31 これがネコラー!超猫!
「………。」
「なんだ…?何か暖かい感じだな。」
「不思議な感じ~。」
「──。」
光に包まれた四人は、不思議な感覚と暖かさに包まれ、自然と眠気に襲われた─。
そして深い眠りについた四人。
あれから何時間……いや何日…眠ったんだろう…。
紅正達がそう錯覚する程、長くとても居心地の良い時間であった─。
…だが──。
“現実”では一瞬の出来事であったと─。
“経験者”のジークは目の当たりにした─。
「……ん?…“アレ”ってもしかして…。」
庭の中央で猫達が入り乱れている。
その中心に、創造神と紅正達四人。
猫の話を聞いていたジークとレベッカは、その光景を数メートル離れた所から見ている形となった。
庭の真ん中で「ニャー!ニャー!」とお祭り騒ぎしている中、ジークはその一瞬の出来事を、猫の目でしっかり捉え見逃さなかったのだ─。
あの時、自身に起きた事と全く同じ光…そしてそれとほぼ同時に、そこにいた“猫四匹”も光を放った瞬間を─。
それを見たジークは不気味な笑顔と共に確信した─。
「──マジか……。“やりやがった”(笑……。ジイさん、“また失敗こいたなぁ”!!♪ハッ~ハッハッハッ!こりゃ面白くなるぜ~おい。」
いけないモノを見てしまった時の変なドキドキワクワク感─。
ジークは今まさにそんな感じであろう。
それと共に、自身の経験から想像できるこの後の展開を思い浮かべたジークは、ニヤニヤと顔が緩むばかりだった。
そして、その時が訪れる─。
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~紅正.グリム.キャンディス.シド~
暖かい光に包まれた四人は、その暖かさに自然と体を任せている─。
永遠に続いてほしいとさえ思えるその感覚に、皆一時の快楽を覚えた─。
がしかし──。
永遠とも思えた快楽は、次第に薄まっていき、夢の中から現実へと引き戻される─。
四人共、フワフワと居心地の良い夢の空間から、少しずつ現実を感じていく─。
寝起きの様な重さに瞼と体が襲われる。
長く眠っていたかの様な気怠さ。体を動かすのがしんどい。
なんとか重い瞼を開き、体を起こす─。
目の前の光景に戸惑ったが、事態をすぐに思い出していく。
光に包まれる直前、創造神の神魔法により、契約を交わそうとしていた四人。
そしていざその時─。突然、大量の猫が飛び込んできた。視界いっぱいに数え切れない数の猫が。
驚いていたすぐ後にあの光に包まれ、今目を覚ましたのだ─。
──パチッ…。
体感では長い時間に感じた紅正、グリム、キャンディス、シド。
目の前の光景は確かに“数秒前”と変わらない…。
たかが少し時間が進んだだけ。それだけの変化だと思っている─。
なのに…四人全員が、なんとも言えない“違和感”を感じずにはいられなかった─。
今までとは明らかに違う感覚…だがそれが“何なのか”まだ誰も気付けない─。
「──ん~…。何が起きたんだ?」
紅正が重たい目を擦りながら、辺りを見渡す。
「…あれで契約出来たって事かしら?」
キャンディスも体を起こし、状況を整理し始める。
「………。」
不思議な違和感を感じるシド。
「何か変な感じだな。…ん?他の奴らどこいった?キャンディス!」
グリムはすぐ近くにいたはずの紅正達の姿がない事に気付く。
そしてキャンディスの名を呼ぶ。
「なぁに?」
声の方に振り向くキャンディスだが、見慣れてるはずのグリムの“姿”が見当たらない。
「─どこだ?」
グリムも、キャンディスの声は聞こえたが、“姿”が見えない。
紅正とシドも、辺りをキョロキョロ見ている。
すると─。
四人の視線の先で、それはもうなんとも言えない程、この世の絶望を見ているかの様な悍ましい顔をした創造神が目に止まった─。
そしてその横には、それはもうなんとも言えない程、イタズラが大成功した子供の様な無垢な笑顔をしたジーク猫がいた─。
二人の表情が意味する事に誰が気付くのか──。
……“それ”に一番最初に気付いたのは………シドだ─!!
「──ッ⁉︎⁉︎おい…!どういう事だッ⁉︎」
シドの声を合図に、紅正、グリム、キャンディスの三人も、自身に起きている異常事態に気付いた─。
「─なッ⁉︎」
「ちょっと!嘘でしょ⁉︎」
「─何が起こってる⁉︎」
そう──。
紅正、グリム、キャンディス、シドの四人も…。
なんと“猫”になっていた──。
「「「「─何だコレェェェェェェッッ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」」」」
四人の……いや、四匹の雄叫びが、フレア王国中に響き渡った──。
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「……………やってしもうた………」
顔面蒼白の創造神─。
「嘘でしょ……何この状況…」
驚くレベッカ─。
「ニャーーーーハッハッハッハッハッ!!!!!」
腹を抱え大爆笑するジーク─。
この日……新たに猫に転生した“ネコラー”が四匹誕生したのであった──!
「ニャーーーーハッハッハッハッハッ!!!!あ~~おんもしれぇ…!!……ようこそ…!ネコラーの世界へ(笑!」
ジークは腹筋が崩壊する程笑い転げていた。