第22話 自己紹介
宿を取ったミヤビ達は部屋の一室に集まった。部屋にある椅子とベットを使って7人が腰掛ける。
「じゃあ先ずはオレ達の自己紹介といくか。」
「その前に………どっちが素の口調なんですの?」
ミヤビの口調の変化に付いていけてないマリーが疑問を口にする。
「うん?何で仲間相手に口調を変える必要があるんだ?」
何を当たり前の事を言ってるんだ?と言いたげにミヤビは言う。
周りの者達が呆れ顔なので彼女?にとっては当たり前なのだろうと思いマリーは追求しなかった。
尚、彼女?と疑問符を浮かべたのは口調は男っぽいのに顔と声の高さが女のようで判断が付かないからである。
「それはさておきオレはミヤビ・スメラギ。一応このパーティのリーダーで狼の獣人で職業は道士。レベルは種族が22、職業が19で武器は斧と格闘、魔法による近接戦闘でのアタッカー兼タンクってところだな。この世界での目標は強い奴と戦う事だ。」
膝に掛かった癖のある銀髪を後ろに払い、ミヤビは切れ長の青い眼を真っ直ぐにマリーに向けて自己紹介をする。
「次いでに髪以外はリアルモジュールだ。」
言葉を聞いてマリーはミヤビを観察する。
女性で見れば高身長のスラッとした体型で顔も綺麗に整っている。口調はあれだがサバサバとした姉御肌の様な印象でマリーから見るとミヤビはカッコいい女性に見えた。
だが、素の口調で話していると言う現状で女性の一人称がオレというのも可笑しい。一緒に聞いてたレオンも僅かに眉をひそめて首を傾げている。
「じゃあ次はクラウスな。」
マリーがミヤビの性別に悩ませているとミヤビが話を進める。
「俺はクラウス。ミヤビとルイをゲームに誘ったβテスターで種族は人間、職業は剣士でレベルは24と16。武器は今はロングソードで近接のアタッカーをしてます。」
「他は~?」
「はぁ、髪と目以外は俺もリアルモジュールです。感覚がリアルに作られているのでとことん楽しんで強く成れたら良いと思っています。」
ミヤビが促すとクラウスはため息を漏らして自己紹介を続けた。
クラウスと呼ばれた男は癖のある短めの金髪に赤色の瞳をした爽やか系のイケメンだ。身長がレオンよりも高いので私との身長差は50cm程違ううえスポーツをやっているのかガタイも良いので正に巨人のように見える。ドワーフの種族特性上仕方ないとはいえ近くで話す時は見上げないといけないので首が疲れそうだ。
「次はアタシだね。アタシはカリン。種族は竜人の職業は騎士でレベルは23と15。パーティの中で純粋なタンクをやっているわ。武器は盾と格闘の近接戦闘でこのゲームには興味本意でスイと始めたの。リアルと違うと不自由するって聞いたから体型はリアルモジュールにしてるよ。」
紅い髪のポニーテールに緑色の瞳を持った少女は小顔ながら凛とした顔立ちで可愛さを損なわない清々しいタイプの美少女である。現実のマリーに一番近い体型であるが足の細さ、腰の細さ、お尻の小ささも負けている。だが、胸を見て心の中でガッツポーズを取る。
「……?まぁ、いいか。次はスイ?」
カリンはマリーの視線に首を傾げるが気にせずスイに振る。
「私はスイ。種族は人間で職業は魔術師。レベルは23と15。パーティの遠距離魔法アタッカーだけど接近されたら槍も使う。皆と同じで体型はリアルモジュール‥‥‥なのだけどそんなに見られても困る。」
「‥‥姉さん見過ぎ。」
「失礼。」
スイの胸を凝視していたマリーにレオンが呆れている。
スイはこのパーティの中ではマリーを除いて一番身長が低く肩まで伸ばした緑色の髪に黄色い瞳の少女である。人形の様な可愛さの顔立ちでほとんど表情を変えないので余計に人形の様に見える。だが特筆すべきは体格にそぐわない大きな胸である。赤い揺ったりとしたローブの様な物を身に付けているのに胸が自己主張して谷間が覗いてしまっている。
「ミヤビも見過ぎです。」
「いや、マリーが凝視しちまう理由は分かるなぁと思ってな。」
「完全にセクハラですよ。クラウス君とレオンさんはちゃんと視線を外してるのですからミヤビもしてください。どうしても見たいのなら私で我慢してください。」
「いや、その発言も可笑しいからな。」
ルイの胸もスイに僅かに劣るも素晴らしいモノだが妹のモノを見て何が楽しいのかと考えるミヤビ。
「いつも見ているだけで基本的に害がないのは分かっているし、見られるのは半ば諦めてもいるから気にしないで。それに人目の多い場所ではなるべく視線に割って入ってくれるから助かってる。」
