けも三十路の峠を越していや増さんばかり。中でも随一に自己嫌悪の止まぬ悪癖は、自身の価値観に合わない物へのヘイトを隠す気が無い事だった。
生来の欠点、なのだろうと思う。善なる自分が喪失によって歪められたとは思えない。元々この程度の人非人が彼のお陰で一時人並みの良心を得て居たのだと思いたい。「愛する人を喪ったからと言って何をしても良いと思うな」、などと賢しらに後ろ指でも向けられた日には恐らく其の指をへし切った程度では収まりがつくまい。
心穏やかに過ごせていた日々の経験が有るからこそ自身の悪徳に確信を得ると言うのも皮肉な話である。