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第3話 別行動

「とりあえず戻って来たがこの後はどうするんだ?」

「それぞれのギルドに向かってみるか。」

「それぞれって何個あるんだよ?」

「正確な数は分からない。少なくともこの街には剣士ギルド、テイマーギルドにはある。道士にギルドはないが仙女がいると噂された場所がこの街を北に抜けた先の山にある。」

「うえぇ、めんどくせぇ。要はパーティはここで解散。オレのはともかく後は別行動で自分のギルドを見てこようってことで良いんだな?」

「あぁ、ギルドに加入すればクラスアップの情報とかも入って色々な利点があるからな。行って損はない。ここは現実との時間差があるから長々と出来るしゆっくりやっていこう。」

 エルヴィスと現実世界では6倍の時間差がある。煌雅達は推薦が決まり、自由登校でもあるので時間がある。ゲームを起動させたのが10時頃で狩りに行ってそろそろ半日が経つ頃だ。現実では昼時だし、エルヴィスでは夕飯時だ。

「だが、その前に腹ごしらえに宿探しだな。」

 この世界でも睡眠不足と空腹があり時間が経つにつれてステータスが下がっていく仕様になっている。その為食事と寝床が必要になる。一時的なログアウトならギルドですれば良いが寝床でないと睡眠不足でステータスが下がっていってしまう。現実の睡眠不足は警告のアラートが鳴るのでエルヴィスとの時間の調整が効率よくゲームを進めるのに大切となる。


 食事は近場の宿でラビットの肉を提供して安く済ませた。味の方も美味しかったので十分満足である。

「良し!ここからは別行動だ。お前らはギルドに行け。オレは必要そうな物を買ったら山に行く。」

「おい!ここからは夜だぞ。魔物の種類は変わるし、数が増える。まだ始めたばかりなんだから急いで行く必要はないだろ。」

「言っても無駄ですよクラウス君。兄さんが強くなる事に貪欲なのは知ってるでしょう。」

「分かってはいるんだが…はぁ、ゲーム自体に嵌まってくれたのは嬉しいが、死に戻りはするなよ。」

「分かってる。夜目のスキルも食事の時に取ったしとりあえず一日徹夜して帰るさ。」

「では私達は行きましょう。クラウス君、私テイマーギルドの場所は分からないのだけど。」

「それくらい案内するよ。」

 クラウスとルイはそれぞれのギルドに向かいミヤビもまだ開いてる店に足を運んだ。


「それじゃあ行きますか。」

 ミヤビが向かう山は赤桃山と呼ばれる山でβ版では適性レベル6の場所である。

 桃がよく実る山ではあるが辺りには魔物も多くおり迂闊に入ってきた者や魔物同士の縄張り争いなどで多くの血が流れるのだがその血を吸収するのか実る桃も赤くなることからそう呼称されるようになった。桃は街の特産物であり色は赤でも美味しいとクラウスから聞いた。

 現在レベル3のミヤビは適性レベルでないが気にせずだが準備を怠る事なく金策の為に今日狩った魔物の素材を売れば670ゴールドになった。チートスネークの皮は売ってないがホーンラビットの角はなかなか言い値で売れた。

 最初の所持金が3000Gであったがポーションに錬金術で使いそうなポーションのレシピとその道具、素材に使える赤桃と薬草を5個に水を入れる袋を買えば3290G掛かった。自身の容姿を利用して丁寧な言葉で店主に交渉して値切ってレシピと道具を半額にして貰って漸く買えたのだ。

 その後は残りの金を使って鍛冶屋で安く売ってた銅の籠手が上手く腕に嵌まったのでを買った。


銅の籠手

精製に失敗した銅を鍛冶屋の弟子が練習で作った物で肘まで保護されている。弟子の鍛治の腕は悪いが弟子が作った繋ぎの皮の性能がよく動きに支障はない。

攻撃力+2

防御力+3


 鑑定すると意外と性能は良いようだ。鍛冶屋の親方が弟子の失敗作だと言っていたがまだゲームの最初でこれなら問題ない。その次いでに鑑定のレベルも上がった。


 山に向かう途中、クラウスの言った通り襲ってくる魔物の数が増えなかなか先に進まない。

この辺は最初の森とレベルは変わらないのだが山に入るまで魔物と遭遇したのは十数回、格闘術で倒した魔物は50体近い。集団のウルフが特に鬱陶しかった。ただ皮は防具の素材として使えそうであったのは良かった。