リアルでもエルヴィスでもスイの胸は周囲の者の視線を集める。それ故に慣れてしまったことではあるが好きなわけではない。ミヤビも良く見る事ではあったけど見た目が女性なだけあって嫌悪感が余りない。それに街中では露骨な視線から身体を張って庇ってくれるので少し嬉しいとも感じてしまうのは困りモノである。
ミヤビにしても現実で雫に対してやっていた事であるので慣れた行為であるのも確かだが自分が見るのはいいがその他大勢に見せるつもりはないミヤビの独占欲の現れでもある。
「私にはしてくれないのですけどね。それはさておき次は私ですね。私はルイ・スメラギ、ミヤビの双子の妹で種族はエルフ、職業はテイマーです。レベルは24と16で武器は弓をメインに魔法で遠距離のサポーターをしています。近接戦闘では杖を使っていますが相棒にベビーグリフォンのルナがいますので基本ルナに任せています。ルナは宿に入れないので後で紹介しますね。」
双子と言うがあくまでも現実での話なのだろう姉?と違ってこちらはエルフ。顔は二人とも整っているが妹の方が柔らかい印象を受け、ミヤビの銀髪と対照的な癖のないロングストレートの金髪で唯一瞳の色は姉?と同じ青色をしている。ミヤビと違いボンッ、キュッ、ボンッの完璧なプロポーションを体現しているのに腕も足も無駄な肉付きをしていない。
正に非の打ち所がない女性に見える。それにしても似てない双子だ。
「似てないのは二卵性双生児だから気にするな。」
マリーがミヤビとルイを見比べて視線を右往左往しているのを見てミヤビがニヤリとした顔で言う。
「そ、そうっ……。」
流石に表情から思考を読まれたのが分かったのかマリーは視線を反らして言う。
「それじゃあ最後は儂じゃな!」
「待ってました師匠!」
「うむ、良いノリじゃ弟子よ。」
師匠と弟子の山門芝居を呆れ混じりに眺めるクラウス達を他所に麗華は自己紹介を続ける。
「儂の名は麗華。赤桃山の仙女にしてミヤビ達の師をしておる。と言っても内弟子はミヤビだけじゃがな。儂は道程の魔物との戦闘には手を出さぬから自分達で確り対応するんじゃぞ。」
背中まで伸ばした藍色の髪に綺麗に整った可愛いらしい顔、長い睫毛と翠色の瞳を携えた美女が胸を張る。ルイやスイの様に突出したモノはなく全体的に均整のとれた身体をしている。ルイの様な艶やかさはないが親しみやすい雰囲気が滲み出ている。
そしてマリーは自身の経験とミヤビが師匠と呼んでいる事からNPCであると判断した。
「と言うことで此方のメンバーの自己紹介は以上だ。次はそっちの番だ。」
ミヤビがマリーとレオンを見て促す。
ドワーフのマリーは種族レベルが14、職業レベルが10で黒猫の獣人のレオンは種族レベルが20、職業レベルが12でレオンが二本の短剣で敵を攻撃し、マリーが後方から回復支援をしていたそうだ。
「‥‥皆レベルが高い。掲示板で確認できた範囲で種族が26で職業は16が最高レベルだったけど‥‥」
ミヤビの職業レベルは19で確認できたレベルよりも高い。
「掲示板見ないし投稿しないからな。」
情報開示の義務がある訳でもないし情報は他の皆に任せてるのでミヤビは気にせず修行に打ち込めているので感謝している。
「まぁそれだけレベルがあれば王都まで魔物討伐に問題はありませんわね。」
「問題は移動時間ですね。」
ここまで出来るだけ走って移動をしていたので時間を短縮していると思うがどれ程の余裕が有るかは分からない。
「師匠、今の状況は予定とどれくらい差があるんだ?」
「正直走って移動しておったから大分時間が余っておるの。ダンブルぐらいまでならゆっくりしても問題ないの。」
「それなら丁度良いな。明日からの戦闘はマリーのレベルアップを兼ねてマリーとレオンを含めた新しい連係も作っていくか。」
「そうですわね。回復は頑張りますわよ。」
「何を言っているんだ?回復もだろ。折角器用で力のあるドワーフなんだから戦闘に利用しない手はないだろ。」
「でも私は僧侶ですわよ。近接戦闘に向いてませんし回復役は後ろにいた方が安全ですわよ。」
現実で多少武術の心得はあるマリーであるがエルヴィスでは鍛治ばかりでレベル上げに多少剣を使っただけである。傷付いても自身を回復出来たので大した戦闘をした訳でもない。レオンとパーティを組んだ時は後ろから回復するだけで済んでしまっていた。
「だったら後ろから回復と攻撃をすれば良い。剣はそのままで良いとして弓はルイが居るし、槍はスイが居る‥‥‥。」
ミヤビは一度マリーを見る。ゴスロリの様なファッションにお嬢様口調の見た目小学生くらいの少女。そこから思考を巡らせる。
「よしっ!鞭にしようか!」




