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03 異世界存続クエスト⁉

一旦冷静になった二人。

創造神は誓約書について全て話した。


「……で?この誓約書の内容ってマジなの?……守らないと本当に世界が消滅するって?」


ジークは誓約書を見ながら言った。


「ああ。そうじゃ。ワシもまさかと思ったがのぉ……。その誓約書は“神魔法”というワシ()創造神しか使えん魔力が練り込まれておる。正真正銘本物じゃ。」


「ちょっと待て……。この一番下の“創造神”ってアンタじゃないのか??

()()()ってなんだよ?」


「それは歴代の創造神じゃ。」


「創造神って引き継ぎ制度なんだ……。何代目?」


「ワシ?ワシは一三七零(1370)代目。」


「は??どういうスパン?」


「ワシら創造神は一世代十年という決まりがある。まぁワシらの十年はお前さんら下界では“千年”じゃけどなぁ。」


「創造神も入れ替わってるのか。初めて知った…。……ん?XXX三六九年から千年って……“創造神側”の千年??今何年だっけ……?」


ジークは考え出すと冷や汗をかいたー。


「一三六八年。“今”じゃよ。」


「だッーー!!やっぱりな!!最悪じゃねぇか!!」


「だから来たの。」


「来たの。……じゃねぇよ!何なんだよこれはッ……って待てよ。そっちの千年って事は、創造神の“一年”は俺らの“百年”じゃないか……?今が一三六八年なら百年ある!

俺もう死んでるだろきっと!何だ……やっぱり関係ないじゃん!」


「よく頭が回るのぉ。ホッホッホッ。流石じゃわい!でもな……」


「??」


『この後何か恐ろしい言葉が来る』と、ジークは人生で初めて未来予知が出来た。


「いい線ついてるけどのぉ。凄い細かく言うとジークよ……。確かにお前さんの言う通り、“一年が百年”計算は合ってるぞ。肝心なのは、この()()()()()()()()()()()()()()()()という事じゃ。」


(……何言ってんだこのジジイ。)


ジークはそう思ったが呆れて言葉が出ない。


「分からんか?簡単に言えば同じ一三六八年でもワシから言わせれば、前半後半に分かれる。

もっと刻むと“一三六八.一…”という感じでな。」


「年を小数点で刻んできやがった……。もういい。分かってきた。」


「理解が早くて助かるわい(笑」


「つまり……俺の一三六八年はアンタで言うメチャクチャ“後半”って事だろ?もう一三六九年になるって時だ。“俺”の時間軸で言うと何年後だ?」


創造神はジークに向かってピースサインをした。


「二年⁉⁉……思ってたよりちょー早いな!」


「だから来たの。」


(神でも一回ぶっ飛ばしていいよな……?)


「誓約書通りデューエルを行わなければ本当にこのイリーガルが滅びるぞぃ。」


「全く……。とんでもない事してくれるなアンタのご先祖様はよ。創造神ってのは何をしても許されんのか。」


「創造神全てがこんな事している訳じゃないぞ!きっと何か“理由”があったはずじゃ……。」


「知るかよ。まぁ、誓約書が本物でそのデューエルとやらをやるとして……俺を“猫にした理由”は??」


創造神は下を向き、覚悟を決めた顔つきでこう言った。


「失敗した♪てへっ♪」


その刹那ー。ジークが自身最大の攻撃魔法を、創造神目掛けて渾身の力で放った―。


ズドォォォォォォォォォン!!!!!!!!!


ジークの家を震源地に、半径二百キロ先まで大地が揺れた―。

震源地に近ければ近いほど辺りの草木や大地が変形してしまっている。

物凄い衝撃と轟音の中、空高くまで上がった砂塵が徐々に視界を映し出してゆく―。

ジークが街からとても離れた自然豊かなところに所に住んでいたのが唯一の救いだった―。


「……ゲホっ!…ゲホっ…!いきなり何をするかバカ者!!」


「どこまでもふざけた野郎だなジジイ…。」


猫に転生しても、“最強魔導士”の肩書は健在であった。


「……流石はドラゴンを討伐しただけある。魔導士ジークよ……その力をデューエルにて遺憾なく発揮されよ。」


創造神はジークにグッドポーズをしながら言った。

そしてこの直後、二度目の地震が起きたのは言うまでもない。


ズドォォォォォォォォォン!!!!!!!!!


