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08 レーダー反応なし

瞬の出来事に、レベッカもただその光景を眺める事しか出来なかった。


「…凄い…」


「はぁ~。とんだトラブルに巻き込まれたぜ。。」


飛んでいたジークとレベッカはゆっくり地上に戻る。

ジーク・ルアソールの名を聞き、驚いていたガンテツ達ともう一人、レベッカ王女。


「ジーク…ルアソール…って。。あのマスタークエストとかいうやつをクリアした最強魔導士の……。」


「へぇ~!俺結構有名人じゃん!お姫様なのに魔導士なんか知ってるんだ(笑。」


「そりゃ知ってるわよ!国王の娘だからって世間知らずだと思わないでくれる?それにお城のボディーガードとして魔導士の人達を雇っているの!魔導士の事だって知ってるわよ!」


「そうなんだ。城のボディーガードってやっぱ報酬いいのか?」


ジークが冗談っぽく言っていると、レベッカが少し恥ずかしそうに呟いたー。


「……ありがと。」


「…ん?いいよ別に。まさかこんな所でお目当ての王女様に会えると思ってなかったからな!ラッキーだったぜ。」


「さっきからずっとそれ言ってるけど、私達に何か用があるの?……まさか“アンタも王位継承”狙いじゃないでしょうね!」


レベッカの表情が変わり、ジークを睨みつけたー。


「王位継承…?」


「今姉達は“次の王は誰になるか”で毎日言い争っているわ。。それぞれの男を連れてね。」


「は⁉なんだよ~!野郎付きかよぉ~!」


ジークは全身項垂れるように溜息をついた。


「……え…?」


「くっそ~!流石に美人と言われているだけあって男がいたかー…。お姉さん三人共いるの?」


「アンタ…そういえば姉達が“美人”か私に聞いたわね?ただ綺麗なお姉さんが目的…??」


「当り前だろ。綺麗なお姉さんにモテなかったら男に生まれた意味がねぇだろ!王位継承?そんなつまらん事に興味はない。はぁ~ぁ~…。ここまで来た意味一気になくなったなぁ……。帰ろうかな。」



「何を言っておるかジーク!!!!」


「ワッ⁉⁉…ジイさん!!」


ジークの前に創造神が突如現れたー。漫画やアニメなら「ボワンッ!」と効果音が付きそうだ。


「お前さんという奴は!ちょっと目を離したらなんじゃこの有様は!!」


創造神は真っ黒こげに倒壊した瓦礫の数々を見渡しながら言った。


「話せば長いんだよ。でも結果オーライだ!」


「何がじゃ?それにそこにおる子は?」


レベッカを見ながら創造神が聞いた。


「聞いて驚け!俺は今人間やモンスターの売買をしていた闇ショップを潰した。ジイさんが言っていたチンピラ魔導士共をな!そして…コイツ!!」


ジークが自信満々にレベッカを指差すー。


「なんとここいる彼女はセーリオ王の姫君!美人四姉妹のうちの一人!レベッカ王女だ!!」


「おおーーッ!!やるではないかジーク!」


「ああ…。だが創造神よ。残念な事に、レベッカは俺のタイプではない上に残すお姉さん達も男連れらしい…。最早詰みだ。こんな状況でデューエルなんてやる意味あるんだろうか…?」


「またバカな事を言っとるのぉ…。」


「何アンタしれっと失礼な事言ってるのよ。」


レベッカと創造神二人に突っ込まれるジークだが、返す元気もなくなっている。


「それよりお嬢さん。君は本当にセーリオ王の娘さんか?」


「ええ。そうだけど。…失礼だけどお爺さん誰ですか?私物騒な奴らに襲われるわ、猫が喋るわ、そしていきなりお爺さんが現れるわで全然頭が付いていかないんだけど…。しかもお爺さんまで私達に何か用があるみたいだし。一体何なの?」


