第2話 戦闘
クラウスからのパーティー申請とフレンド登録を済ませて草原を歩く。
名前─クラウス
性別─男
職業─剣士LV1
種族─人間
LV 1
HP 20/20
MP 10/10
筋力 18(↑6)
体力 16(↑4)
知力 9
精神力 13(↑4)
敏捷 16(↑6)
器用さ 10
スキル
剣術LV1
槍術LV1
盾術LV1
鑑定LV1
気配感知LV1
装備
初心者の剣 攻撃力+3
初心者の盾 攻撃力+1 防御力+2
冒険者の服 防御力+2
冒険者の手袋 防御力+1 攻撃力+1
冒険者のベルト 防御力+1
冒険者のズボン 防御力+2
冒険者の靴 防御力+1 攻撃力+1
ステータスポイント0
スキルポイント10
「これが俺のステータス。20のステータスポイントを振り分けた状態。」
「オレのステータスはこれか?」
名前─ミヤビ・スメラギ
性別─男
職業─道士LV1
種族─狼人
LV 1
HP 24/24
MP 11/11
筋力 13
体力 10
知力 11
精神力 8
敏捷 15
器用さ 8
スキル
方術LV1
錬金術LV1
格闘術LV1
斧術LV1
装備
初心者の手斧 攻撃力+4
冒険者の服 防御力+2
冒険者の手袋 防御力+1 攻撃力+1
冒険者のベルト 防御力+1
冒険者のズボン 防御力+2
冒険者の靴 防御力+1 攻撃力+1
ステータスポイント20
スキルポイント20
「敏捷に6振ってオレと一つしか変わらねえな。」
「それは置いとけ。それと鑑定スキルは取っといた方が良い。何気ない物でも情報を得られるからな。俺が言いたいのはステータスを振り分ければそれだけ基礎能力が高くなるって事だ。試しの一戦やってみろ。ラビットが近くにいるみたいだから。」
スキルポイントを5消費して鑑定を取得して目の前で動く草むらを注視する。
ラビットはその名の通り兎をモチーフにした初心者でも簡単に狩れる魔物である。
魔物は魔力を持つ人以外の生物の総称であり魔力が溢れるこの世界では一般的な存在である。
そして草むらから飛び掛かってきたラビットを正面から眉間位置を素手で拳骨のように上から振り落として地面に打ち付ける。そしてラビットはドロップアイテムを残しそのまま消えていった。
「小動物相手に容赦ないですねミヤビ。」
「いや、試しだから思い切ってやってみたんだが弱すぎねぇか?」
自分の手を見ても怪我はなく、感触を確かめながらクラウスに聞くと
「いや、ラビットは筋力13では素手の一撃で倒せないはずなんだが?俺もやってみるか。少し先にもいるみたいだから。」
ラビット
LV1
HP 10/10
MP 9/9
筋力 9
体力 11
知力 8
精神力 10
敏捷 12
器用さ 10
「一応鑑定してみたがβ版と変わったところは無いな。」
草むらから飛び掛かってラビットをミヤビ同様に拳骨のように振り落としてラビットの体に叩き込む。すると地面に打ち付けられたラビットはミヤビと同じようにアイテムをドロップして消えていった。
「変わらねえじゃねぇか。」
「そうみたいだな。」
「それじゃあ次は私の出番ですね。」
ルイはあっけらかんと言う。兎の愛らしさは得に気にしないようだ。因みに卵はプレイヤー全員が持っているアイテムボックスに入っている。これでも問題なく生まれるらしい。なので現在ルイは背に弓を携えている。テイマーの初期装備は杖なので武器スキルは弓を選んだようだ。
名前─ルイ・スメラギ
性別─女
職業─テイマーLV1
種族─エルフ
LV 1
HP 18/18
MP 15/15
筋力 13(↑5)
体力 10
知力 18(↑5)
精神力 14(↑4)
敏捷 15(↑3)
器用さ 15(↑3)
スキル
調教術LV1
杖術LV1
弓術LV1
装備
初心者の弓 攻撃力+2
冒険者の服 防御力+2
冒険者の手袋 防御力+1 攻撃力+1
冒険者のベルト 防御力+1
冒険者のズボン 防御力+2
冒険者の靴 防御力+1 攻撃力+1
「何で初めからルイに頼まなかったんだ?」
筋力が自分と一緒なのだから簡単に比較できると思ったミヤビがクラウスに聞く。
「いや、だって女子に兎を殴ってくれとは頼めないだろ?」
「中学からの付き合いなんだから今更だろ?」
「そうですね。私達の一家で動物の殺生の話なんて今更ですし。」
如月家のサバイバル訓練は当たり前のことで煌雅も雫も強制参加させられた。その時に食糧確保の為、鳥に猪に色々な動物を狩っていった事は記憶から消える事はないだろう。
「あの時は十歳だったか?」
「最後は熊を追い返しましたね。」
「アレは死ぬかと思ったな(笑い)。」
「普通笑い事じゃないだろ。」
「それであれは魔物か?」
ミヤビが指差す方向の草むらが僅かに動いている。
(気配感知が反応してない。何なんだ?)
