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星空を引き裂いて

シェリル「というわけで始まりました、第二回粛清クッキングのお時間です」

ルシフェル「助手のルシフェルです。オリジナルが休暇中なので代打です」

シェリル「今回作るお料理は【アンチのたたき】です」

ルシフェル「もう嫌な予感しかしません」

シェリル「食材は生姜、ニンニク、ネギ、それから”SNS上で私を誹謗中傷してきたアンチ共”です」

ルシフェル「とりあえず助けに入る用意だけはしておきます」

シェリル「まずは下処理をしましょう。アンチが動かなくなるまでひたすら渾身の力で叩きます」

ルシフェル「ぼ、暴力反対暴力反対! ちょ、カメラ! 誰かカメラ止めてぇ!!!」



 学生の頃、大阪の親戚のところに行く時に飛行機に乗った事を思い出した。


 何かの用事だったか、それとも家族旅行のついでに親戚の家を訪れたのか、その辺の細かい事は覚えていないが、その時初めて飛行機に乗った(そしてその2ヵ月後の修学旅行では東海道新幹線に乗った)。


 人生初の飛行機の感想は、「ジェットコースターに似てる」という事だ。離陸する時の加速や着陸前の”落ちている”ような感覚はジェットコースターの急降下の時に抱くそれで、腹の下がぞわぞわするような感覚は紛れもなく同類だと確信している。


 合計30機の機甲鎧(パワードメイル)とそれらの武装及び弾薬、パイロットたちと専属の整備兵、その他各種機材を大容量の腹の中にたっぷりと詰め込んで、世界最大の超大型輸送機『An-225ムリーヤ』がリュハンシク空軍基地の大型滑走路から飛び立った瞬間だった。


 ふわりと浮き上がる感覚に、加速してシートに押し付けられる感触。ああ、そういや大阪に飛行機で行った時もこうだったな、と前世の記憶を思い出しながらスマホを取り出した。


 メールの受信トレイにルカから返信が届いていた。しばらく会っていない弟分の身を案じてオカンみたいなメールをついつい送ってしまい、思春期真っ只中のルカ君にはちょっとウザかったかな、と反省していたのだが、返信の中身を見て安心した。


 毎日訓練は厳しいけど頑張っている事、ノンナと2人でメールを見た事、そして文末の『ミカ姉も元気でね!』と顔文字を添えた一文についつい涙腺が緩くなってしまう。


 よかった、元気そうで。


 いつの日か―――この騒動が落ち着いたら、改めてキリウを訪問してみよう。公務の時のついででも、あるいは休暇で遊びに行く時でもいい。ルカとノンナが好きな菓子パンをたっぷり買って、それから……。


「そうだよな」


 そのためにも、護らなければ。


 100年先……いや、1000年先まで続く未来を。


 今頃、先陣を切って戦っているであろうパヴェルに思いを馳せ、静かに息を吐いた。


 作戦の成否はお前にかかってるんだ―――頼んだぞ、パヴェル。


















 ギャオゥッ、と空がく。


 血のように紅い光が夜空を割いた。プラズマ化した大気の渦輪をその身に十重二十重とえはたえに纏いながら飛来した閃光―――敵機の搭載しているであろうレーザーキャノンの一撃は、俺のSu-57Rを直撃する事なく突き抜けて雲海を撃ち抜くや、純白の海原にぽっかりと大穴を穿った。


 直撃はしていない。


 掠めてもいない……筈だ。


「……クソが」


 しかし機体の装甲表面には高熱警報が出ている―――あんなものが直撃したら最後だ。装甲に、そしてインナーに賢者の石を使用していようと、断熱圧縮熱対策に機首部分に採用したゾンビズメイの外殻で製造した装甲だろうと、撃ち抜かれておしまいだ。


 いや、掠めてもアウトだろう。あのレーザーの周囲にはプラズマ化した大気が纏われている。溶断されるか、そうでなくとも熱で機体がイカれるか―――どう転んでもまともな結果にならないのは確かだ。


