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29 猫が最強

~建物内~


一騒動が落ち着き、今この建物の中にはジーク、レベッカ、創造神の三人加え、紅正、グリム、キャンディス、シドがいる。言い方を変えると、ジーク達がこのフレア王国に来てから出会ったジーク以外の新たな“四人の魔導士達”―。


“偶然”にもここに、間違いなく“ランクS”の魔導士達が集まっており、その魔導士達の名前を創造神が知っている。そして、ジークを除きちょうど四人。

これに気が付かないはずがない―。


「何がなるほどなぁ…なの?ジーク。」


レベッカ王女を除いて――!!


「お前はもういいよ…。ジイさん!“そういう事”だよな?」


「そうじゃ。そうじゃ。」


ジークの言葉に深く頷いた創造神。

そう。ここに集まったのが紛れもなく、“デューエル参加者”達。

正確には候補…。後は、このふざけた話を誰が信じて仲間になってくれるのか―。


先が思いやられるなと思うジークであった―。


「全く話が見えないな。何故俺達の事を知ってる?」


グリムが警戒したのか、創造神に鋭い目付きで問う。


「これこれ。そう睨むでない。」


「…この魔力の感じ…大方ここにいる奴皆ランクSの魔導士じゃない?この訳分からない状況で安心しろって方が無理でしょ?」


キャンディスも続いて警戒し始めた―。


「お前の姉ちゃん達と違って“キャンディス姉さん”は見た目だけじゃなくて中身もしっかりしてるなぁ~。もうタイプ♪」


ジークはキャンディス相手に終始浮かれている様だ。


「アンタまたそんな事言ってんの?今のところ仲良く出来る雰囲気じゃないけど…。」


「あんな綺麗なお姉さんなのに俺にバシバシ敵意向けてくるのもまたタマらねぇなぁ。」


「お前ドМの変態猫だったのか。」


「そうよ。よかったわ…。どうやらアナタは正常で。」


この紅正の意見に絶対的な信頼を抱いたレベッカだった―。


「馴れ馴れしく呼ばないでくれる?てか、どういう状況なの。場合によっちゃ“コレ”で解決って事でいいのかしら?」


―――バチバチバチバチバチッッ……!!!!


戦闘態勢に入るキャンディス。彼女の周りを電気のような魔力がバチバチと音を立てながら集まっていく。


―――ブォォォォォォォォォ……!!


ほぼ同時にグリムも魔力を高めだした―。


「―これこれッ⁉何故そうなるんじゃ…!ワシは創造神!ちょっと話があるだけッ…⁉「ーそう言う事か。」


―――ギュワァァァァァァァン…!!


創造神の言葉を遮るように、シドも一気に魔力を高める―。

三つの強大な魔力が建物中を覆いつつくす。


「怪しい匂いがプンプンするぜ。今回は“クエストレベルS”の案件。条件も“ランクSの魔導士二人”。どれだけ危ないもんかと思っていざ蓋を開けてみれば(リバース)ギルドの雑魚を捕獲。色々合点がいってきたぜこの状況。」


依頼の案件もレベルによって分かれている。

クエストレベルE~S。Sに上がっていくにつれて、危険度も増していく。

そして条件人数が一人より二人、三人と、増えるにつれて更に危険度が増す事を表している。

今回グリム達が捕まえた魔導士達はせいぜいランクE~D。“本来ならば”この程度の依頼がクエストレベルSに認定されるはずがない。


当然、イレギュラーやハプニングはクエストには付きものだ。一見、低いレベルのクエストでも、裏でランクの高い魔導士が手を引いていたり、採取や低ランクモンスターの討伐で、高ランクのモンスターと出くわしてしまう等。。

意図せず起こることもあるが今回は逆にレアなケース。


それにグリムは不信感を抱いていた―。


「“これ”が本当の依頼内容か。得体の知れない老人やランクS魔導士…あと猫もか…?お前ら倒せば良いってことだろ。」


グリムは今にも攻撃を仕掛けそうな気配―。

キャンディスも同じ意見らしい―。

二人の魔力が更に高まる。


話を聞いていたシドも何かに納得した表情だ。

そしてグリムを見ながら言ったー。


「…なるほど。どうやらお前の言ってる事が正しいのかもしれない。俺もレベルSのクエストを受けてセルジオを追ってきた。だがコイツをいくら調べても、分かるのは変な性癖を持ってる詐欺師…。犯罪を犯してる事は確かに重罪だが、わざわざランクSの魔導士が出る依頼内容ではない。この不自然な状況以外はな―。」


そう言ったシドも、どんどん魔力を強くしていった―。


「――ちょッ……なんでこうなるの…⁉」


この場の状況にレベッカは困惑し始める。

ここで思い出したかの様に紅正がジークに気になっていることを聞く。


「そういや…王女助けたら全部話すって言ってたよな?結局俺に何の用だったんだ?」


「アンタそれ今じゃないでしょ絶対!!」


秒で突っ込むレベッカ。

しかし場面はまさに一触即発――。

次の瞬間いつ誰がどう動いても可笑しくない状況―。

均衡する睨み合いを一瞬で破壊するかの如く…


遂に一人が動き出した―――。


――ドゥォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッッッ…!!!!!!!!!!!!!!


「「「「「「―――⁉⁉⁉⁉⁉」」」」」」


物凄い魔力の“圧”と“悪寒”に、グリム、キャンディス、シドは、背筋が凍るような恐怖で小刻みに体が震えたー。

その魔力の強さに、レベッカ、紅正、創造神も一瞬ゾッとする―。

均衡を破ったのはジークだった――!!


「どいつもこいつも面倒くせぇなぁ…。」


猫が繰り出す最強魔力に全員が圧倒される。

いつの間にか戦闘態勢に入っていた三人の魔力が収まっていた。


「……警戒するのも不振に思うのも分かる。…だから一回でいい…。話を聞け――。」


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