 その数を一人で倒せば勿論良い経験値になる。スキルは勿論、種族レベルだけでなく職業レベルも上がった。


名前─ミヤビ・スメラギ

性別─男

職業─道士LV2

種族─狼人

LV 4

HP 24/75(↑12)(↑16)

MP 26/55(↑10)(↑14)

筋力 52(↑4)   (↑6)

体力 21(↑2)   (↑4)

知力 35(↑4)(↑3)(↑6)

精神力 22(↑3)   (↑5)

敏捷 35(↑3)(↑2)(↑5)

器用さ 24(↑2)   (↑4)


スキル

方術LV2

錬金術LV1

格闘術LV2

斧術LV2

鑑定LV2

夜目LV2


ステータスポイント0

スキルポイント8


 夜目でスキルポイントを4消費してるのは仕方ないが前のレベルアップで器用さに全振りしたのでバランスよく知力と敏捷にステータスポイントを振った。

 だがそれよりも職業レベルアップによるステータスアップが種族レベルアップよりも大きい。スキルポイントも3ポイント貰えた。


「まぁ、レベルが上がるのは結構だがやられてるからな。」

 山に着いてからポーションを飲んだがHPは半分を切っていた。方術の【練気】で多少防御力とが上がるが元々低い体力と精神力を底上げしても焼け石に水である。序盤だからまだ効果があるように感じるだけである。

 山には平地よりも強い魔物がいるのはハッキリしている。HPが回復するまで迂闊に入って行けない。なのでミヤビは近場の木の下で錬金術セットを取り出す。一本減った分を補充しようと思ったのだ。


「作業は面倒だが時間があるからやってみるか。」

レシピには簡単なやり方が載っている。

薬草を磨り潰す。

水を加えて煮詰める。

濾して出た汁を冷ます。

赤桃を磨り潰す。

濾して出た果汁を冷ました薬草汁と混ぜて完成。


 やり方は簡単だが説明が大雑把であった。磨り潰す程度、加える水の量、煮詰める時間、混ぜる比率と細かい部分が書かれてない。

「やるだけやってみるか。」

 そこらに落ちてる枝を集めて火打ち石で着火してすぐに乳鉢に薬草を入れて乳棒で固形が残らないよう磨り潰す。色濃く残るように水を少量加えてかき混ぜる。別の容器に移して火の上に三脚台と移した容器を置いて煮る。

 乳鉢と乳棒を軽く洗ってから赤桃を薬草と同じ様に磨り潰す。HPはまだ7割で時間はある。薬草汁が沸騰しそうだったので別の容器に布を被せて固定し薬草汁を濾過する。熱いのでしばらく放置し赤桃を同じように濾過して薬草汁が冷めるのを待つ。量が少ないので時間は掛からないが少し手が空いてしまった。周りを見ても雑草といくつかの毒草ぐらいしかない。毒草を摘んで時間を潰し、冷めた薬草汁と果汁を混ぜる。


ポーションの原液

店に置いてあるポーションの原液。苦いので水で薄めて使う物だが通常のガラス容器でポーション10本分くらいになる。

品質は少し悪いが赤桃の甘さで味が中和されていて飲みやすい。

HP継続回復30%分。


 鑑定すると効果は良くないが一応出来たみたいだ。原液でポーションと同じ効果とはなかなか手厳しい世界だ。しかも原液ではポーション管に半分しか入らないので実質ポーション以下の物である。

 初めてだから仕方ないが回復アイテムを作れるのは大きなアドバンテージだと思う。戦闘中に飲めるかは分からないが回復手段があることは生存率に繋がる。定期的に作っておこう。予備のポーション管を使って2本に入れてから道具を片付け山を登り始めた。




 

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