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第18話 滝行終了とイベント告知

 現実リアルで一週間が経ち、エルヴィスでは一月が過ぎた。

 週に1、2回山を降りたりしていたが五人で狩りをしていた事もありレベルが上がり、ミヤビ以外の者も装備を新調した。狩り場も中腹から更に上の所に移動し苦戦を強いられながらも誰一人死ぬ事無く狩りが出来た。


 始めの頃は他の守人プレイヤーもこの山に入ってきていたが中腹より上の魔物はレベル差があり逃げ帰るか死に戻りする者達が多かったが少し日が経つと登っていく人達の姿が無くなっていた。勝てないならレベルを上げてまた来る積もりなのだろう。

 ミヤビ達の様に同じ所に留まっている守人が珍しいのであって普通なら先へ進むものだ。現に先行している守人プレイヤーは次の街に入って既に次の王都に向かって進行している。

 先行組では種族レベルが25になった者も出て来ているが職業レベルは個人差もあり先行組で最も高い者で16レベルであった。


 その日ミヤビはいつものように滝行をしていた。

「ふむ、そろそろ次の修業に移るかの。」

 滝行を終えると麗華がそんな事を言い出した。

「滝行は終わりか?」

「これ以上は意味がないからの。」

 ミヤビが自身のステータスを見ると見た目は変わってないがステータス上の変化は劇的であった。


名前─ミヤビ・スメラギ

性別─男

職業─道士LV18

種族─狼人

LV 21

HP 569/569

MP 121/478

筋力 255

体力 150

知力 220

精神力 166

敏捷 220

器用さ 135


スキル

方術LV24

錬金術LV15

格闘術LV24

斧術LV23

鑑定LV19

夜目LV18

危機感知LV20

制空権LV18

魔力制御LV20

気配感知LV16

気配遮断LV12

料理LV7

狩人の心得LV12


EXエクストラスキル

消費魔力軽減LV2

重力魔法LV2

精霊の魔眼(NEW)

自然回復強化LV1(NEW)

四元素適性(NEW)

熱耐性(小)(NEW)


ステータスポイント 0

スキルポイント 5


 EXスキルが4つも増えていた。


精霊の魔眼

 任意で魔力を視認、識別することが出来る。


自然回復強化

 レベルに応じて自然回復が速くなる。


四元素エレメント適性

 火属性、水属性、風属性、土属性の威力を1.2倍に、受ける威力を0.8倍にする。


熱耐性(小)

 熱に強くなる。100℃位で火傷しなくなる。


 EXスキルなだけあって効果は高いのだが破格過ぎる気がした。スキルポイントを使って取得したEXスキル、重力魔法は80ポイント、種族レベルで40レベル分も使って取得したのに一月の滝行で4つも会得するのは破格と思わずにいられない。

「こんな簡単でいいのか?」

「簡単なものか!仙人の中でも天才と呼ばれる儂ですらこの修業を終えるのに半年は掛かったんじゃぞ。確かに守人としての適応力があるのかも知れぬがそれだけでこの修業の成果が身に付く筈もないじゃろ!それだけお主がこの修業に手を抜かず真剣に取り組んでいたと言う事じゃ!」

「おう………。」

 もの凄い勢いで麗華に捲し立てられ身体を仰け反らせるミヤビ。

「分かれば良い。それじゃあ奴らを呼びに行くぞ。」


 源泉から登り、山の中腹を超える。一月前は魔物の強さの差にミヤビが入るのを諦めた場所であったが今は狩りの為に頻繁に入っている。

 前よりレベルは上がっているが現在でもレベル差がありミヤビなら一対一で倒せるレベルである。

 気配察知で常に周囲を警戒し、同時に気配遮断も使って進まないと余計な魔物を引っ掛ける事になりかねない。それ程までにミヤビでも危険な場所である。だが現在ここでクラウス達が狩りと言う名の修業をしている。


 クラウス達が麗華の家に泊まるようになってから少しするとレベルが上がり中腹レベルの魔物では歯応えがなくなってしまったのだ。

 そうするとやれることをやるしかなくなり道場内で模擬戦をするようになった。それぞれ違う武器を使う為有意義なようであったが『才ある者が時間を浪費するなど目に余るのじゃ』と見かねた麗華が修業を付けるようになったのだ。

 道士であるミヤビのように教える事は出来ないが共通する部分は幾つかあるのでそう言ったものを中心に麗華は教えていた。

 剣士であるクラウスと騎士のカリンは【魔力付加】を取得し、ルイとスイは麗華も使う杖術を習い、どっかから持ってきた魔法書を教本に麗華の解説を踏まえたりして幾つか魔法を覚え、四人とも魔力制御も取得した。


 登って行くと気配察知に六つの反応が出る。気配の動きからクラウス達だろうが防御力の高いカリンをタンクにクラウスとこの一月で身体が大分成長したベビーグリフォンのルナを物理、スイを魔法のアタッカーにしてルイが弓と魔法で全体のサポートをしているようだ。

