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44 少しずつ

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~ギルド超 猫スーパーキャット



あれから一行は、依頼主のゴードンに今回の経緯を全て伝え、まさか猫が戦ったと微塵も思わないゴードンは、「ありがとう!」と“レベッカ魔導士”にとても感謝していた。


魔道機関にてクエストの手続きをしたレベッカ。

経緯を伝えると受付の人達にとても驚かれた。傍から見れば可愛い女の子にしか見えないので無理もないだろう。事実普通の二十一歳の女の子である。

ロイドン達を引き渡し、保護した動物やモンスター達も診てもらえた。何も異常なければ自然へと還してくれるそうだ。


魔道機関の関係者がロイドン達の情報を処理していると、どうやら裏リバースギルドに所属していたらしく、裏で相当悪事を働かせていたらしい。


なかなか手掛かりが掴めなかったロイドンは、一時世間を恐怖させた、“猫虐殺事件”の犯人“ロイドン・キャット・キラー”と呼ばれていた人物だということが分かった。


事件の始まりは一匹の猫が無残な姿で発見された事だった―。

それから七日連続で同じ様な出来事が起き、その倒れた猫の近くに決まって“Roydon”と地面に血で文字が書かれていたことから、ロイドン・キャット・キラーという名で連日ニュースが流れていた。

この事件はアレフ大陸に住む者にとっては記憶に新しい事件だ―。


随分前から動物やモンスターの虐待や売買を繰り返していた重罪人としてロイドンを追っていた魔道機関、警察、その関係の魔導士達は、レベッカにとても感謝している様だ。


そんな恐ろしい奴だったとは思わなかったレベッカは、話を聞いてつくづく無事で良かったと安堵している様子。

そんなこんなで一行はギルドへと帰って来た―。




「「「「――何だコレはッッ⁉⁉⁉⁉」」」」


ギルド、スーパーキャットを初めて見た四人は開いた口が塞がらない―。


それもそのはず、目の前に広がる壮大な光景は観光地でなければリゾートホテルでもない。

どこにでもあるはずのギルド。なのに今まで一度も見た事がないその全貌に、ひたすら驚く事しか出来ない四人であった―。


「その反応は明日でいいから早く中入ろうぜ。」


驚いている者達を置いていき、建設者のジークはスタスタと歩いて行く。


「――ああ~疲れたぁ!」


ドサッ!っと近くのソファにダイブするジーク。


土地の広さに建物の大きさ、その他施設や外観、内観まで全てのスケールが異次元のギルド。

“ギルド”というカテゴリに入るのか?と思う四人だが、ジーク達と出会ってから起きた出来事の中では“一番まともか”。…とも思えるほど、四人の感覚も可笑しくなり出していた―.



「――それにしても…。思った以上にヤバい奴だったなぁ。あのロイドンとかいう奴…。」


「動物に手を出すなんて信じられないわホントに!私がブチのめしてやれば良かったわ。」


「…まぁまぁまぁ。そんな危ない奴を捕まえられたんだから、グイ~ッと一杯やりましょうよキャンディス姉さん!」


「いいわね~そうしましょ!…創造神のジイ様!お酒よろしく♪」


「ジイ様って…。」


「俺はとりあえず飯くれ!」


「俺も貰おう。猫でもしっかり腹は減るもんだ。」


「分かった分かった!お前さん達ご苦労じゃったのぉ!ほ~~れ…初クエスト達成パーティじゃ!」


創造神が豪華な食べ物や飲み物をテーブル一面に出した。


「うっまそ~!!」


「俺コレ食うからな!」


「凄~い!…あ、そうだ!せっかくだから乾杯しましょ!」


皆が飲み物が入ったグラスを持ち、レベッカの掛け声と共に乾杯した。

ジーク達は食べながら今までの出来事から今日までの事、様々な話をしながら楽しそうに食事をするのであった―。


創造神はその光景を見て優しく微笑んでいた。

彼らならこのイリーガルを救ってくれる―。自然とそう思えた夜だった―。


「――おい!今ここにあったの捕っただろ!」


「別にお前のじゃねぇだろ!食ったもん勝ちだ!」


「ふざけんな!俺が食おうと思って目の前に置いてあったんだよ!」


「うるさいわね!食べる時までいちいち喧嘩してんじゃないよ面倒くさいね!」


「創造神。コレのお替わりを貰いたい。」


「あ!お替わり出せんのかよ!ジイさんこっちも頼む!」


「おいおい!こっちも飯足りねぇぞ!」


レベッカの目に映る猫の暴飲暴食は異様な光景だったがもうそんな事は気にしない。


「…賑やかなのはいいけど、もう少し静かにしてほしいわ…。」


少しずつ…。本当に少しずつだが、ジーク達は確実にデューエルに迫っている。

仲間も集まり、ドタバタギクシャクながらも、初めて全員で今日一つのクエストをやり抜いた。

お互いがお互いに少しずつ認め合ってきている。



そして…

今日のこの出来事が、フレア大陸に…更にはイリーガル全土の魔導士達に伝わる“新魔導士”誕生の日となった―。


この新魔導士が一体何者なのか…

それを知るのは明日早朝のお話――。

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