「そうか…それはそうじゃな。いきなり現れてワシらの都合ばかり話しておるわぃ。すまんのぉ…。」


創造神はペコっと軽く頭を下げた。そしてバツが悪そうに話を続けるー。


「じゃが、ワシらも大事な要件があって来たんじゃ…。レベッカ王女と言ったかのぉ?君に関係ないと言われればそうなんじゃが、どうしても君らと話しがしたいんじゃ。」


「ふ~ん。まぁ王位継承の事じゃないみたいだし、一応助けてもらったから話ぐらい聞くわよ。」


「そうかぃ。ありがとのぉ。実はじゃな……。」


創造神はレベッカに全てを話したー。

誓約書に始まりデューエルが開かれる事、ジークが猫に転生した事。

創造神とジークが何の目的でここギル王国を訪れ、レベッカ達王女に会いたがっているかを。

包み隠さず真実を話したー。

そしてーー。


「………………………。」


話を聞いたレベッカはフリーズしている。

そんな数秒の沈黙をジークが破ったー。


「…な?こんな話誰にしてもこういう反応だぜ?」


茫然としているレベッカの頭をコンコンと叩きながらジークが言った。


「まぁそうじゃろ……。」


「何それ!!すっごい面白そう♪♪」


「「………ん??」」


予想外のレベッカの反応に、ジークと創造神は無意識に目を合わせ首を傾げた。


「ドラゴンとかデューエルとか転生とか…!!本当にあるのね!すごーいッ!!」


レベッカは何やら喜んでいる様子。


「なんだお前…驚かないのか?」


「驚いてるわよ!本当にそんな事があるんだって!全部本でしか読んだことないもん!」


「本でって…。」


「反応は意外じゃったが喜んでくれてるみたいで何よりじゃな!」


「切り替え早いなジイさん。」


すると突然レベッカが勢いよく手を挙げた。


「はい!私なるわ!」


「…何に??」


「何って!デューエルの条約にあるって言う“リーダー”よ!!」


「はぁ⁉お前が⁉」


「ええそうよ!だってそれが目当ててここまで来てんだよね?」


「いや…まぁそりゃそうなんだけど。。」


「じゃあ決まりね!リーダーは私がなるわ!」


「ホッホッホッ。話が早くて助かるのぉ!」


「おいおいおい。ちょっと待てって!俺はリーダーは美人な“お姉さん達”の誰かがいいんだよ!コイツじゃなくて。」


ジークはレベッカを指さした。


「アンタ本当に失礼な奴ね!別にいいじゃない私で!」


「そうじゃぞジーク。こんな話をすんなり受け入れてくれる子なんて滅多におらんぞ。それにレベッカ王女も噂以上の美女ではないか。」


「いやダメだ!タメのお前じゃ俺のお姉さんレーダーが反応しねぇ。」


「なんなのよアンタ!何そのレーダー!」


「俺は“年上の綺麗なお姉さん”がいいんだ!!!」


ジークは悔しそうに地面を叩くー。

その発言と光景にレベッカと創造神は呆れてものも言えない。


「美人姉妹なんて絶対に見に行かなきゃ此処に来た意味がねぇ!すでに楽しみの“四分の一”が無くなっているのによぉ……!!」


「ちょっとそれどういう意味よエロ猫!!」


「とにかくお前がリーダーは認めない!俺はお姉さん達の誰かがいい!」


「またアホな事をいいよる…。」


「男たるもの年上の綺麗なお姉さんを見逃すなんて重罪だ!何が何でも美人お姉さんを見に行く!話はその後だ!」


「……こんな奴が本当にドラゴンを倒した最強魔導士なの??信じられない!」


レベッカはドン引きで創造神に問う。

創造神も最早溜め息しか出なかったのは言うまでもないー。


やれやれと言わんばかりにレベッカがジークに言った。


「…まぁいいわ。そんなに見たいなら会わせてあげるわよ。姉さん達に。」


「なに⁉⁉本当か⁉」


「ええ。行きましょう。」


「お前やっぱいい奴だなぁ~!」


「まぁ会えば分かるわ…。」


「…??」


「アンタの“理想の美人お姉さん”は“現実では最悪お姉さん”ってことをね(笑♪」


レベッカは悪魔のような不敵な笑みを浮かべながら言った。



こうしてジーク達は城へと向かうのであった―。



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