 ミヤビは気配を殺して既に手傷を負っている魔物の背後に回り込む。

 魔物はヴォルケーノジャガー。全長は2m50cm程で毛は血のような赤い色に黒と茶色の斑点模様がついた猫型の魔物で素早さを活かした攻撃を主にするが口から火を吐く事もある。

 高レベルの魔物故かあまり群れで行動することがないのだが知性が高く気配遮断を使って不意討ちを狙いや他の魔物が争う所に乱入して漁夫の利を狙う事が多いので見付けるのが大変だ。

 今はクラウス達と戦っている為か魔物はミヤビに気付いてない。

 木が少なくなり岩が目立つようになってきたフィールドでミヤビは岩陰から戦いを覗き見て戦闘に入るタイミングを伺う。

 クラウス達で問題なく倒せればそれでいいが危なくなったらすぐに介入するつもりである。


「スイさん、牽制を!」

「分かってる。【アクアエッジ】」

 ルイの指示でカリンに攻撃後ルナの方に回り込もうとしたヴォルケーノジャガーにスイの放った水刃が襲い動きを止める。

「〈影縫い〉」

 動きを止めた一瞬を狙って放ったルイの武技が効果を発揮し麻痺の状態異常を引き起こし完全にヴォルケーノジャガーの動きを止めた。

「〈パワースラッシュ〉!」

 カリンが素早くルナの前に移動すると入れ替わるように現れたクラウスが空かさず武技を放つ。

「〈ハードスマイト〉!」

「グルゥウウ!」

 カリンも正面から盾を突き出し、ルナはカリンを飛び越え頭上から爪を振り下ろす。

「〈パワーショット〉」

「〈フルチャージ〉」

 次々と決まる武技にルイの矢とスイの槍で追い打ちを掛けると遂にヴォルケーノジャガーが地に伏した。


「出番はなかったの。」

 途中からの観戦だったがクラウス達が危なげなく倒したので麗華がミヤビに話し掛ける。

「それならそれでいいさ。あくまでも保険だからな。他の気配もないようだしアイツら連れて戻ろうぜ。」

「そうじゃの。」

 そして二人は岩陰から出ていく。

「上手くやったようだな。」

「その物言いは陰で見てたな。まぁ、それもカリンさんの防御力とスキルがあってのものだがパーティ戦で考えればこれ程頼りになるタンクはいないよ。」

 今の戦闘でもカリンが攻撃を一手に引き受けいた。空手をやっているだけあって盾で攻撃を捌くのが上手い。種族と職業上体力が上がりやすいが魔物とのレベル差もあり盾の消耗は激しく上手く捌けてもダメージはそれなりに残ってる。

 だが、カリンでなければそもそも耐えきれてない。

「そんなに褒めても何もでないよ。」

 クラウスの含みのない言葉に僅かに顔を赤らめてカリンが返す。

「クラウスが言うようにこのパーティの要はカリンだ。このメンバーなら個人である程度対処出来るが後続に敵が来なければそれだけ攻撃する機会が増え、その分敵にダメージを与えられる。」

「戦闘時間が短くなり他に手が回せるって事ですね。」

「魔物との戦闘以外でも経験値は貰えるけど効率的に戦闘の方が早い。」

 稽古中にレベルが上がった事もあり経験値の取得方法が戦闘以外にも有ることが分かってる。

「今のオレ達はまだ良いが大学生じゃ時間は限られてるだろ。ある程度は効率的にやらないと先頭グループに遅れを取るからな。」

「特にミヤビの装備がな。」

「オレはあまり気にしないんだがな。」

 ミヤビ以外は既に赤桃山上層の魔物の素材を使った装備を身に付けているがミヤビは武器となる斧と籠手、ブーツ以外は未だにアウルシリーズを装備している。その為性能は低く、火属性に耐性がある魔物も多い為か装備が赤い色合いの物になり見た目もチグハグになってしまっている。

 ミヤビの戦闘力が高い為必要最低限の装備だけ作って貰ってクラウス達に素材を譲った所為なのだがもうその必要もない。他の皆にも装備の新調について言われたので街に降りたら作ってもらうつもりではある。


「ミヤビの滝行が今日で終わり次の修業に入ると言いたい所じゃが修行場はここではないので移動する事になるの。ミヤビは暫く凝った修業が出来ぬが儂が付きっきりで修業するから他の者達はいつも以上に修行出来るじゃろう。」

