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33 ネコラ―紹介

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


~フレア王国・街外れ~


翌日―。


前代未聞の失敗転生で、四人の若者が同時に猫になった日の次の日。

あれから一晩謝り続けた創造神と一向に許さない四人。


怒りが全く収まらないが、猫になってもしっかりお腹が空く事に気付き、一時休戦で皆仲良くご飯を食べ、色んな疲れからか、その日はそのまま皆眠ってしまった。


創造神は寝言でも謝っていたらしい。。

そんなこんなで迎えた朝―。


――バシャ…バシャ…。


「…ぷはぁ~!スッキリ!」


近くにあった湖で顔を洗う紅正。

水はとても奇麗で透き通っている。


「…なんだ?もう馴染んでるじゃん(笑」


「どこがだよ。動きづらくてしょうがない。」


一夜明け、少し冷静になった紅正。吹っ切れたのか、自然とジークと会話する。


「切り替え早いな。」


「昨日散々怒ったからな。もう疲れた。」


「俺はイライラで大地砕いたけどな!」


「なんだそれ。。俺も完全に許した訳じゃないけど、いつまで言っても変わらないからな。それに一応戻れるみたいだし。いつか分からないけど。」


「肉体と精神が一致っていつだよって話だもんなぁ。ちなみに俺はまだ全然らしい。」


「はぁ~マジかよ。お前でも見込みすら分からないのか…。意外と先が長いぞコレ。」


そんな会話をしながら湖から数十メートル離れた皆の所へ戻ると、全員起きていた。


「――よし!皆起きたのぉ!じゃあ元気に仲良くブレックファーストといくか!」


創造神が元気に声掛けをする。


「自分のした事分かってるのあの人…?」


「ビックリするだろ。あれで本人は大真面目だからな。」


キャンディスがドン引きしているところに、ジークが優しくフォローを入れた。


「こんなになっても腹は空くし眠くもなる…。」


「意外と猫も悪くないか…。」


「受け入れ早過ぎだろお前!」


キャンディスもグリムもシドも、昨日より気持ちに整理が付いてきたのか、普段通りだった。…見た目以外は。


「まぁ…積もる話しかないと思うけど、とりあえず食べましょ!お腹空いた!」


レベッカが少しでも場を明るくしようと元気よく言った。


「――んで?“昨夜の話の続き”だけどよ…。」


ジークが話を切り出す。

それに紅正も続いた。


「…そうだな。とりあえずこのハプニングは一旦置くことにしよう。創造神の話だとちゃんと戻れるらしいから。」


「いつか分からないけどね。」


「……すまんのぉ。」


「過ぎたことを言ってもしょうがない。大事なのは“これから”だ。そもそもそこが本題だからな。」


「まさか猫になるとは…。」


「ただでさえ現実味がない話なのに、余計な事で更に話が脱線してる。」


「……すまんのぉ。」


「もう謝るの止めてくれる?“創ちゃん”。」


「創ちゃんって…まさかジイさんの事…?」


「そうよ。だって長いし呼びにくいじゃない。」


「創ちゃんええのぉ♪」


「アンタは少し黙ってろ創造神。」


一瞬浮かれていた創造神にグリムが釘を刺した。


「昨日の話で、そのデューエルとやらがどんなものかよく分かった。お前等が何の目的で来たのかも、俺等がここに集められた理由も。これから先に起こる事も。猫になってるのは意味不明だが、とりあえずデューエルには参加する。これは変わらない。」


シドが真剣な口調で言った。


「私もよ!願い叶えて貰いたいし、それより先に元に戻してもらわなきゃ話にならないわ。」


「俺もだ。」


「俺もデューエル参加は変わらないぜ。」


四人は改めて参加表明した。


「おぉ…お前さんら…なんて偉いんじゃ…。謝っても謝りきれんが、必ず元に戻すからのぉ!それに皆の願いも必ず叶えるぞぃ!約束じゃ!もう一度契約するかのぉ!」


「「「「それは辞めろ!!」」」」


どんどん息が合う四人。


「キャンディス姉さんがせっかく仲間になってくれたのに…あのセクシーボディを拝めないなんてあんまりだ…。」


ジークの嘆きを当然のように無視するレベッカ。


「そういえばちゃんと自己紹介してないわよね!私はレベッカ!レベッカ・ウォーカー。宜しくね!これから一緒にデューエルで戦う仲間だもん!仲良くしようね!」


レベッカの突然の自己紹介が始まったが、それに乗った紅正の勢いで、他の皆も流れで言う事に。


「そうだな!これから同じ釜の飯を食う仲間だ!自己紹介ぐらいしないと…。俺は卍山下 紅正。このアレフ大陸のフレア王国出身!ギルドには所属していない、流浪の魔導士だ。宜しく!」


「次私?…私はキャンディス・トール。ベート大陸のトベ国出身よ。所属ギルドは四ッ翼の鴉(クワトロクロウ)。よろしく。…次アンタよ。」


「マジか…。俺はグリム・ウェントス。出身も所属ギルドもコイツと同じだ。」


グリムは親指でクイッっとキャンディスの方を差す。


「シド・オンブル・スカ―。出身はヘゴ大陸ゴーヘ王国。所属は赤い影(レッドファントム)。」


素っ気なくシドも自己紹介を済ませた。


「へぇ~!皆やっぱり強いんだね!クワトロクロウもレッドファントムも、私でも知ってるギルドだよ。」


そう。魔導士ではないレベッカでも認知している程、グリム、キャンディス、シドが所属しているギルドは、イリーガルでもそれぞれの大陸で一、二を争う有名ギルドだ。三人と紅正はランクS魔導士。


「へぇ~。会った時から“少し”は強そうだと思ったけど、お前等そんな有名なんだな。」


流浪の紅正と、お姉さん以外に興味がないジークはこの手の知識がまるで皆無だ。


「“少し”じゃなくてお前より明らかに強い。」


紅正の言葉に突っかかるグリム。


「弱い奴ほどなんちゃらってな。」


「あぁ?」


「そんなとこでいちいち張り合わないでくれる?」


「まぁ俺からすりゃ全員足元にも及ばないけどな(笑。」


「「「「……。」」」」


ジークは冗談で言ったが、四人はしっかり理解していた―。

“ジーク・ルアソール”。この男には例え四人相手でも敵わない…。圧倒的なレベルの差―。


幾度となく修羅場を潜り抜けてきた四人でも、今まで出会った奴の中で“最強”だと認めざるをえなかった―。


「――ん?どうした急に黙り込んで。俺の顔に何か付いてるか?」


紅正達がそんな事を思っているとは一ミリも思わないジークは、飄々(ひょうひょう)としていた。


「まぁ何はともあれ……お前等もめでたく“ネコラ―”の仲間入りだな!!」


「「「「めでたくねぇッッ!!」」」」


ここでも息が合う四人だった―。



「――つか、ネコラ―ってなんだよ。。」

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