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


~ジークの家が建っていた場所~


「……ふぅ~………。」


暴れたジークは鬱憤が少し晴れたのか、通常運転に戻った。


「よし。暴れ済んだかの?」


「くそ。本当にイラつくな……。まぁいい。」


「じゃあ早速デューエルに向けて準備をしていくか…「しねぇよ。」


創造神の言葉を遮るようにジークが言った。


「なっ⁉なんじゃと⁉……ジーク!今までの話を理解しておらんのか!」


「したよ。ちゃんと理解した。誓約書も読んで条約と制約ももう全部覚えた。」


「じゃあ何故じゃ……!!」


「関係ないんだよ。このイリーガルが消滅するんならそれがこの世界の運命だった。それだけだ。」


「何を言っておる!!お前もイリーガルも全てが無くなるんじゃぞ!」


「だからもうしょうがないだろそんなの。大体、そのデューエルに何で俺が出なきゃいけないんだよ。他の奴でいいだろそんなの。そんな事よりまず元の人間に戻せよ。消滅まで猫なんて御免だぜ。」


「いや、そこがまた問題でのぉ……。」


創造神はバツが悪そうに呟いた。


「おいおいおいおい。まさか……“戻れない”なんて言わねぇよな……?」


まさかの発言に、落ち着いていたジークの魔力が一気に全身から吹き出るー。


「しょ、しょうがないじゃろ!!お前さんの願いを叶えて下界に返そうとしたらこの誓約書が飛んできてその内容にワシは超ビックリして心臓止まりかけたんじゃそうしたら手元が狂って後は家に帰すだけのはずがちょっとしたよそ見で近くにいた野良猫に転生させてしまったんじゃそれは本当に悪いと思っとる!!ごめん!!」


息継ぎなしの怒涛の逆ギレ謝罪。


「なんで逆ギレしてるんだよ……間違って猫にしたのを戻してくれるだけでいいんだよ。」


「だからのぉ……それは出来ないんじゃ。いくらワシでもな……。」


「え?何で??」


「命ある転生魔法は一度使ったら同じ者にはすぐには出来ん。暫くして肉体と精神が馴染んだらまた出来るがのぉ。」


「……噓だろ……。」


ジークは地面に項垂れた。


「俺はマスタークエストをクリアしたのに……願いを叶えてもらうはずだったのに……。」


「すまんのぉ。若者の夢を奪ってしまって……。」


メリ……メリ……


「……クッソ………教えろ…創造神。」


「?」


メリメリ……


「……今すぐには無理でも……ちゃんと元には戻れるんだな?」


「ああ。お前さん次第じゃが、完全に猫の体を自分のものにして、肉体と精神が整えば戻せるぞ。」


「そうか……。でも最早お前を信用出来ん……。条約四条にある”勝者チームにはどんな願いも一つだけ叶える権利を与える”。この権利は俺が貰う。そして体は当たり前に戻してもらう。

そして更に!!

もしデューエルで勝ったら……その権利を使ってもう一度俺の願いを叶えろ。」


「…!!……デューエルを受けてくれるのか……?」


「俺が聞いてんのはそっちじゃねぇ!答えろ……その権利で俺の願いを叶えるのか?」


メリメリ……メリ………


「も、もちろんじゃ!お前さんの想像を絶する程、可愛いナイスバディなお姉ちゃん達に激モテじゃ!イチャイチャラブラブし放題!むしろお前さんが元に戻りたいと後悔するくらいのエロエロパラダイスじゃ!!」


「……よぉ~~し…………!!!分かった……。」


メリ……メリメリ…………メリ……


「さっきから“メリメリ”なんの音じゃ……ッッ⁉⁉」


メリメリメリメリ……!!!!

地面に項垂れて、うつ伏せで倒れていたジークの体がどんどん下にめり込んでいくー。


「もうチマチマ面倒くせぇ……。俺のパラダイスを邪魔する奴は全員消滅させてやる…!!!」


ズズズズズズズズズズズズズズッッーーー!!!!


地中深くまで地割れと共にめり込んでいくジーク。ピタッ!っと音と揺れが止まったかと思いきや、今度は凄い勢いでジャンプしそのまま上空へ飛んでいくー。


ビューーーンッ!!

ジークは何やら空目掛けて構えている。


「うぉぉぉぉぉぉ!!!……俺のパラダイスは邪魔させん!……勝つのは俺だァァァァ!!!」


ブォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!


ジークは宣戦布告と言わんばかりに、大空目掛けてこの日三度目となる自身最強攻撃を放ったー―。

創造神は眩しそうに空を見つめた―。


「……イリーガルの存続を懸けた異世界存続クエスト……と言ったところかのぉ。」



この日から、新たな伝説が始まったーー。

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