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16 世の中不公平

~翌日~


レベッカと創造神のアホな盛り上がりがその後ずっと続き、結局その日は“妄想ギルド話”で一日が終わったのだった―。



「――えへんッ!本日は長々と“無駄話”をしないように。」


「「すいません…。」」


昨日の無駄話をジークに指摘され、レベッカも創造神も反省中―。


「よし。まずは昨日妄想話が始まる前に話に出た通り、“ギルド設立”。こっからまず始めるか。」


話がそれない様ジークが仕切る。


「それは受け入れてくれてるんだ。」


「“そこだけ”な。確かにジイさんの言う通り、ここからまだ二年ある。人探すだけならその辺プラプラすりゃいいが、強さも求めるならギルドで討伐系の依頼を受けまくりゃ毎日が特訓みたいなもんだ。その方が何かと便利だし効率がいい。」


「わーい!ギルドなんて初めて♪楽しみー!」


「こらそこ。浮かれるな。」


ジークが指差す。


「どうやってギルド作るの?」


「ホッホッホ。それはのぉ、魔道機関にギルド設立の申請手続きをすればええんじゃよ。」


「へぇ~。それって誰でも出来るの?」


「そうじゃのぉ。基本的に最低限の依頼が受けられる魔導士なら問題ないわぃ。依頼はそのギルドのレベルによって振り分けられるからの。まぁ討伐系のギルドとなると、設立して実績を上げるかランクの高い魔導士のいるギルドじゃないとのぉ。」


「そんなの俺一人でどっちも大丈ぉ――⁉⁉」


ジークが「ハッ!」と何かを思い出す―。


「…どうしたの?」


「おいジイさん…!確かギルド設立って“本人確認”なかったか…?」


「―――ハッ⁉⁉」


創造神も思い出し、ヤバそうな顔つきをした。


「何?その本人確認出来ないの?猫だから?」


「…どうなんだ?ジイさん…。」


ジークが恐る恐る聞くと、創造神も曖昧な答えを返す。


「いや…。出来るかもしれん…いや、やっぱり無理かのぉ…?」


「何で?見た目だけ変化とかで元のジークの姿に戻ればいいじゃない!その時だけ!」


「いや…。本人確認に魔法は“絶対”バレる。それぐらい常識だろ。」


「創造神様の力でどうにかならない?」


「流石にそれはのぉ…。示しがつかなくなるわぃ。」


「えー!じゃあどうするのよ!ギルド欲しい!」


「まぁしょうがないな…。ギルドあれば便利だけど最悪ギルド無くても…「絶対嫌!!もう気持ちがギルドにいってるの私!」


レベッカがジークを遮った。


「なんだお前…。」


「私がギルド申請するわ!」


「いつもいつもアホな事を…。話聞いてなかったのか?」


「そうじゃよレベッカ。リーダーの事は“条件”を満たしていたから良かったが、今回は無理じゃ。そもそも魔導士じゃない上に“王妃”じゃからのぉ。」


「それよ!“魔導士”としてじゃなくて、私には私のやり方で“条件”を満たして無事ギルドを設立してみせるわ!」


レベッカが何か悪い顔をしている―。


「ジイさん…。この王妃やっぱり城から出さない方が良かったんじゃないか…?」


「ワシもそう思っていたところじゃ…。このままでは外の世界でどんどん図太く悪知恵を働かせるかもしれん…。」


そう思うジークと創造神だったが、自由の翼を身に着けたレベッカ王妃には最早向か所敵なしだった―。


「よし!そうと決まればさっそく行動よ!創造神様!ジーク!城へ向かうわよ!」



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


~三十分後~


「――レベッカ様!無事“手続き完了”致しました。」


「ありがとう。ご苦労様!」


「「――⁉⁉⁉」」


ジークと創造神は驚いていた―。

それも無理はない。

あれから直ぐに城に戻ったレベッカは“王妃の権力”を使い魔道機関にギルド設立の申請を出したところ、ものの三十分で完了手続きがきたのであった―。


「よし。これでギルド設立完了ね!あ~楽しみ♪どんなギルドにしようかしら!」


「こういう権力の使い方はいいのか?イリーガル的に…。」


「ウム…。別に誰に迷惑を掛けたわけでもないしのぉ…。今回はレベッカの“作戦勝ち”ということで…。」


世の中不公平だなと思うジークであった―。


「なにボソボソ喋ってるの!ギルド設立出来たんだから早く“やる”わよ!」


「やるって…。お前そういえば“どこ”を申請したんだよ?」


ギルド申請には、ギルドの“場所”も申請欄に書く必要がある。


「ああ。ギルドの場所ね!大丈夫!私の家が所有する土地はいくらでもあるから!好きなようにできるわ!」


「マジか…。」


「ホッホッホッ!若者は勢いがあって良いわ。」


「せっかく一からやるんだから、中途半端な建物とかを利用するより“全部”自分達でやって方が楽しいよねきっと!そう思って何もない更地の所を選んだからね!」


「…ん?…“全部”って?…あなた一体“何を”しようとしてるの?」


ジークは目をキョトンとさせてレベッカに聞いた。


「――だ・か・ら!全部よ全部!“領地開拓”して“建物”建てて畑を作って耕して“農園”作るでしょ?それから……「おいおいおい!ちょっと待て!」


ジークがツッコむ。


「異世界でのんびりスローライフを満喫するんじゃないぞ目的は!」


「分かってるわよ!」


「分かってるならなんで呑気に領地開拓とか言ってるんだお前は!」


「いいでしょ!私が申請した私のギルドなんだから!それとも何?猫のアンタに申請できるの?猫なのに(笑。」


(ムカッッッッッッッ!!!!!)


完全に勝ち誇ったレベッカに見下されるジーク猫。


「これこれ。いちいち口論するでない。ええじゃないかジーク。まだ時間に余裕はある。少し楽に行こうではないか…のぉ?」


「……さては自分もちょっと“やりたい”と思ってるな?ジイさん。」


――ギクッ!


「な、何を馬鹿なッ!」


図星で慌てる創造神。


「いいじゃないの別に!創造神様だってやりたいんだから!」


「そうじゃそうじゃ!ワシだって一回ぐらいやってみたいわぃ!」


二人は「ねー!」と顔を合わせて笑っている。


「――ハァ…。先が思いやられるぜ…。」

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