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22 フレア王国(レベッカside 1)

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~フレア王国~


ギル王国と同じく、六大陸の中でも人口が多いフレア王国。

この国にも多くの魔導士やギルドが存在し、王都も人も日々賑わいを見せている―。

フレア王国の特徴としては“和”が一番イメージに相応しいだろう。粋のある城下町に活気づく職人や商人が多い。

もう一つの特徴としては、フレア王国はかつて“侍の国”とも呼ばれたほど侍が多い国だった。

その名残が今の魔導士達にも自然と受け継がれ、この国の魔導士には剣士が多い。


「――着いたぁ~!!」


猪突猛進のレベッカ王女は、そのスピードを落とすことなくフレア王国まで走り抜いた―。

当然、ジーク達が食い倒れ男と遭遇しているなんて微塵も思わない。


「あれ?ジーク達遅いな~。全然姿見えないわ。」


レベッカは振り返り、ジーク達を探すが見当たらない。


「まぁいっか!同じ所にいるんだしそのうち来るでしょ。…それより…。」


辺りには色んな商人達が店を開いていた。市場の賑やかな雰囲気にレベッカも胸を弾ませる。


「色んな物あるー!え!なにコレ!…あ!こっちのも見た事ない!」


テンション高く市場を堪能するレベッカ。


「――おい…。アレ。」

「…ん?」

「ギル王国の王女じゃねぇか?」

「まさか…。なんで王女がこんなところに。」

「ほら。見てみろよこの新聞。」


怪しい雰囲気漂う男達。男の一人が、持っていた新聞に写っている“レベッカ”の写真を指差しながら言った。


「本当だ。可愛いなぁ。」

「な!だから言ってるじゃないか。可愛いかどうかは置いといてよ。」

「でもギル王国って言えば、この間国王と王妃が死んだ所だろ?」

「ああ…。その時の式の写真みたいだが、なにやら王位継承とかでまだ国王が決まっていないらしいぜ。」

「内輪揉めか?そんな大事な時に王女が別の国で何してるんだ?」

「そんな事知らねぇよ。…でも、あんな可愛い子一人で歩いていたら危ないなぁ(笑。」

「俺らが案内してやるか。ケッケッケッ。」


レベッカに忍び寄る怪しげな男達。自身に危険が迫っている事を知らないレベッカはフレア王国を絶賛満喫中だ。


――ザッ…。ザッ…。ザッ…。


「――ねぇ。そこのお嬢さん。」


「……え?…私…?」


レベッカは声を掛けられた。そこには、怪しげな会話をしていた男達ではなく、スラっと背の高い男性が立っていた。


「そう。君だよ。」


男は綺麗に髪を整え、髭を生やしているがとても清潔感がある。年齢は三十歳ぐらいだろうか。肩にはカメラとそれを入れるバッグを掛けていた。

急に声を掛けられて驚いたレベッカだが、男の誠実そうな印象に安心を抱いた。


「なんでしょうか?」


「ごめんね。急に声を掛けたりして…私こういう仕事をしております。」


男はポケットから名刺を取り出した。


「イリーガルタイムズ……え⁉あの有名な雑誌のイリーガルタイムズ⁉」


“イリーガルタイムズ”はイリーガルで一番有名な雑誌である。イリーガル中の様々な情報を載せているこの雑誌は、昔から多くの人々に愛されている。


「そう。…実は今回、雑誌の企画でイリーガルのモデルさんを紹介するコーナーがあって、是非君の写真を撮らせてもらえないかな?って。」


「ええー⁉私がですが⁉モデルなんてやったことないから無理ですよ!そもそもモデルでもないですから!」


「それは驚いたなぁ。こんなに綺麗なのにモデルやっていないのかい?てっきりもう活動しているものかと思ったよ!」


「またまた~。褒め過ぎですよ~。口が上手いですねぇ。まぁ多少は可愛い方かと思いますけど♪」


お世辞とはいえまんざらでもないレベッカは見るからに浮かれていた。


「いやいや。君相当可愛いよ。人とは違う華やかなオーラもあるしね!モデルやっていないなんて勿体ない!」


「全然全然!モデルなんて私じゃ無理無理~!」


「よし決めた!今回の企画は君のモデルデビューに変更だ!企画コーナー全てを君に使おう!君…名前は?」


「レベッカです!」


「そうか。レベッカ!今から君の写真撮りたいんだけど時間は?大丈夫?もし都合が悪いようなら日を改めてもいいよ!」


「今からかぁ…(まぁ別に急いでるわけじゃないし…ジークも創造神様もまだ来てなそう…まぁ少しぐらいならいっか!)…はい!大丈夫ですよ!」


自由の翼を手にした好奇心旺盛王女は何でも挑戦したい時期なのだ―。


「良かった!なら早速ここら辺を少しブラブラしようか!レベッカは自然に、市場の買い物を楽しんで!その姿を撮るから!」


「分かりました!」


こうしてレベッカはイリーガルタイムズの男と行動を共にする―。

その一方で―。


「……おい。何か男と合流したぞ。」

「彼氏か?まぁ年頃のお嬢ちゃんならそれぐらいいるだろ。」

「そんな感じではなさそうだったな。」

「そんな事はどっちでもいい。ついでに“男も”道連れだ。」

「ケッケッケッ!間の悪い野郎だぜ!運がねぇな…俺達“(リバース)ギルド”に狙われるなんてよ!」


遠くの陰からレベッカを狙う怪しげな男達―。

一体何者なのだろうか―。


ゆっくりだが確実に、不穏な歯車が動き出していた―。

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