アレンとキース
シリーズ第10作目です!
アレンside
キースにいわれエミリアが退場した。
二人で話したいこととは何なのか。何故エミリアを退場させたのか。疑問は募るばかりだ
するとキースは不意に口を開き
「キース、エミリア嬢は僕達と同い年なんだよね?」
と聞いてきた。何故エミリアの名前が出てくるのか。
というか、何故今エミリアの年齢を聞くんだ。
「そうだけど、、、」
俺がそう答えるとキースは何故か嬉しそうな顔をした。
そして
「そうか。それなら彼女も来年学園に入学するんだね?」
と確かめるように聞いてきた。
「あぁ」
(、、、なんなんだ)
今日のキースは様子がおかしい。
それに何故エミリアを退場させたのにエミリアのことばかり聞くんだ。本人に直接聞けばいいじゃないか。
そして今日のキースのエミリアに対する態度と今の質問から俺はキースが何を言いたいのかがわかった。
「キース、お前まさか、、、」
俺がキースを訝しげに見るとキースは俺が何を考えているのか察したのかクスリと笑って見せた。
俺の中であるひとつの可能性が浮かんだ。
それは、、、エミリアをキースの妻、つまり王太妃に迎えるという事だ。
確かにエミリアは容姿もいいし家柄もヴァレンシュタイン公爵家の令嬢という申し分ない立場だ。
オマケにほかの令嬢のようにキースを見ても目の色を変えることすらなかった、、、。
俺としても自分の義妹が王太妃になることはいい事のはずだ。
いい事のはずなのに、、何故かそれを認めたくないという自分がいた。
「けどキース。流石に出会って一日目の令嬢だぞ?
もう少しきちんと考えてから決めた方がいいと思うが、、、。」
「へぇ、、、アレンがそんなことを僕に言うのは珍しいね。もしかして義妹のエミリア嬢を気に入っちゃった、、、とか?」
「、、、、っ!」
確かに初めてエミリアとあった時はなんだコイツと思ったが、
たった数日過ごすだけでもだんだん彼女の魅力にハマっていく自分がいた。食事の時の愛らしい表情。お母様と楽しそうに話す楽しげな笑顔。馬車に一緒に乗った時の緊張した顔。
その全てを見ていたいと思った。エミリアはほかの令嬢にはないものを持っている気がしたから、、、。
「けど、、多分この感情は、、恋愛ではなく家族としてのものだ。」
きっとそうだろう。そうでなければいけない。
俺は自分の中でそう考えをまとめると目の前で俺の事を見すえているキースの琥珀色の目を見つめた。
「エミリアは俺の大切な妹だ。それ以外の何物でもない。」
「、、、妹。ねぇ、、」
キースは俺を足元から頭まで見ると再びクスリと笑って見せた。
「まあ、今はそういうことにしておくよ。僕だってあまり追求しすぎてアレンに嫌われたくないからね。」
「どういうことだ、、、。」
「そのままだよ、、。まあ人間の感情論に疎い君には分からないだろうけど、、、?」
(キースってなんかムカつくんだよな、、)
俺はキースの意味ありげな発言に少し引っかかったが、キースはもうこれ以上話すことはないというような雰囲気だったので
何も反論しないようにした。
「それでは王太子殿下、お話は済んだようなので、わが妹エミリアを呼び戻して参ります。」
「ん。あぁ、、分かったよ。」
俺はいつも通り王太子と貴族の会話に言葉遣いを戻すとエミリアがいるであろう部屋へと足を運んだ。
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エミリアside
私はアル兄様とキース様がいる応接室を出たあと、外で待機していたメイドさんによって案内された部屋で1人寂しく本を読んでいた。
(見た事なくて面白い本だけど、、寂しいな、、、。)
応接室もなかなかの広さだったが今私が1人で待機している部屋もひとりが使うにしては広すぎるような部屋だった。
『コンコン』
私が大人しく部屋で本を読んでいると急に外からノックされた。
「どうぞ、、、」
「失礼しますわ!」
私が合図を出すと扉の向こうかとても美人ないかにも貴族というような赤い髪の女の子が現れた。
「あの、、、えっと、、どちら様でしょうか、、、。」
私が赤い髪の女の子に聞くと赤い髪の女の子は途端に顔を真っ赤にした。
(え、、なにか悪いことしたかな、、、。)
私がそう思い「あの、、、?」と赤い髪の女の子を覗き込むと
赤い髪の女の子はガバッと顔を上げて私をにらみつけた。
「社交界の貴公子、アレン様がエスコートしていらっしゃる
妹様とはどんなお方かと思えば、、、公爵令嬢ならお茶会の
参加者の顔と名前を全て覚えるのは当たり前でしょう?!
しかもこの私のことすら把握していないなんてっ、、、
貴方、公爵令嬢に相応しくありませんわよ。」
(なっ、、、!)
いきなり何を言うのかと思えば、、、。
確かに参加する令嬢の名前を覚えてなかったのはこちらに非があるけれど、さすがに公爵令嬢に相応しくないなんて今日であったばかりの令嬢に言われる筋合いは無いはずだ。
「まあ、、いいわ。私はアリス・レティ・ドミナですわ。
ドミナ公爵令嬢、、といえば分かりますわね?」
ドミナ公爵家、、しがない貧乏貴族だった私でも聞いたことがある名前だ。地位はヴァレンシュタイン公爵家に比べれば弱い位置に属するが、その財力は王家に次ぐともいわれている。
「、、、私はエミリア・ラ・ヴァレンシュタインです。
、、ヴァレンシュタイン公爵の娘にしてアレンお兄様の妹でございます。」
「ふん。貴方みたいなのが公爵令嬢だなんて、、、。
ところで、貴方今お暇かしら?」
アリス様はだいぶ私のことを目の敵にしているようで何かにつけて私を侮辱したいようだった。
でも、私は仮にも公爵令嬢。ヴァレンシュタイン公爵家の娘としてここに来た以上、どんなにむかつく相手でも最上級の敬意をはらって対応しなければいけない。
「はい。現在は私をエスコートして下さっているアレンお兄様が王太子殿下とお話をされていますので、こちらでアレンお兄様をまっているのです。少しの時間でしたら、付き合うことは可能です。」
「分かったわ。なら、少しお付き合いしてもらっても良いかしら?
私と仲が良い令嬢の皆さんがあなたに会いたいと仰っているの。
そこの噴水まで行く程度だから時間は取らなくて済むはずよ。」
アリス様はそういうと身につけたマーメイドラインのドレスを翻してドアの向こうに行ってしまわれた。
なにか厄介なことに巻き込まれそうな気がするけど、、、
(行くしかない、か、、、)
ついさっき公爵家の令嬢としてしっかりすると決めたばかりだ。
こんな所でうじうじしていてもしょうがない。
私はため息をひとつつくとドレスに着いた埃を払い、
アリス様が言う噴水の場所まで向かった。
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