朝の支度
シリーズ5話目です。
昨日の公爵亭入りから1晩。
「うん。よく寝れた。」
そうよく寝れたのだ。異常なまでに。
あの後夕食をあとにした私はクレアに言われるがままお風呂に浸かり、そのままエステまで受けてしまった。
そのお風呂とエステのダブルパンチの気持ちよさに驚いたが、もっと驚いたのがクレアのエステ術だ。
クレア曰く
「シルビア様直伝です!」
と言っていたが私とあまり変わらないはずの華奢な腕のどこにあの力強いマッサージを出来る握力があるのか、、、、。
おかげで全身の凝りが解され、、、今に至る。
「エミリア様目覚められたのですね」
そう言って私の部屋のカーテンをあけたのは全身マッサージを施してくれた専属メイドのクレアだ。
「クレア、今何時なの?」
「大体七時頃です。だいぶお目覚めが早いですね?」
そう言ってクレアはクスクスと笑った。
なぜ笑うのか。と疑問に思ったがあとから知ったことだが、ヴァレンシュタイン公爵家は揃いも揃ってかなりのお寝坊らしかった。お父様は比較的マシな方だがお母様とアル兄様は特にひどいのだという。
「クレア朝食は何時頃?」
「はい。うちでは旦那様方のご起床が遅いのでそれに合わせて朝食は8時半からとなっています」
うーん。8時半か、、、ならあと1時間半もある、、、
服に着替えて髪を整えても精々30分程度で済んでしまう。1時間、何をすればいいのか、、
そう悩む私をみてクレアはそうだといい
「それでは公爵邸を見て回ってはどうですか?私が邸宅内をあんないしますよ。
エミリア様が見ていらっしゃらない施設もございますし、1度屋敷の中を全て見ていれば昨日のようにエミリア様が迷子になられることも少なくなると思いますよ」
といった。
クレアめ昨日の私の醜態を今出すのか、、、
でも確かに邸宅内の散策は面白そうだ。
「そうね!行ってみましょうか!」
そうと決まれば急いで支度をしなければ!
張り切る私を見てクレアは急に真顔になり1人でドレスを着ようとする私の前に立ち塞がった。
「エミリア様。私がお着替えのお手伝いを致します。エミリア様はじっと立っていてください」
といった。
(そうか公爵令嬢ともなれば身の回りのことは全て侍女がしてくれるのか、、、)
そうして私が感心している間にクレアはどこからかシンプルだが清楚で落ち着いているドレスを持ってきて私に着せ始めた。
「クレア、このドレスは?」
「このドレスは全てエミリア様にと奥様が準備なさったものです。あと数十着程ございます。奥様はエミリア様がいらっしゃるのをずっと心待ちにしていらっしゃいましたから」
す、数十着、、、お母様は私になんの期待をしているのだろうか、、
数十着もとなると揃えるのにかなり時間を使っただろう。それに今来ているこのドレスにしても、シンプルだが所々に細かなレースや金の刺繍が入っていて人目で高価なものだと分かる。
(お母様に後でちゃんとお礼を言わないと、、、)
そうしてドレスを着せてもらったら次は髪とメイクだ。
「エミリア様は元々お顔の作りがはっきりしていらっしゃいますのでメイクはほんのりとのせる程度に、髪はサイドに流すようにしましょう。ドレスにもエミリア様の白銀の髪を混じえた方が見栄えが良くなりますわ」
そう楽しそうに語りながらクレアはせっせと私にメイクを施していく。メイクをして髪の毛を整え終わるとクレアは満足そうな顔をして
「エミリア様!ご準備が整いましたわ!どうぞご確認くださいませ!」
といって私にて鏡を渡した。
「えっ、、、」
私は鏡を見て絶句した。
(誰だこいつは、、、)
鏡には私をかなり美化したような顔が映し出されていた。
痩せこけた肌にはほんのり赤いチークをたされ健康的な肌になり唇には薄過ぎず濃ゆ過ぎずのピンクの口紅が塗られていた。
メイクひとつでここまで美化させれるとは、、、
メイクさまさまだ。
「どうです?エミリア様。エミリア様の良さを最大限に引き出せるようにしてみました」
クレアは相当ご機嫌な様子だった。
「ありがとうクレア。こんなに上手いメイクをしてもらったのは初めてよ」
そう言ってにこりと笑うと
クレアは目をキラキラさせて
「身に余るお言葉ですっ、、、」
と必死にお辞儀をした。
「それじゃあクレア、行きましょうか」
そういうとクレアは必死にお辞儀していたのをやめ、
分かりました。と笑顔でうなづいた。
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私とクレアが邸宅散策で最初に向かったのは調理場だ。
ここでは現在朝食の前なので私を含むヴァレンシュタイン公爵一家4人の料理が作られていた。
、、、、なんともいい匂いが漂ってくる、、、
今にもお腹がなってしまいそうな程この調理場の匂いは魅惑的だ、、これから毎日豪華なご飯が食べられるのかと考えたら自然と口がにやけてしまいそうだった。
次に向かったのが使用人の寮だ。
さすがヴァレンシュタイン公爵家ということもあり私に用意された部屋とまでは行かないが使用人の部屋もなかなか豪華だった。
ちなみにクレアとブライトなどのヴァレンシュタイン一族の専属の使用人はほかの使用人に比べ格が高いのでさらに豪華な部屋なのだとか。
最後に向かったのが中庭だ。
ここも園芸好きのお母様が手入れされているらしく。
中庭にはたくさんの季節の花が咲き乱れていた。特にお母様が好きだという胡蝶蘭の花は朝露を花びらにつけキラキラと輝いていた。
私がその光景に見入っていると
「エミリア様、見とれている中申し訳ございませんがもうそろそろご朝食のお時間です」
とクレアが私に声をかけた。
そうだ朝食だ。いろいろなところをみてすっかりわすれていたが、私のお腹はもう腹ペコになっていて今にもお腹がなりそうな勢いだった。
「そうね、なら行きましょうか。」
そう言って私はクレアを連れて意気揚々と食堂へと向かった。
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