 バレルロールしつつ急降下、そのまま敵の空中戦艦の方へと向かう。


 すぐさま飛んでくる速射砲とCIWSによる対空射撃。お前は第二次世界大戦中の戦艦の生まれ変わりかと言いなくなるほどの弾幕を掻い潜り、真っ直ぐ飛んでくる速射砲群の砲撃を躱しつつさらに加速。機体後方で炸裂する近接信管搭載型の砲弾の爆炎を尻目に、対艦ミサイルを近距離で放つ。


 ミサイル発射を命じるや、機体のAIが『距離が近すぎる』旨の警告メッセージを出してくるが知った事ではない。どの道、腹の中に2発もヤンデレの愛の如く重いミサイルをぶら下げたまま勝てるほど、俺のケツについた敵機はヤワではないのだ。


 思考で命じ発射システムをオーバーライド。お構いなしにミサイルを発射する。


 迎撃中の敵機から、普通では考えられない距離で発射される対艦ミサイルにさすがの敵艦の対応も遅れた。機体から分離された対艦ミサイルにCIWSの弾幕が向いた頃には、ミサイルの弾頭が空中戦艦の装甲を殴りつける寸前だったのだ。


 ズズン、と全長550mの巨体が激震する。対艦ミサイルで殴りつけられた敵艦の船体が傾くが、しかし腐っても空中()()。そう簡単には沈んでくれない。


 続けて主翼下部にぶら下げていた増槽(ドロップタンク)も投下。爆弾の如く、まだ燃料を残したアメフトのボールみたいな増槽が急降下の勢いを得て敵艦の装甲に突き刺さる。


 とはいえ爆弾ではないので爆発はしない―――これを武器にするなら、もう一手間必要になる。


 照準を合わせ、撃った。


 ヴヴヴ、と機種に搭載された27mmリボルバーカノン、それから主翼下部のガンポッド内に搭載した2門の23mm機関砲が火を吹いた。炸裂弾を装填したそれらの弾幕が、装甲にぶっ刺さったまま不発弾の如く沈黙する増槽を直撃するや、対艦ミサイルに被弾し黒煙を吐く敵艦の左舷で新たな火の手が上がった。


 そのまま敵艦下方へと抜け、視界を後方へと向ける。


 機首下部のターレット型カメラが俺の意識にリンクし旋回、更には延長されたテールコーン内部の複合センサーも、確かに未だ背後にセシリア(と思われるやべー奴)が乗っているSu-57の姿と反応を捉えている。


 さあて、どこまでついてくるか。


「セシリア……お前がセシリアならよぉ」


 言ったよな、結婚式の時。


 やけにガチムチな神父の前で、俺とお前とサクヤの3人で愛を誓い合った。


 健やかなる時も病める時も、なんたらかんたら。


 その後に誓った―――”どこまでも連れ添う”と。


 だったらよぉ……!


「―――地獄まで連れ添えよなァ!!」


 急降下する機体を急減速、同時に両足を動かす要領でイメージし推力変更ノズルを操作。減速しつつ進行方向に対して腹を見せたSu-57Rの巨体を、推力変更ノズルが生み出した複雑な推進ベクトルが推す。


 急降下中のコブラ―――いや、違う。


 相手に背中を晒して終わりのコブラではない。


 ぐりん、と機首が真後ろを向いた。


 ―――”クルビット”。


 本来ならばほぼ高度を変えずに一回転するそれを途中で中断。後方から追ってくるセシリア機から見て逆さまになったまま機首を後方へ向けてくる―――やられる側からすればたまったものではないだろう。


 そのまま両足に力を込める要領でエンジンノズルから全力噴射。真っ直ぐに地面に落ちていくはずだった機体が、唐突に生じた真逆方向への推力に板挟みに遭い悲鳴を上げる。


 身体中にのしかかる9G。機体が《Внимание, риск распада в воздухе(警告、空中分解の恐れあり)》と警告音声を発し、耳障りなビープ音がコクピット内に鳴り響く。


