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MISSION IN The NY  作者: さあノちゃん
1/3

第1話 異世界転生しちゃったけどなぜかモンスターの体液を飲まされる羽目になる

ここはNY。


世界にモンスターが蔓延り、人類の時代は終わった…


はずだった。


3人組の少女が、世界を変える。


MISSION IN The NY 開幕。



どうしてこうなった。


何度でも言おう。

どうしてこうなった。

いや、どうしてこうなったよりはこれからどうしよう、だなこれは。


私はなぜか荒廃した街に佇んでいた。

此処に来るまで何をしていたかはおろか、いつから此処にいたかすら思い出せない。

アニメやらなんやらで見た事はあったが、こんなにも見事に記憶がすっっぽりと抜け落ちけしまっているのは初めてだ。

何か、せめて自分の名前を思い出さんと頭をひねっていた私の視界に異物が発見された。

黒い何か。まあいい…


…待て。なにあれ。ちょ、待ッ、こっち来るな!!


迫ってくる。待て待て待て!何…?食べられるの私?

何が何だか分からないがとりあえず怪物の食糧になるのは嫌だ。

なんか…なんか武器…


刹那、閃光が網膜に焼き付き、血液が顔に体にかかってきた。


は?


あまりに突飛な出来事に頭が真っ白になった。

今私は殺されたのか?


否、殺されたのは怪物の方だ。


私の目の前の地面に人間が落ちた。

逆光でよく見えなかったが、そいつは「危なかったな」とだけ言い、飛び去った。

えっ、飛び去ったってなんだろう…


[次の日]


なんなんだろうこの世界は…


まず人間がいない。

コンビニに行っても店員がいないし、かなり荒らされているようにみえる。

やはりあの怪物のせいなのか。

至る所に血がこびりついているし、たまに黒いちっちゃい怪物がすごいこっちを見ながら通り過ぎていく。人間は昨日見た(救われたのか?)人だけだ。


私もこの世界(?)に来てから自分の姿を見ていないので自分の容姿すら分からない。

もしかしたら昨日見た怪物のようなビジュアルかもしれない。

いや、大いにありえるぞこれ。まってそれすごい嫌だ。

こんなん普通チート勇者かおっさんかゴリラヒロインだろ。などと呟きながら街を歩いていると、何か黒い影を発見した。

あれ人間じゃね?

結構素早く動くその影に追いつくべく、私も小走りになりながら影を追った。

その影は交差点を左に曲がり、ずっと直進している。

やはり昨日の少年だ。

ビルの中に入り、私もその後を追いかけた。

するとさっきまで移動していた少年が急に立ちどまり、私を睨め付け、こう言い放った。

「お前、なぜここが分かった?」

え、そら追いかけたからでしょ。それにしても随分汚い部屋だなぁ…

少年が「答え次第では刺すぞ」と脅す。ここは撃つぞと言う所では?

ていうか追いかけたとか言ったら絶対刺されるよなあ…

でも追いかけたって言うべきだよなぁ…よし言おう!もう刺されろ!


「それにしても随分汚い部屋ですね!」

あっ間違えた。

第一印象最悪じゃんよ。


…あああ睨まないで!待って!今のは誤爆しただけだから…刺される!!!

そしてめちゃくちゃ睨まれたあと、急にしゅんとなり、「まあ私が片付けられないのが悪い」と言われた。


私?あ、もしかして女?


まあとりあえず助かった。


「…」

「…」


……


あれれ〜?気まずくなぁい?

これはやばい。

メジャーなゲームもやっとけば良かった。いやメジャーなとか以前に現実のコミュニケーションをしっかりやっとけば良かった。


……


イヤーー!!!これ以上沈黙が続いたら私自爆シチャウ!!!ここはとりあえず…


「あの〜あなたの名前は?」

「その前にそっちが名乗れ」それが無理なんだごめんよ。

正直に自分の名前が分からないと告げたらどうなることやら。

それこそ殺されるかもしれない。

とりあえず目に入ったものの名前を…と辺りを見回す。


ここであることを思い出した。


(ここってみんなが話してたゲームのアパレルショップじゃね?)


最近流行りのゲームの中に、ここによく似た苔むしたアパレルショップがある。友達がよく話していた。


私もそこそこ洋ゲーはやるんだけど、私はメジャーなやつは何かと嫌悪しがちなめんどくさい人間なのでマークしていなかった。

洋ゲーの話をあっち側の人間(?)が話してるってのが印象的だったので覚えてる。


ということは。


私は今人気急上昇中のゲームの世界に転生してしまったらしい。

う〜んピンチ!