 皆を集めて麗華が話し始めた。

「場所は?どれくらい掛かる?」

「場所は秘密じゃが精霊の住まう場所とだけ言っておこう。その場所ならルイも良い経験を得られるじゃろう。日数は早くても一月近く掛かるのう。」

「長ッ!」

 場所が何処かは秘密にされてしまったが、修業場は違うと言っても長くても街ひとつ位の距離だと思っていたミヤビであったが思いのほか長かった。

「一旦街まで降りてから先ず南の平原を通ってトレントの森を抜けてダンブルに向かう。街道を歩いてたら二週間掛かってしまうからの。」

 二番目の街は鍛冶屋の親方と同じダンブルと言うらしい。そこから更に南下すると王都サードガムルに着くようだが道中に西に向かうようだ。

「ダンブルまではどれくらい掛かるんですか?」

「一週間くらい掛かるの。それ程大きな街ではないが一通りの物は揃っておる。着いた際には色々買い足すと良い。」

 スイの質問に麗華が答える。

「じゃあ旅支度を調えるのにすぐ街に向かうか。」

「何じゃすぐに向かうのか?」

「時間はまだあるからな。お前らもそれで良いか?」

 滝行が終わり昼が近いとはいえまだ午前である。

「それは良いが昼飯はどうする?」

「そうだな、食材処分も兼ねて食ってから降りるか。今のオレ達なら夜にトレントの森に行っても問題無いけどレベル差が在りすぎて大した経験値にならないからな。街で一泊してからダンブルに向かいたい。」

「うむ、それで良いじゃろう。では戻るとするかの。」

「「「「「おうっ!(はいっ!)」」」」」


 旅に意気込み昼食を摂っているミヤビ達であったが不意にメッセージ音が全員の頭に響く。

「何だ?」

「運営からのメッセージみたいですね。」

「内容は?」

「ちょっと待って………」

 スイが内容を読んでいくが見る見るうちに顔色が悪くなっていく。

「んっ?顔色悪くしてどうした?」

「不味いよ。早く王都に行かないとイベントに参加出来なくなる。」

 

「イベントの内容は現実リアルの一週間後王都の闘技場でPvPの個人戦。現時点の守人の最強を決める大会のようだ。勿論優勝者、入賞者は運営が用意した景品があるようだが………」

 どういう事か聞こうとする前にクラウスが説明する。

「だけど事前に参加申請しないといけない。勿論申請受付は王都。」

「それって不味いじゃない!此方でも一月ちょっとしかないんじゃ受付に間に合わないかもしれないじゃない!」

 理由を聞くとカリンが慌てだす。麗華を除く他の者も内心焦っているが表情にあまり出ていない。

「プレイヤーがイベントに参加出来ないなんて洒落にならないな。正確な受付終了時間は?」

「きっかりエルヴィスの一月後の午後2時までのようです。」

「本当に時間がねぇじゃねぇか!師匠頼む!」

 修行を後回しにして欲しいとミヤビが両手を合わせて拝み倒す。

「はぁ、仕様しょうがない弟子達じゃのう。修行はその後で構わないが儂の弟子達じゃ、詰まらん所で躓くんじゃないよ!」

 麗華の許可と渇を貰った。参加するからには負けるつもりはないが更に気合いが入っただろう。

「分かってる。街で一泊は変わらないが明日は朝一でトレントの森を強行突破する。今日の準備は怠らないようにするぞ。」

 昼食を終え、街に向かう。一泊は決定なので普通に向かうと言うことはなく軽くランニングしながら襲い掛かる魔物を個別に蹴散らして進んでいく。

 三時間もすると街に着く。門番の兵士達には奇異な目で見られていたが気にせず街に入る。それぞれ世話になったギルドに向かい王都に向けて旅立つ旨を伝えてから準備に入った。ミヤビは錬金術ギルドといつも世話になった鍛冶屋のダンブルと仕立屋ミレーに挨拶をした。

「俺達も上層の素材を扱わせて貰って儲けさせて貰った。この街に来たときはまた寄ってくれ。」

「色んな素材は貰ったし可愛い子達を着飾れたんだ、私は満足だよ。それに今生の別れじゃないんだまた寄って来な。」

 と二人とも気さくに返して別れた。

 やはり最初の街とイベントの告知もあってプレイヤーは少なくなっている。お陰で宿が混むことなくすぐに泊まれる場所が見付かった。

 夕食を終えて準備も念入りにするとミヤビ達は明日に備えて眠りに就くのであった。





名前─クラウス

性別─男

職業─剣士LV16

種族─人間

LV 24

HP 697/697

MP 327/327

筋力 245

体力 239

知力 121

精神力 159

敏捷 200

器用さ 175


名前─ルイ・スメラギ

性別─女

職業─テイマーLV16

種族─エルフ

LV 24

HP 447/447

MP 644/644

筋力 195

体力 151

知力 215

精神力 171

敏捷 205

器用さ 210


名前─スイ

性別─女

職業─魔術士LV15

種族─人間

LV 23

HP 408/408

MP 627/627

筋力 165

体力 130

知力 245

精神力 201

敏捷 195

器用さ 159


名前─カリン

性別─女

職業─騎士LV15

種族─竜人

LV 23

HP 695/695

MP 370/370

筋力 205

体力 300

知力 122

精神力 205

敏捷 170

器用さ 105


名前─ルナ

性別─雄

種族─ベビーグリフォン

LV 27

HP 535/535

MP 406/406

筋力 235

体力 211

知力 157

精神力 183

敏捷 242

器用さ 186


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