 ぐん、と機体が真上へ進んだ。


 大地へ誘う重力の束縛を断ち切って、今度は空へと舞い上がっていく。


 咄嗟に右へと回避―――直後、血のように真っ赤な閃光が機体の右側を掠めていった。それに一瞬遅れるかのように、ギャオゥッ、と空間を引き裂くかのような轟音が響く。


 レーザーキャノンが纏う光の渦輪―――プラズマ化した大気の余波を腹に受けた。機体の装甲が悲鳴を上げ、高熱警報が鳴り響く(瞬間的に機外温度が1600℃を記録したが何の冗談だこれは)。


 直後、セシリアの機体とすれ違った。


 Su-57R―――あるいはそれをベースに、身体を機械化していないパイロットでも操縦できるよう操縦システム周りに手を加えた改修型なのだろう。外見はSu-57のそれだが機体が一回り大きくなっており、機首のカナード翼や異様に大きなエア・インテーク、延長され悪魔の尻尾のような威圧感を発するテールコーンなどの特徴でSu-57を原型とした別物である事が判別できる。


 脇目も振らずに急上昇、まずは手負いの空中戦艦からだ。


 空中戦艦の艦底部ハッチが開き、そこからクレーンで艦載機らしき機体が降ろされようとしている。そっちを狙ってやろうかと思ったが……もしあの艦が、俺が居た頃のテンプル騎士団が運用していたタイプの艦から発展したものであるとするならば、狙うべき部位は他にある。


 狙うは艦首下部、三日月状のスリットが入り、複眼のように煌めくセンサーが配置された場所。


 ―――艦橋だ。


 急上昇、敵艦艦首下部を真下から突き上げるように上昇しつつ、27mmリボルバーカノンとガンポッドの掃射を見舞う。


 ガガガ、と敵艦の艦橋に穴が開いた。


 装甲の脆弱部―――艦橋外周に搭載されているセンサー部、そこだけはどうしても装甲が脆い。それこそ戦闘機の機関砲、最低でも23mmクラスで貫通が期待できるほどだ。


 敵艦の艦橋内部に飛び込んだ27mm炸裂弾、そして23mm炸裂弾の弾雨が次々に炸裂。とにかくしこたまぶち込んで、敵艦の艦首の脇を掠めるようにして頭上へと退避する。


「やったか!?」


 視界を後ろへ向けると、ボボン、と艦橋の辺りで小さな爆発を何度も繰り返しながら、急激に高度を落とし始める敵艦の姿がはっきりと見えた。


 やはりそうだ―――あの艦は俺が現役の頃、テンプル騎士団で運用されていた空中戦艦をベースとしているのだ。ならばその弱点も共通していて然るべきなのだ。


 しかもテンプル騎士団叛乱軍は、シャーロットやシェリルの話では人手不足であり、軍の兵器やシステムの各種運用をAIに依存している。艦橋に人員が詰めているのは旗艦パンゲアとシェリルたちの母艦だった『レムリア』くらいのものであり、他の2隻―――『アトランティス』『ムー』についてはほぼ完全な無人運用が行われていたのだという。


 あの艦の艦首側面にはクレイデリア語で【Mёuムー】の表記がある。イコライザーを装填したパンゲアではない。


 だが脅威である事に変わりはないのだ。


 背中に対艦ミサイル2発を叩き込まれ、更には増槽を用いた攻撃で船体を焼かれ、挙句の果てには艦橋まで潰された空中戦艦『ムー』は急激にバランスを崩していった。ダメコンが上手く行っていないのだろう、格納庫と思われる部位が内側から膨らむや装甲をぶちぬいて炎が芽吹き、艦内で誘爆が続いている事が分かる。


 ムーはそのまま船体各所から火の手を上げながら、真下に広がる雲海へと姿を消していき―――その5秒後、純白の雲海が朱い閃光と共に盛り上がった。


 空中戦艦ムー、爆沈。


 とんでもない大戦果だ。よもやこの生涯で敵艦撃沈というとんでもない経験をする事になろうとは。


 推力をそのままに右旋回、敵艦が爆沈した事で生じた黒煙を軸に大きく回り込むように飛行している俺に、今一番聴きたくないビープ音。


 レーダー照射を受けている胸を知らせる警告メッセージ。


 雲海を突き破り、接近してくるのは2発のミサイル。


 機体を減速、そのまま錐揉み回転しつつ右下へと高度を落とす。


 真っ直ぐに向かってきた空対空ミサイルが一旦は後方を通過。しかしどうやら()()()()()()のようで、俺のケツにぴったりついてくるべく旋回して背後を取りやがった。