いやまだ決まった訳じゃない。え〜とあのゲームの名前は…なんちゃらかんちゃらニューヨークだったような…聞いてみっか。


「それよりここはどこでしょう?」

「?NYだ」

確定!チャンチャン。


そうだミッションインザニューヨークだった。思い出した。そして思い出せ。誰かキャラの名前。

これ既存のキャラ言わないと目の前にいる少女(?)の顔面が歪む。


ンー駄目だ!!チャンチャンで全部飛んでいった。


「えーと私はBetty…でゴワス」

「そうか。私はkate・lockhurtだ。」

ケイトさん…普通に会話出来た。これからよろしくお願いします…ゴワスは完全にスルーされた…


「そんなことよりお前顔でも洗ってきたらどうだ」

「はい?」

「だってお前…昨日のアレで血まみれだぞ」

昨日のアレって…そうか!昨日のアレか!

とりあえず礼を…

「あのときは助けてくれてありがとうございました」するとkateさんの顔が歪み、

「?私はモンスターを倒しただけでお前を助けてはいないぞ」


辛辣!


一応初対面。ね?あっいや2回目か会ったの。それにしてもこの仕打ちは…ねえ…


「ちょっと顔洗ってきま〜す…」

「ここには水は通っていない。洗うなら外で洗え」


え〜…


真顔で「ちなみに電気も通っていないぞ」と告白したkateさんを置いて私は渋々外に出た。


ドアを開けると鉄の臭いが鼻腔を攻撃し、勢いよく噎せた。

kateさんが「ドアは開けたらすぐ閉めろ!芳香剤が台無しだろうが!」と叫ぶのが聞こえる。

静かにドアを閉める。


クッセェ…

なにこれ血の匂い?キモスッス〜。


近くに公衆トイレがありそれもまた違う意味ですごい臭さだったが、幸い水が通っているようで、ポタポタ聞こえる。

蛇口前の鏡を見ると、思ったよりひどい形相の私がいた。

これでよくkateさんは驚かなかったなあとか思い、そして気づく。


「ゴリラじゃない…」


世界の洋ゲーヒロインには申し訳ないが、こういうグロテスクなゲームのヒロインってゴリラなはずなのに、私はなかなかの美少女だった。

そういえばkateさんもべっぴんだったなあ〜。そういう世界なのか?


そして蛇口を捻る。泥水が出る。叫ぶ所まで2秒かかった。

日本の水道技術って最先端だもんな…でもニューヨークの方が最先端な気もするけど。


あっ。思い出した。この世界のニューヨークってあれだ。人がほとんど消えてるんだ。

そして生き残ったのがほとんど子供なんだった。

なぁんだ記憶力いいぢゃん私。その記憶力を勉強にまわして。

じゃあ必然的に水道を管理する人も少なくなるわけだ。ナルホド。


いや今はそんなところに感心している場合ではない。私はこんな泥水で顔を洗うのは嫌だぞ!

もう「異世界転生しちゃったけど水が汚すぎるので下水処理場の職員になって環境を整える」ってタイトルにするしかないのか。いやなんだそれ。斬新すぎる。アニメ化しろオラ!


仕方なく泥水で顔を洗い、ゴリラでないことを確認し、ハートの赤いサングラスをかけていることに気づき、kateさんがいるアパレルショップに戻った。

kateさんは割れかけのティーカップになにかを注いでいた。

「なに注いでるんですか?」

「見て分からないのかモンスターの体液だ。あと敬語やめろ」


えっ今体液っていった?


そして敬語やめてって言われた時ってどう対応すればいいのか困るよね。でも「刺す」とか言う人だからなぁ…待てそこじゃない!


「体液とはなんでゴワスか」

「これ飲めば1杯300メートルだ」

またゴワスが無視された。

そしてどこかで聞いたことあるフレーズが。

なんでkateさんがそれを知ってる。やっぱり日本人が作ったゲームなんだろうなぁ…

「お前の分も淹れるぞ。喉乾いてるだろ?」

おお、この人イケメソだ。


あっそうだ。

昨日からなにも飲んでいない。ちょっめっちゃ喉乾いてきた。

「…いただきます」


私は生まれて初めてモンスターの体液を飲んだ。

正直言わせてもらうとめっちゃ美味しかった。


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