お茶会②
シリーズ9作目です!
私がアル兄様のエスコートを受けてたどり着いたのはお茶会が催された屋敷の応接室のような場所だった。
部屋の中を見渡してみると
さすがに王家が所有する屋敷ということもあり、一つ一つの家具がとても繊細な模様を施された高級調度品で、元子爵令嬢の私としては信じられないような光景だった。
(うわ、、、この部屋全ての家具を売り飛ばしたらどれくらい貰えるのかな、、、)
私が部屋のきらびやかさに呆気に取られていると王太子殿下が
アル兄様の元へやって来て
「アレン、ほんとに久しぶりだね」
と嬉しそうにアル兄様に話しかける。
するとアル兄様はフッと顔の表情を緩め
「あぁ、久しぶりだな」
と先程のかしこまった口調から一転して
急に王太子殿下に対して砕けた話し方をしだした。
そしてアル兄様の態度の変化っぷりに驚いた私を察したのかアル兄様が
「あぁ、エミリアにはまだ言ってなかったな。俺と王太子殿下は幼なじみであり友人を許された仲なんだ。お互いがお互いを幼い頃から知ってるから基本二人きりの時は敬語なんかは使わないんだ。」
と説明してくれた。
すると王太子殿下は
「まあもし公の場でアレンが僕に対して砕けた話し方をしようものなら即刻王族不敬罪で良くて身分剥奪、悪くて極刑になるからね」
と、何やら物騒なことを言い出した。
王太子殿下の言葉に戸惑う私を見て王太子殿下はクスクスと笑った。そして一通り笑い終わると
「僕はアレンが言った通りこのパレスティア王国の王太子
キース・バラク・パレスティア、お会いできて光栄だよエミリア嬢。」
と私に向かって挨拶をしてにこりと微笑んだ。
(ひゃーイケメンだ、、、)
キース殿下はアル兄様と比べるとやや幼さが残る美青年と言う美少年という顔立ちだが、
ロイヤルブルーの髪の毛を後ろで一つにまとめていて凛々しい感じがする。
それにお父様の金色の瞳とはまた違う綺麗な琥珀色の瞳はどこか落ち着いた雰囲気を漂わせていた。
あまりのかっこよさについ顔が火照ってしまう。
そして何がおかしいのかまた王太子殿下はクスクスと笑いだした。
さすがにアル兄様も王太子殿下の笑いのツボに付き合いきれないらしく、
「キース、俺だけでなくエミリアまでこの部屋に入れさせたってことはエミリアに何か用があるんだろ?」
と王太子殿下に聞いた。アル兄様でなければ間違いなく王族不敬罪に問われていただろう。
「あ、あぁ。一応エミリア嬢の存在は知っていたけど、何しろアレンの義理の妹だろう?どんなご令嬢か会って話をしてみたかったんだ。」
とアル兄様の気迫に押されたのか少したじろぎながら言った。
「王太子殿下に直接お声をかけていただき、大変光栄です。」
と私はなるべく失礼がないよう丁寧に礼をした。
すると王太子殿下は
「うーん、、その王太子殿下っていう呼び方どうにか出来ないかな?」
と言い出した。
「、、、、、?どうにか、とは?」
私がそう聞くと王太子殿下は私ににこりと笑いかけ
「3人で話す時は僕のことはキースと呼んでほしい。」
と爆弾発言を言い放った。
これには流石のアル兄様も腕を組んだまま硬直してしまっている。
「あ、あの王太子殿下、私はただの貴族の娘にすぎません。王太子殿下を名前呼びするのは恐れ多いです。」
私は声を振り絞ってやんわりと「無理」ということを伝えた。
すると王太子殿下は急に私に近ずき私の顔を覗き込んだ。
そして
「エミリア嬢、これは命令だよ。僕の事をキースと呼んでくれ。それともエミリア嬢は名前も口にしたくないと言うほど僕の事は気に食わないのかい?」
といいニヤリと笑った。
(王太子殿下、、、意外と強引だ、、、)
「そ、それならキース殿下でどうでしょう、、、」
「んー殿下って要らないかな」
(うっ、、、)
王太子殿下、なかなか手強い、、、、
「な、ならキース様と呼ばせていただきます!これ以上は無理です!!」
と私が言うと王太子殿下は少し考え、
「まあ、それでいいか、エミリア嬢には男を呼び捨てするのは難しいみたいだし」
といい、いらずらっぽく笑った。
キース様、実はドSなのではないだろうか。
その様子を見ていたアル兄様は話が長いことにイラついたのかチッと舌打ちをして
「おいキース用事は済んだか?」
とその苛立ち様を隠そうともせず聞いた。
「、、、、」
そんなアル兄様の様子にキース様は
目を見開いたような顔をしたがさっき私にしたようなニヤリとした笑みを浮かべ
「あぁ、もうエミリア嬢への用事は済んだよ。けど今アレンへの用事が出来た。アレン、少し時間を貰えるかな?エミリア嬢は別室を用意させるからそこで待っていて欲しい。」
といった。
なにか私がいて不都合なことでもあるのだろうか。
しかし相手は王族。断ることも出来ないので「分かりました」
と答えて私は速やかに応接室を退場した。
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