 機首を上に持ち上げつつ急減速。機体の腹で空気抵抗を受けつつ減速するコブラから、機体の推力を全開にしてそのまま直角90度の進路変更。賢者の石とゾンビズメイの外殻を素材に強度を高め、Rシステムによる制御と次世代型推力変更ノズルが無ければできない芸当だ(それでも帰還したら機体各所のオーバーホールが必要になるだろう、整備兵に優しくない飛び方である事は反省する)。


 ミサイルはさすがにこれにはついて来れなかったようで、なおも追尾しようと足掻くような挙動を見せながらも雲海へと姿を消し、二度と戻ってくる事は無かった。


 ごう、と空を薙ぐ紅い閃光。


 発射地点に視界を向け、カメラをズームアップ。


 さっきのSu-57―――セシリア機だ。機体下部のウェポン・ベイに、機体後部から機首の真下にまで達する長大な砲身をぶら下げている。おそらくはアレがテンプル騎士団叛乱軍が実用化したレーザーキャノンなのだろう。


 砲身は上下に展開、ワニの口さながらにぱっくりと割れた砲身の上下にあるパネルが開き、そこから上記のようなものが漏れ出ている。


 あれだけの熱量を生じるのだ、放熱しなければ連続では撃てないのだろう。加えてまだ実用化から日が浅く、技術も洗練されていない可能性も高い……砲身寿命も短いと見るべきか。


 だが被弾すれば即死は免れない。文字通り()()()()で飛んでくるのだから、撃たれる前に射線を予測して回避するしか生き延びる術はない。


 カッ、と砲身が閃いた。


 甲高い、金切り声のような轟音を発して放たれるレーザーキャノン。左へ急旋回した俺の後方を突き抜けていき、星空へと消えていった。


「!」


 レーダー照射。


 セシリア機からではない―――別の敵機だ。


 レーダーをチラ見してから舌打ちする。最初のブースターでの突入時、置き去りにしてきた敵機たちが今になってこっちに追い付いたのだ。


 敵機からのミサイル攻撃。当然ながらスルーするわけにもいかず、推力を限界までブチ上げながら急上昇。シートに押し付け潰さんとするGに抗いながら、激震するコクピットの中で速度と高度計、ミサイルとの距離や敵機の位置に気を向けながら限界まで上がっていく。


 高度16000……16500……17000。


 コクピット内で生体部品さながらに安置された自分の肉体。その口元に装着された酸素マスクの呼吸音がやけに間近に聞こえる。


 高度19000……20000……21000。


 ミサイルはまだ追ってくる―――セシリアも、その他の敵機も追ってくる。


 遥か後方、純白の雲の絨毯が遠退いていく。


 目の前に広がる暗黒の海原。


 これだけ上昇したのに、まだ星空には手が届かない。


 ああ、宇宙だ―――あと一歩のところまで迫ったそれに名残惜しさを感じながらも、機体を減速へと展示させた。


 エンジンノズルが大きく開き、赤々と燃え盛っていた炎が消える。


 途端にSu-57Rが地球の重力に捕らえられ、引き摺られるように地表目掛けて落ちていった。


 失速警報(ストール)


 ビープ音、《上昇せよ(プルアップ)》と捲し立てる警告メッセージ。


 呼吸を整えた。


 エンジン音も、警告メッセージもビープ音も、今や全て蚊帳の外だ。


 聞こえてくるのは自らの心音、そして―――空の音。


 身を躍らせた。


 今やこのSu-57Rは、俺の身体の一部だ。エンジンも翼も、アビオニクスも、その全てが。


 失った手足よりも遥かに自由なそれを操って、後方から追随してきたミサイルたちの間を()()()()()


