24 フレア王国(レベッカside 2)
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~フレア王国・レベッカ~
「――いいね!自然な感じが凄くいいよ。」
「ありがとうございます“セルジオさん”!…でもやっぱ恥ずかしいなぁ。」
イリーガルタイムズの男の名前はセルジオ。
あれから二人は、セルジオの言う通りレベッカが思うままに只々買い物や観光を満喫している。
そしてそんなレベッカの自然体な姿を、セルジオはカメラで撮っている。
「自信持ってよ。こんなに綺麗なんだから!絶対モデルとして成功するよ。」
「それは盛りすぎですって!」
「いやいや。本当の事だから!」
―――――ズゥゥゥ…ン……。
遠くの方から地響きのような音が微かに聞こえた。
「なんだ?今の。」
「セルジオさんも聞こえました?」
「うん。なんか響いたような…。でも周りの人達も何も騒いでいないから気のせいかな?」
「確かに。そうですね」
空耳かなと思う二人だったが、他にも同じように音が聞こえたであろう人が空を指差した―。
「…おい。なんだあれ!“雲が割れて”いないか⁉」
「本当だ。確かに割れたように見えるな。」
「たまたまあんな形になっただけだろ?」
「そ、そうか…。まぁそうだよな。それにしても不自然な形だなぁ…あそこだけ。“何かで切り裂いた”みたいになっているもんな(笑!」
レベッカの近くにいた数人が空を見ながら、そんな会話をしていた。
この時一瞬、レベッカの脳裏にジークと創造神の顔が浮かんだが、考えないようにした。。
(…まさかね…。)
不安そうに雲を見上げるレベッカ。セルジオも雲を見ていたが、そんなに気に留めていないらしく、レベッカに話しかけた。
「レベッカ。そんな雲よりどうかな?今度はがっつりモデルっぽく撮影するのは!」
「え、ええ。大丈夫ですけど…(ん~…なんかやっぱり気になるわあの雲…。それにいい加減ジーク達も来てる頃よね…。)」
ジークと創造神が気になるレベッカは、そろそろ戻ろうと思い、セルジオに断りを入れる―。
「あ…。やっぱり私そろそッ「良かった!!じゃあ早速行こうか!近くに撮影できるスタジオがあるんだ!最高の写真を撮るよ!」
「ちょ、ちょっと…!セルジオさんッ…!」
セルジオのグイグイした勢いでレベッカは結局、ついていく流れになってしまった。
ニコニコ笑顔のセルジオが一瞬だけ怪しい笑顔になっていた事に、レベッカは当然気付くはずもなかった――。
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「――ここ。ここ!さぁ入って!」
数分ほど歩き、一つの建物の前で止まった。セルジオは中へとレベッカを招く。
扉を開けて、二人は中へと入って行った―。
「――チッ…!建物の中に入っちまった。」
「関係ねぇだろ。むしろ人目につかなくて好都合だ。」
「逃げ場もないしな!」
「“王女人質”にしたらいくら要求出来んのかな?」
「一生遊んで暮らせるのは間違いねぇだろ。」
「それじゃ…お宝貰いに行きますか!」
レベッカに忍び寄るもう一つの危機―。
それと同時に、建物の中ではレベッカとセルジオが着々と撮影の準備に取り掛かっている―。
中は広く、撮影用のブースやカメラ等の機材がたくさんある。
壁にはこれまでに撮影したモデル達の写真もたくさん飾ってあった。
「わぁ…凄いですね!…これ皆モデルさんですか?綺麗~。」
「そうだよ。皆とても魅力的だったよ!君もすぐに仲間入りだけどね!」
――ガチャンッ…!
「…?」
セルジオが扉の鍵を閉めた。
「…クックックックッ…。」
「…セルジオさん…?」
そこには、今までの誠実そうな表情からは想像もつかない程、不気味な笑みを浮かべているセルジオがいた―。
「――さぁ!始めようかレベッカ!ほら……“まずは服を脱げ”!」
「――⁉(ヤバいッ…!)」
瞬時にレベッカは危険を悟った―。だが時すでに遅し―。
逃げようと辺りを見るが、広いスタジオ部屋には窓が数か所あるがどれも“外側”に策のようなものが付いていて、鍵が開けられても外に出られない。
残るは入って来た扉だが、そこは先程鍵を掛けられ目の前にセルジオが立っている―。
(…マズい…何とか逃げないと…!)
「何している!早く脱げ!言っとくがここは防音になっているから大声出しても誰も助けになんて来ない(笑。分かるぞ…。必死に逃げ道を探しているなぁ(笑?そんな事しなくても、大人しく脱いで撮ったら帰してやるよ!」
部屋を見渡すレベッカはさっきのモデル達の写真が目に留まった。そしてある一抹の不安が頭を過る―。
「…まさかそのモデルの子達…。」
「ん?ああ。あれか。感がいいな!…そうだよ。今のお前と同じさ(笑。俺の自慢の“コレクション”達さ!」
「最ッ低…!ド変態じゃないコイツ…!もう聞くまでもないと思うけど…イリーガルタイムズっていうのは…」
「嘘に決まってんだろ(笑。どいつもこいつも有名な名前出しゃ簡単に釣れるからよぉ!楽で助かるぜ!」
「どこまでもクズね…。」
「私は君たちに敬意を持っているつもりだぜぇ!君たちは美しい!まるで芸術だ!それをコイツに収めたいだけなんだよ。」
セルジオは不気味にカメラを撫でる。
「それを変態って言ってんのよ!」
「レベッカ…。早く私のコレクションに加わってくれ。美しい君の姿を見せてくれぇ♪」
「バカじゃないの!誰がアンタに体見せッ…キャッ⁉⁉⁉」
レベッカが何かに掴まれた―。
「土魔法!形状変化!」
…ボコボコボコッ!!
セルジオの魔力で床がボコボコと動きながら形を変えていく―。
「ちょッ…⁉コイツも魔導士ッ…!ン“ン“ー⁉⁉」
蔓のような形でレベッカの体に巻き付き拘束した。口も塞がれ、思うように声が出せない。
「クックックックッ。さぁ…始めようか!」
「ン“ン“ン“ン“ン“ン“ーー!!!」