茶会後
お茶会の会場からから帰ると、私とアル兄様はすぐに屋敷の医務室へと向かった。
医務室でやけど以外の傷を負ってないかを確認することと、火傷を冷やすための氷と痛みを緩和させる薬を貰うためだ。
アル兄様は私の往診が終わり、私がもう大丈夫だと確認すると、医務室を出ていこうとした。
「アル兄様?どこに行かれるんですか?アル兄様もきちんと往診を受けなくては、、」
「俺は大丈夫だ。それよりもエミリア、お前の方が重大だ。貴族の娘にとって体の傷は顔の傷の次に深刻なものだ。なるべくあとが無くなるように安静に過ごして早くなおせ。
俺は今からお父様とお母様にことの経緯を報告してくる。」
アル兄様はそう言ってまくし立てると足早に医務室を出ていってしまった。
(そう言えばお屋敷に帰ってきてから1度もお父様とお母様にあってなかった、、、)
本来ならお屋敷に帰ったら真っ先に屋敷の主であるお父様、お母様に帰ったと方向を容れなければいけなかったのだ。
それを、アル兄様は私の体の方が心配だと真っ先に医務室に連れていってくれたのだ。
(、、気を遣わせちゃったのかな、、、)
やはり、アル兄様にとって私はただのお荷物に過ぎないのだろうか。アリス様のように立派な公爵令嬢になることは出来ないのだろうか。
「、、、オジョーサマーーーー!!!」
「え?」
空耳だろうか。今医務室の扉の向こうから私の名前を呼ばれた気がしたのだが。
「お嬢様ーーー!!!」
どうやら空耳では無いようだ。そして私の名前を呼ぶ声は段々と私がいる医務室へと近ずいてくる。
バンッ
勢いよく医務室の扉が開けられた。
こんなに勢いよく扉を開ける人を私はこの屋敷で見た事がなかった。
私が驚いて呆気に取られていると扉を開けた当の本人は私を確認すると特徴的なピンクの髪を揺らしながらものすごい勢いで私の元に駆け寄ってきた。
「お嬢様っ!ご無事でしたか!あぁ、、右腕が大変なことにっ、、誰ですか!お嬢様にこんな大怪我を負わせたのは!」
「く、クレア、、びっくりさせないでよ、、、」
勢いよく扉を開けた人物。それは私の専属メイドのクレアだった。
「あっ、、、すみません。お嬢様が怪我を負われたと聞きましたのでいてもたってもいられなくなって、、、」
「フフっありがとう。私は大丈夫よ。
それにしてもクレアって見かけによらずお転婆よね。」
「なっ!そんなことありませんよ!」
クレアと話していたらさっきまで落ち込んでいた気分が少し明るくなった。
「お嬢様もうお怪我は大丈夫ですか?
処置がお済みになったのでしたらお召し物を交換しましょう
このままでは風邪をひいてしまいます!」
クレアに言われた通り、お母様に仕立ててもらったパステルブルーのドレスは風水の水や紅茶などでびしょびしょに濡れていた。なんだか寒気もする
「そうね。ならお風呂と、お部屋に私の着替えを準備しておいてもらえる?私はブライトとゆっくりいくから」
私の言葉を聞くとクレアはまたビシッと敬礼をして「わかりました!」といい、足早に医務室を去っていった。
「本当にクレアは元気ね」
「すみません。騒がしいやつで。あいつ子供の時からずっとああなんですよ。」
私が立ち去ったクレアを思いながら笑うとブライトがため息を着いた。
「そうだったわ。貴方達従兄弟同士なのよね。今度貴方達の子供の頃の話なんかも聞いてみたいわ。きっと2人とも可愛かったんでしょうね。」
「、、、俺もあいつも、昔とそう変わりはありませんよ。
お嬢様が聞いても面白いことはありません。」
「そうかしら、、、。フフッ」
「さあお嬢様。そろそろお部屋へ向かいますよ。お召し物をお着替えなさったら公爵様方が書斎で話し合っていらっしゃるはずですので、そちらに向かいましょう。」
「わかったわ。行きましょうか」
こうして私とブライトは医務室を後にした。