 ヘッドオンで向かってくる敵機が、生意気にも機関砲を撃ってくる。


 弾道を読み、機体をやや右へとヨー。炸裂弾が左を掠めて飛んでいくが、当たらなければどうという事はない。


 ―――雑兵め。


 27mmリボルバーカノンの短連射、全弾を敵機のキャノピーへと叩き込んでパイロットを砕き、格の違いを見せつける。


 勢いに乗り、逆落としの急降下。


 ヘッドオンは危険と判断し無防備にも腹を見せながら離脱に転じた敵機のどてっ腹、ウェポン・ベイをガンポッドの掃射で食い破りつつ、遥か後方から放たれたレーザーキャノンの一撃をバレルロールで回避。


 融解した装甲の一部が剥離、赤々と焼けた鉄の礫となって空に散る。


 ミサイルをロックオン―――敵機にも届いているだろうが、しかしセシリアは回避する素振りを見せない。むしろ撃たれる前に落としてやろうと思っているようで、ウェポン・ベイを旋回しつつこっちにレーダー照射。更にはぶら下げているレーザーキャノンの砲口に深紅のスパークを纏わせ、一撃必殺の閃光を放たんとしてくる。


 ニッ、と笑った。


 お前が何者かは知らないが。


 この俺を落とせるものか。


 幻覚か、あるいは雲の切れ端を見間違えたか。


 一瞬、俺の機体の周囲を真っ白な天使の羽が舞ったように思えた。


 ああ、そうだ。


 俺には―――天使(ミカエル)がついているのだ。















「ぶっ殺してやるぜジュテェェェェェェェェェェェェェェム!!!」



















 ミサイルの発射と同時に、敵機が紅い閃光を放った。



















 星空に、2()()()()()が生じた。







・Su-57R

 フィオナ博士が開発した操縦機構【Rシステム】を組み込んだSu-57。機体サイズの大型化の他、カナード翼の追加やエア・インテーク、エンジンノズルの大型化、テールコーンの延長などが外見上の差異。加速性、機動性、防御力など原型機と比較すると大きく向上しており驚異的な性能を発揮するが、パイロットの四肢切断及び身体の機械化が前提条件となっており、倫理的に大きな問題を抱えている。

 なお、Rシステムの”R”はテストパイロットであり開発に貢献した速河力也大佐の名前のイニシャルが由来であるという。



・Su-57M

 Su-57Rは倫理的に問題を抱えた機体であったが性能は申し分なく、単機で敵拠点上空の航空優勢を確保できるほどの性能が期待できた事から、倫理観を理由に採用しないというのはテンプル騎士団としても認め難い問題であった。そこでパイロットを”加工”せずともそれなりの性能を発揮できる簡易型として開発されたのがこのSu-57Mである。

 通常の操縦に加え、パイロットから電気信号を拾って細かい動きを補正する事が可能だが、操縦の差異には首に大型の首輪型デバイスを装着する必要があり、その姿はかつての奴隷を想起させる。



・Su-57SM

 上記のSu-57Mをベースに更なる性能向上を図った機体。アビオニクスの更新や半導体の代わりに賢者の石を用いるなど大きく手を加えられた他、実用化が間に合った試作レーザーキャノンの運用が可能なよう、FCSにも調整が入っている。

 叛乱軍が現地改修した事で生まれた独自の派生型であり、現時点ではセシリア機の他にパーツ取り用の予備機が1機製造されたのみとなっている。




・試作レーザーキャノン

 Su-57SMと合わせて開発された、テンプル騎士団初の本格レーザー兵器。原型となったのはステラ博士が速河大佐向けに試作した義手内蔵型のレーザーブレードで、それを大型化・高出力化する事によって生み出されたのがこれである。

 光の速さで飛来する事から発射後の回避は不可能であり、更には周囲に大気をプラズマ化させたショックウェーブを纏う事から直撃せずとも掠めるだけで敵機の撃墜、あるいはダメージを与える事が可能と凶悪極まりない性能をしている。しかし冷却システムに問題を抱えており、1発発射する毎に強制冷却が必須で、高熱に晒されるため砲身寿命が短く、また非常に重く搭載機の機動性を損なうなどの欠点が指摘されており、更なる小型化が期待されている。


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