今場所で気配感知にかからない魔物はいない。少なくともクラウスが体験したβ版ではそうだった。
「魔物ではあるだろうが何かまでは分からない。」
「分からないならぶっつけ本番で狩れば良い!」
3人それぞれ武器を構える。ミヤビは手斧、クラウスは剣ではなく槍を構えた。
逸速く反応し行動したのはミヤビだった。突然振り返ってルイに向かって手斧をぶん投げたのだ。
「いきなり何を……」
クラウスは言い欠けて息を飲む。ルイの背後で口を開けてルイに噛み付こうとする大蛇の姿が見えたからだ。
だがルイはミヤビの突然の奇行に対し、腰を落として手斧の下を通るように飛び込み前転をし振り向きながら弓に矢をつがえミヤビのいた位置までバックステップで下がりながら弦を引き絞る。
ルイが躱した手斧は大蛇の胴体に刺さるも深くないようで少し体を硬直させるとすぐに動き出した。クラウスもすぐに大蛇に走り込んだがそれよりも速く反応していたミヤビは既に大蛇の首に取り付いて足で首を絞めながら片手で手斧を使って胴体を斬りつけている。
「相変わらずの戦闘勘。」
魔物の中でも明らかに特殊な行動パターンのはずなのにどうやって気付いたのか。クラウスには分からないないがミヤビは何かを感じ取ったのだろう。現実でも策に対する勘の鋭さはあった。お陰で遊びでやっていた知略ゲームでも滅多に勝てていない。
愚痴りながらもクラウスは身体を使って遠心力を付けて大蛇の胴体に槍の穂先を降り下ろす。
その間もルイが振り回される尻尾に矢を当てていきクラウスが大蛇に接近すると杖に持ち替えて大蛇に向かい走り出す。
クラウスの攻撃で胴体を深く切られ大蛇は悲鳴をあげるもクラウスは続けて槍を持ち直し傷口目掛けて上から勢いよく突き入れて地面に固定する。
突き入れる時尻尾がクラウスに向けて降り下ろされたが駆け付けたルイが杖で弾いていた。クラウスも槍を固定するとすぐに剣に持ち替えて応戦する。
胴体が固定されて大蛇の動きが緩くなったのを感じミヤビは手斧を両手で持ち背筋を使って身体を反らし遠心力いっぱいに手斧を胴体に斬りつける。
それから少しして大蛇はアイテムをドロップし消滅した。
「いやぁ危なくHP全損する所だったな!」
「本当にいきなりこのレベルの戦闘とか運営はイカれてるのか?」
「そのお陰でレベルアップしたみたいですけど。」
「本当にそれだけしか救いがないけどな。それにミヤビは何度か地面に叩き付けられてたような気がしたがどうやって生き延びたんだ?」
「大蛇に飛び付いてすぐステータスを振り分けて、方術を使っただけだ。」
ミヤビ飛び付いて首を絞める時腕前の力では絞めきれなかったのだ。なので急遽足で絞め、ステータスポイントを筋力に全部注ぎ込んだうえ、方術の【練気】を使って一時的に防御力を高めたのだ。
「まさかの極振りか。お陰で早く倒せたということか。」
「まぁオレ達だからだろ。道士も役立つものがあると知れた事だし、とりあえずステータスを確認するか。」
名前─ミヤビ・スメラギ
性別─男
職業─道士LV1
種族─狼人
LV 2
HP 7/35(↑12)
MP 3/21(↑10)
筋力 37(↑4)
体力 12(↑2)
知力 17(↑4)(↑2)
精神力 11(↑3)
敏捷 21(↑3)(↑3)
器用さ 10(↑2)
スキル
方術LV1
錬金術LV1
格闘術LV1
斧術LV2
鑑定LV1
ステータスポイント0
スキルポイント7
1レベル上昇毎にステータスポイントは5、スキルポイントは2貰えるようだ。
斧をぶん回してた所為かスキルレベルも上がっている。
「レベルは上がれど回復せず未だにHPのピンチだな。」
「俺も似たり寄ったりだな。」
「私は最初の方は遠距離でしたから少しだけ余裕がありますが今は戻りましょうか?」
「いや、ポーションで回復してからこの辺で狩りをしよう。少しでも素材を売ってポーション代は稼ぎたい。宿代も考えるとラビットの皮を一人10枚は確保したい。」
「いきなり懐が痛くなるが背に腹は変えられないか。それにレベルも上がったしあの蛇じゃなければ戦闘で余裕が出来るだろう。ってことで早速狩りに行くぞ!」
最初の2体でラビットの皮が一つとラビットの肉が一つ。後29枚の皮を集めるには当然の事だが時間が掛かる。
「良し!皮30枚達成だ!」
「良し!じゃねぇ!もう夕陽が沈みかけてるじゃねぇか!」
日が沈む中で漸くラビットの皮を30枚集めたがドロップアイテムが全て皮と言う訳はなくラビットを狩るのも50体近い。勿論レベルも上がった。
戦闘そのものは早く終わるし、魔物もラビットだけしか出ないなんて事もない。大蛇は出なかったがゴートにドック、ゴブリン、ラビットが進化したホーンラビットも出てきた。因みにあの大蛇はチートスネークと言うらしい。アイテムボックスにチートスネークの皮が2つ入っていた。
ホーンラビットが出てきた所為でミヤビが「兎狩りだ~!」と騒ぎ出し、反って他の魔物が寄ってきてラビットを見付けるのに苦労したのだ。
「そもそも、肉も売れば皮が少なくても早く街に戻って良かったのでは?」
「「あっ。」」
全くもって気付かなかったとでも言うように声を揃える。
「クラウス君は変なところで頭が固いし、ミヤビは戦闘に熱中し過ぎですね。」
「まぁ、目標は達成出来たしさっさと戻るか。」
わざとらしく話を逸らすように言ってミヤビは街に向けて歩いていく。そしてクラウスとルイも後を追って歩き始めた。